とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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第14話 氷人形

 材料を集め終えた俺は、まず構成変換(コンスチチュートチェンジ)で鉄にマンガンとケイ素を組み込んだ。試しにこれを細長く伸ばして、曲げてから加熱してみると……よし。ちゃんと形状記憶がはたらいているな。

 

 しかし、これはただの前準備だ。

 

 もう一度合金を曲げてライターで加熱する。それと同時に俺は事象解析(アナリーオール)で分子の様子を調べる。

 

 ……よし。解析、完了。

 

 あとはこれに基づいて『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)っぽいもの(・・・・)をつくり上げればいい。これで能力として使えるようになる。

 

 ちなみに言っておくと、創ったばかりの能力というものはほとんどが低能力者(レベル1)である。まれに異能力者(レベル2)くらいの力になることもあるが。しかし、使っていくうちに勝手に強能力者(レベル3)に匹敵する力になってしまう。この点に関しては、我ながらチートくさいと呆れている。ただ、それからは出力が上がることはほとんどない。重力操作(グラビティ)構成変換(コンスチチュートチェンジ)は例外として大能力者(レベル4)に近いものがあるが。

 

 そんなわけで、あとはこの性質を少しいじって他のものにねじ込んで使えるようにすればいっか。何がいいだろうな。

 

「よし。とりあえずは氷でやってみるか。水だったら手に入れやすいものだしな」

 

 川の近くに行って、構成変換(コンスチチュートチェンジ)で氷を作る。空気中の水蒸気を凝結させてもよいのだが、水蒸気から一気に氷を作るのは地味に疲れるからパスで。川は帰り道の近くにあるんだし。

 

 まずは氷で人形をつくり、そして新しい能力を発動した後に石で叩き壊す。

 

 すると、太陽からの熱で水となったそれは元の氷に戻っていく。……成功だ。あとはこれを人よりも大きなサイズにすると……。2メートルくらいの背丈の氷の傭兵、というべきものができた。能力名のほうは氷人形(アイスドール)とでもするか。安直だけど。まあ、他のも大差ないしな。

 

 その後は練習をしまくって、少しは動かせるようになった。

 

「まあ、こんなものかな」

 

 いつか、役に立つだろうか。

 

 

 

 それからは夕飯の買い物に寄ってから帰り道を歩いていたのだが、近道をしようと裏路地に入ったら、謎の男どもが地面にはって何かを探していた。

 

 連中は俺の視線に気づくと鬱陶しいと言いたげな目をする。いや、こんな男どもが地面に四つん這いになっているのを見るなという方が無理なんだけど。異様、としか言いようがない。

 

 俺はめんどくさそうなので、近くの建物の貯水タンクから水を拝借して氷人形をつくり出した。まさか、こんなところで試運転ができるなんて思わなかったな。連中は驚くが、すぐに攻撃を仕掛ける。

 

「くらえ!」

 

 一人が氷人形の持っている槍を念動力(テレキネシス)で持ち上げると、そこに炎と電撃が放たれた。念動力のやつは強能力者(レベル3)、残り二人は異能力者(レベル2)ってところか? 氷人形は破壊される。しかし、ここからが本番だ。

 

「なに!」

 

 復活した氷人形に驚く連中。まあ、作り直したならまだしも、間髪入れずに復活したら驚くよな。俺は氷人形に、一番近くにいた電撃使い(エレクトロマスター)を捕まえさせた。

 

「さて、これ以上繰り返しても無駄だから。やめときな。それでさ、あんなことしていれば誰だってあんな目で見ると思うけど? 何事かと思ったぜ」

 

 俺がそう言うと、意外な言葉が返ってきた。

 

「まあ、つい最近流れ始めたばかりの噂だから知らないと思うが……路地裏など人通りの少ない場所に、マネーカードが置かれていることがあるらしいんだ」

「それを探していた、と」

 

 マネーカードか……。目的が分からないな。お遊びにしては金も手間もかかりすぎるし。本人もやったことがばれたら、バカな連中のターゲットになりかねないのは承知のはずだ。

 

 嫌な、予感がした。何か、事件が起こりそうな。

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