とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
パン! と銃声が脳神経応用研究所に響く。
しかし、布束から銃を向けられた少女は傷一つ付くことなく立っていた。
「この期に及んで急所を外す、その気遣いは超見上げたものですが……わたしの
窒素装甲。
体に窒素をまとわせて、360度どの方向からでも防御ができる。また、それを制御することで拳ひとつで壁を破壊し、片手で自動車を持ち上げることもできる。
それが『暗闇の五月計画』により『一方通行の防御性』を植え付けられた、
「超速やかに運び出してください」
彼女は部下に指示を出し、布束を連れ去る。
「さてと……私の仕事は超終わったみたいですね。麦野たちはまだでしょうか」
そうつぶやいて施設から出ようとしたとき、外から騒がしい声が聞こえてきた。布束を連れ出した部下がいる方からだ。
「他の侵入者でしょうか……超排除した方がいいですね」
絹旗は声がする方に向かった。
「吹き飛べっ!」
俺は
「これで大丈夫かな」
「well……ありがとう」
布束が話すには、『感情』のプログラムはなぜかミサカネットワークが受け付けなかったということだ。何かロックでもされているのか。原因は分からないと言う。
「しかし、面倒なことに――」
「超見つけましたよ」
曲がり角から、少女が現れた。それは……
「さっちゃん?」
あの時から年月を経て十二歳ほどになっていたが、その子は確かに俺の幼馴染の少女だった。その証拠に、その左腕には俺が持っている物と同じミサンガがある。
月に照らされたその顔は、目を大きく見開いていた。
「まさか……駿斗兄ちゃんなんですか……?」
「久しぶり、だよね」
俺は衝撃から抜け出せないまま言う。
「どうして、こんなことしているんですか……」
「決まっているだろ。絶対能力者進化計画とかいうのを止めるためだ。それよりも」
俺は一度息を吐き出す。
「どうしてさっちゃんがこんな所にいるんだ……」
認めたくない。自分の幼馴染が裏社会で生きているなんて。
しかし、
「決まっているじゃあないですか。施設の破壊を超止めるためですよ。……暗部組織の一員として」
事実は突きつけられた。
「だから、ここで超倒れてもらいますよ!」
さっちゃんは拳を握りしめ、素早く俺の懐に飛び込んでくる。
「ぐはっ!」
なんて力だ。これは、肉体強化系か? いや、そもそも人の骨があたる感触がなかった。とすると……
「何か、見えない鎧か!」
迫る拳を避けながら、俺は
結晶のトンファーでさっちゃんの攻撃をいなしながら、周辺の窒素を少しずつ一酸化窒素へと変えていく。
そしてしばらくすると、ゴッ、という音とともにトンファーが生身の腕に当たった。さっちゃんは顔をしかめている。
「ごめん、さっちゃん」
俺はトンファーを消すと、そのまま腕をつかんで地面に叩き付けた。すぐに
「そんな……」
「まあ、確かに最初に防御した腕ごと吹き飛ばされたのは痛かったよ。だけど、すぐに治療したからね」
「それで、どうして暗部組織にいるのか……その理由を聞かせてもらうぞ? うみちゃんのことも一緒にね」