とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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第20話 錬金術師との衝突

「そうか……しかし、アウレオルスの目的はもう叶えられているんだよな」

「……どういうこと?」

「彼が助けたい人はもうすでに救われている。当麻によってね」

 

 俺たちは、インデックスの首輪の一件を話す。

 

「そう……私は魔法使いにはなれなかったのね」

 

 姫神は魂が抜けたようにただ呆然と呟く。

 

「……姫神」

 

 当麻が口を開いた。

 

「確かにお前の力は吸血鬼にとっては天敵なんだろうし、そのせいで苦しい思いをし続けていたんだろう。でもな! お前が周りの人を救いたいって思えるその気持ちは幻想なんかじゃあないだろ?」

 

 姫神は驚いたように当麻を見る。

 

「もっと自信を持てよ、姫神」

 

 当麻の言葉は姫神の胸の奥に響いた。

 

「そう……ありがとう」

 

 姫神は再び立ち上がることを伝えるかのように微笑んだ。

 

「俺たちは今からアウレオルスのところへ乗り込む。そこであいつを正すためにも……姫神、協力してくれ」

「わかった。これ以上。彼の協力者として道を誤らせるわけにはいかない」

 

 俺たちは進む。

 

「熾天の翼は輝く光、輝く光は罪を暴く純白」「純白は浄化「の証、証は行動の結」果「結「果は未来、未来」は「「時間、時間は」」一」律「一律は全「て、全てを創るのは過去、過去は原」因、原因は「一つ」一つは「「罪、罪は人、人は」罰を恐れ、恐れ」るは罪

「悪、罪悪とは」己の中に、己「「「の中に忌み嫌うべきものがあ」るなら」ば、熾天の翼に」より「己の罪を暴」き内から弾け飛ぶべし―――」

 

 階段を昇った先に、学生およそ80人の大合唱が待ち構えていた。今までに何人もの刺客を葬り去った必殺の迎撃術式。それが俺たちに襲いかかる。

 

「いくぞ、当麻! あのくそ野郎の幻想を殺すために!」

「おう!」

 

 当麻は右手を盾にしながら、俺は結晶の盾をつくり出しながら、雪崩のように繰り出される攻撃の中へ飛び込んだ。

 

 

 

三沢塾 最上階

 

「アウレオルス……今度こそ、本物だろうな」

 

 俺たち三人は、目の前の相手に警戒しながら話始める。

 

「当然」

 

 その時、俺たちは後ろで寝かせられている少女に気づく。

 

「インデックス!」

「お前の思いは姫神から聞いた。だがな、」

 

 インデックスの話を俺はする。残酷ともいえる真実を告げる。

 

 それはアウレオルスにとって、努力が全て無駄であったと告げられたに等しかった。

 

「まて、ならば……」

「そう……君の努力は全くの無駄骨だったというわけだ。だが気にすることはない。インデックスは君の望んだとおり今のパートナーと一緒にいてとても幸せそうだよ」

 

 ステイルは言う。

 

「……!」

 

 よほどショックが大きかったのだろう。

 

 アウレオルスはそのままよろよろと後ろに下がると、机に手を置きなんとか体を支える。

 

 その時机の上に寝かされているインデックスの口から声が漏れた。

 

「とうま…… 」

 

 その場の全員の視線がインデックスに向けられる。

 

「はや……と」

 

 かつての少女ははっきりと今代のパートナーの名を呼んだ。その事実にアウレオルスの表情が歪む。

 

「インデックス!」

 

 思わず叫んだ当麻の声に重ねるようにインデックスは呟いた。

 

「とうま……」

 

 直後、おなかの鳴る愉快な音が部屋中に響き渡った。

 

「おなか減った」

 

 当麻は思わずずっこけかけ、俺とステイルは壁の方を向いて笑いをこらえる。

 

「りんご……りんごは……青森……」

「ふ……ふふふふふ……ハハハハハハ……ハハハハハハ!」

 

 突然笑い出したアウレオルスに対して、俺たちは身を固くする。下手すると、一言で俺たちは殺されかねない。

 

「倒れ伏せ! 侵入者ども! 」

 

 その言葉と共に俺たちは問答無用で地面へと叩き伏せられる。

 

「わが思いを踏みにじり……わが殊勲をあざ笑い! よかろう……この屈辱、貴様らの死で贖ってもらう!」

「待って!」

 

 その時、今まで黙っていた姫神が声を上げた。

 

「姫神……やめろ!」

 

 当麻の声にも姫神は止まらない。

 

「分かる。私、あなたの気持ち」

「そいつは……もう…… 」

「でも違う、今のあなたは……」

「もう……お前を……」

「知ってる。私、本当は」

 

 当麻は動かぬ体を無理やり動かしその右手を口元に持っていこうとする。

 

「本当のあなたは!」

 

 アウレオルスが首元に鍼をさすその瞬間、当麻は右手の指を歯でかむ。当麻を抑えつけていた戒めが、消える。

 

「死ね」

 

 彼女の体はゆっくりと、後ろ向きに地面に倒れていく。

 

 だが、

 

「姫神ぃぃぃ!!」

 

 駆け寄った上条が素早く姫神の体を支えるが彼女はぐたりとしたまま動かない。

 

「ふはは……吸血殺し(ディープブラッド)など最早不要。悠然、約束は守った。これでその女も己が血の因果から解き放たれたであろう!」

 

 高笑いを続けるアウレオルスだったが直後に異変に気付く。自分の力によって明確な死を与えたはずの姫神の体が、かすかに動いていることに。

 

 当麻の右手が奇跡を打ち消した。

 

「ん……はあ! はあ……」

 

 姫神は息を取り戻す。

 

「な……我が黄金練成を打ち消しただと? あり得ん、確かに姫神秋沙の死は確定した。その右手、聖域の秘術でも内包するか!?」

「ごちゃごちゃうっせえ、んなこたもうどうだっていいんだよ!」

 

 当麻はアウレオルスの前に立ち上がる。彼と対等にやりあえる敵として。

 

「良いぜ……てめえが何でも思い通りにできるってんなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!」

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