とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
第22話 協力の要請
『はやとにいちゃん。また、あえるよね?』
夕焼けが辺りを赤く染めていく中、幼い2人の女の子のうちの1人が、その目の前にいる少し年上の男の子に話しかける。
『うん! またいっしょに、あそぼうよ!』
男の子はそう元気よく答える。
『はやとにいちゃん……ほんとに、ほんとにまたいっしょにあそべるよね?』
もう1人の女の子は、もう泣きそうにしていた。
『うん、やくそくだよ! あ、これあげる!』
男の子はそう言って半ズボンのポケットから三つ、赤いひもを取り出した。
『『なあに、これ?』』
『えんちょうせんせいにもらったんだ! この“みさんが”は、おねがいごとをかなえてくれるんだって!』
男の子は2人の女の子にミサンガを渡した。
『『はやとにいちゃん! またあそぼうね!』』
『うん! またあそぼうね! さっちゃん! うみちゃん!』
「んっ……はあ」
俺は目が覚めた。
「この夢……久しぶりに見たな」
幼いころ俺が
年下の少女二人との、まだ果たされていない約束の思い出。
「とりあえず、朝飯食うか。……今日はインデックスの飯を俺がつくる日だったな」
俺は二人分の朝食の準備をする。インデックスは当麻の部屋に居候しているが、食事に関しては(金銭的にも)バカにならない量なので、俺と当麻の交代制である。
「おはようはやと! いただきますなんだよ!」
扉が開くと同時、出来上がったばかりのテーブルの上の料理に突進する銀髪シスター。いつものことながら、あきれてしまう。
「おい、そんなにがっついて食う必要はないぞ……っていうか、今のはタイミングが良すぎるだろ」
「いい匂いが部屋からただよっていたんだよ! わたしのおなかはもう我慢の限界なんだよ!」
自分の分まで食われないうちに俺は皿の上の料理を口に放り込む。
「……はあ」
事情があって他の施設に移った、あの時からいろいろあった。施設から出た俺は中学に入学、当麻と出会い、そして何かしら事情があって遅れていた能力開発を受ける前に、あるきっかけで自分は特殊な力を持っていることを知った。
「そして今度は魔術か……例外にもほどがあるな」
自分が行きつく先が分からない。
「はやと。どうしたの?」
俺の手が止まっているのを見たインデックスが聞いてくる。
「いや、ちょっと昔のことを思い出していただけだ」
俺は食事を再開した。
インデックスとの朝食を終えた俺は今日やる予定の宿題をとりあえず終わらせ、街中に出た。
「8月19日……アウレオルスとの戦いからもう10日以上経ったのか」
案外時間というものは過ぎるのが早いな、と俺は思う。
「さてと、適当になにか暇つぶしをするか」
書店やゲーセンを回って午前中の時間をつぶす。
昼食も食べ午後の予定を考えていた時、見知った顔を見かけた。
「あれ、御坂じゃないか」
「確かにミサカの名前はミサカですが、とミサカは返事をします」
……あれ?
俺の記憶にある限り、御坂美琴は好戦的で、活発で、元気がありすぎるくらいで、年上に対する口の利き方がなっていない人物だと思っていたのだが……。
そう思った時、彼女から感じられるAIM拡散力場が少し弱すぎることに気が付いた。これでは
「なあ、お前は御坂美琴ではない……のか?」
「ミサカは妹です、とミサカは質問に答えます」
妹、か。かなり似ている……というか、似過ぎている。逆に違和感を覚えるくらいだ。まさかな、と思いつつ、御坂の妹と軽く会話をしながら弱い
適当に会話を切り上げ、俺はAIM拡散力場を頼りに御坂を探しに出る。
しばらくすると見つかった。俺は気づかれないように
それを調べたのはただの好奇心でしかなかった。普段兄弟姉妹や双子のAIM拡散力場を調べることなどないので、どれほど似ているのか、そしてどの程度DNAが関連するのかを調べたいと思ったのだ。そうすれば自分も肉親に、この力、
「おい」
俺が言葉をかけると、御坂はビクッ、と明らかに挙動不審に振り返った。そんな御坂に、俺は要点だけを突きつける。
「どうしてお前のクローンが存在しているのか、聞かせてもらうぞ……挙動不審すぎるのはよくなかったな。自分が隠し事をしていることがまるわかりだ」
調べたDNAは……一致しすぎていた。
御坂はしょうがない、といった表情でぽつり、ぽつりと話し始めた。
御坂美琴のDNAから生まれた2万体のクローン「
俺はその真実に衝撃を受けた。
「ふざけやがって……。分かった、早く止めるぞ。それで、どうするんだ?
一方通行。学園都市の、第一位。
「そうしたいところだけど……無理だった」
無理だった、と言う。それはつまり、一方通行にすでに勝負を挑んだ、ということだ。
「だから、実験を止めるには研究機関をつぶせばいいと思うの。あと少しなんだけれど、昨日から急に警備が厳しくなって……。それで、協力してほしい」
「なるほどな」
俺も協力したい、そう思った。
「じゃあ、具体的なことを話すわよ」
「了解」
一方、そのころ暗部組織『アイテム』では。
「謎の侵入者インベーダーの撃退ぃ?」
「結局、人使いが荒いってわけよ」
「何が目的なのか超気になりますね」
「だるい。下っ端の仕事だろ」
「大丈夫。わたしはそんなむぎのを応援している」
一人の少女は、腕に付けたミサンガに触れる。
“今の私は超あなたに会える人ではありません……駿斗兄ちゃん”
最悪の再会が、近づいていた。