とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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第28話 第一位との戦闘

「チッ……面白ェ。ちっとは楽しませろよ」

 

 そう言うと一方通行(アクセラレータ)は乗っていたコンテナから地面に降りて、ベクトル操作で速度を上げた砂利を蹴り上げる。無数の小石が散弾のように迫る。

 

 俺は結晶を盾にして守ると、それを飛ばされないようにすぐに結合を解除する。

 

「ほらほらまだ、こンなもンじゃねェぞ!!」

 

 今度は鉄骨やコンテナがすさまじい速さで迫る。

 

 しかし御坂の磁力でそれは減速し、そこに最愛が投げつけた鉄骨が当たって明後日の方向に飛ぶ。

 

「頑張るじゃねェかァ――だが、これでゲームオーバーだァ!」

 

 今度は一方通行自らが、俺たちへ突進する。それを当麻が、その右手で迎え撃つ。

 

「がはッ!!?」

 

 当麻の右手、その拳を叩き付けられた一方通行は固まる。その頬から伝わる痛みにしばらく囚われる。

 

「何呆けてやがる?」

 

(まさか、両手に集中して全身の『反射』を無意識に切っちまったってコトか? 間抜け過ぎンぞクソがっ)

 

「おい――」

「――がっ!?」

 

 もう一発、一方通行の頬にその拳が叩き付けられる。一方通行は混乱しているようだった。

 

「っ、くそがァ!」

 

 一方通行はその場を離れる。しかし俺が波動干渉(ウェーブインターフェア)で錯覚を起こしておいたので、あまり離れていないうちに止まる。そして、当麻が近づくのに合わせて解除した。

 

 一方通行は再び拳を受けて倒される。

 

「ぐはっ」

 

 何度やっても同じ。一方通行の、物を飛ばすことによる攻撃は俺と最愛と御坂によって阻止される。近距離で殴りかかろうとすれば当麻の右手が襲う。当麻から離れようとすれば、俺が起こした錯覚で目測を誤り、当麻に近づかれる。

 

「妹達だって……必死に生きているのに、なんでテメエの勝手のために食い物にされなくちゃならねえんだよ!」

 

 喧嘩になんて慣れていないのだろう。一方通行は当麻に何度か殴られた後、地面に倒れたままになった。

 

「はあ、はあ……」

 

 当麻は肩で息をしている。足もふらついている。右手以外の場所に触れられれば攻撃を喰らってしまうので、精神的にも気を張り詰めていたのだ。

 

「終わった、のか……?」

 

 俺たちは倒れている一方通行をじっと見る。

 

「くかき」

 

 しかし次の瞬間、暴風が俺たちを吹き飛ばした。

 

 

 

「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかく」

 

 一方通行は地面に倒されている俺たちを見下ろしながら、暴風を操っていた。

 

「何だァ……目の前のやつをぶっ潰すものだったら、ここにあったじゃあねェか」

 

 この世界に満ちている大気の流れ。その『向き』。

 

 一方通行はそれを操っていた。

 

絶対能力(レベル6)がなンだ。そんなものは要らねェ……この一方通行を止められる者など、どこにもいない……!)

 

「ひゃは、強いやつと戦うと強くなるってえのは本当みたいだなァ!」

「ぐっ……最愛! 御坂! 当麻!」

 

 俺は少し離れたところに倒れている三人に声をかける。

 

「くそ……」

 

 当麻が歯ぎしりをした。

 

「こっちは超大丈夫ですよ……!」

 

 最愛は強がっているが、いくら窒素装甲(オフェンスアーマー)があるからと言っても相当なダメージを喰らっているはずだ。

 

「そんな……」

 

 御坂は体を起こしているが、その顔は絶望に染まっている。

 

「空気を圧縮……圧縮ゥ? はは、おい三下ァ! 面白いこと思いついたぜェ!」 

 

 次の瞬間、あたりの空気が一方通行の頭上に集まり始めた。そして発生したのは

 

「プラズマ……!」

 

 プラズマ。気体を構成する分子が部分的に、または完全に電離し、陽イオンと電子に別れて自由に運動している状態を指す。

 

 しかし、それを使うとなると、この辺り一帯は吹き飛ばされてもおかしくはない。

 

(くそ……これで終わりなのか……)

 

 いや、こんなところで終わるわけにはいかない。まだ、これからだ。

 

(うみちゃんも探さなければならないんだ。もう一度三人で、いや、今度は他のみんなとも、一緒に過ごしていきたいんだ……。こんなところで終わってたまるか!)

 

 プラズマを崩す方法は二つ。風に干渉するか、一方通行の演算に干渉するか。

 

 しかし、後者の方法はかなり厳しい。能力標識(AIMサイン)は確かに相手の演算に干渉できるが、一方通行ほどの自分だけの現実(パーソナルリアリティ)になると、とても難しい。

 

 だが、前者の方法はどうやって大規模に風を起こして干渉していくかが問題だ。これだけ近距離だと、風を起こそうとしても相手に制御権を奪われる可能性が高い。

 

 すると、視界の端で御坂が動いているのが見えた。その先は……妹? 妹に助けを求めるのか。だったら、俺からも頼むことにしよう。

 

万象再現(リプロダクション)で御坂妹と同じ電磁波を、俺と御坂に『再現』……)

 

 

 

「お願いだから、あんたの力であいつ達の夢を守ってあげて!」

 

 御坂は自分の妹に、頼み込む。

 

「言葉の意味は分かりかねますが、なぜだかその言葉はとても胸に響きました。と、ミサカは率直な感想を述べます」

“俺からも、頼む。御坂妹”

 

 突然で悪いが、入らせてもらった。

 

「えっ!?」

「第三者がミサカたちのネットワークに入ってくるとは、とミサカは驚きを隠せずに言います」

“ああ、妹達と同じ電磁波を再現したんだ……。頼むぞ。このあたりの風車だが……”

 

 

 

 徐々に巨大になっていくプラズマ。しかし、突如それが形を崩し始めた。

 

「何ンだ? 俺の計算式に狂いはねエはずだ……。これは自然の風じゃねえ」

 

 一方通行は辺りを見渡す。すると、周辺の風車が本来とは逆の方向に回っていた。

 

「待てよ? 聞いたことがある……。モーターってのは特定の電磁波を与えると回転するとか……まさか!」

 

 

 

 辺り一帯の風車に9969人の妹達(シスターズ)が電磁波を与えることで、不規則な風の動きを生み出す。それが俺たちの策だ。

 

「当麻!」

 

 最愛と支えあいながら、当麻が起き上がった。

 

「んなっ? テメエ……!」

 

 一方通行は接近するが、一歩踏み出た当麻は、その出された手を右手でつかんだ。

 

「歯を食いしばれよ、最強……俺の最弱は、ちょっとばかり響くぞ!」

 

 当麻の拳は一方通行の顔面をとらえた。 

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