とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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幻想御手編
第3話 夏の始まり


「よっしゃ、夏休みまであと2日!いや、1日と半分か!」

 

 ある日、その日の授業が終わり放課後になって、俺はテンション高く叫ぶ。

 

「お、はやとんが珍しくテンション高いぜよ!」

 

 金髪グラサン野郎、土御門元春が同じく叫ぶ。

 

「なんたって、夏休みだぜ?それに俺はどこかの誰かさんと違って補習もないし」

 

 俺はそう言って、前の席の当麻に目をやった。当麻は成績が悪いだけでなく出席日数もそもそも少ないため、補修確定組の1人である。

 

 まあ、主な原因が「何かしらの事件に首を突っ込むこと及びその後の入院」という、風紀委員(ジャッジメント)でもあり得ない理由によるものだったりするのであるが。

 

「くっ……俺だって補習さえなければ……」

 

 目の前で余裕を見せる俺をうらやましそうに見る当麻。

 

「一生かかっても無理な気がするのは俺だけか?」

「いや、それには俺も同意ぜよ」

「ぐはっ」

 

 本音の言葉という、容赦のない攻撃が当麻を襲った。

 

「いいじゃないか、かみやん。小萌先生の補習を受けられるんだぜ?」

 

 そこに青髪ピアスも加わり、なぐさめなのかどうか分からない言葉を言う。そして当麻はあっさりと撃沈した。

 

 ちなみに当麻、土御門、青髪ピアスが補習組である。

 

「まあ宿題のほうもあるんだから、忘れずにやれよ?」

 

 俺は軽く笑って先に帰ることにする。

 

「くそ! これが補習がないやつの余裕ってものなのかー!?」

 

 当麻の声を背にしながら、俺は教室を出た。……ていうか、お前らも今日はまだ補習がないだろ?

 

 

 

「んーーっ、おわったぁ」

 

 放課後になり、佐天涙子は学校から出ると大きく伸びをしながら頭に花飾りをのせた友達、初春飾利に声をかける。

 

「これで明後日の終業式が終わればついに夏休みだねっ!」

 

 佐天はもうすぐ始まる夏休みのことを考える。

 

 中学に来てから初めての自由な長期的休暇。『宿題』の二文字には気が重くなるが、それを除けばこれほど嬉しい事はない。今からどう遊ぼうか、いろいろと考えてしまう。

 

「そうですねぇ……あ!! 御坂さーん」

 

 初春は佐天の言葉に返事をするが、最近知り合った少女を見つけ手を元気よく振りながら声をかける。

 

「ん? お―――」

 

 その声で気付いたのか向こうで佇んでいた少女がこちらに振り返った。

 

 肩まで届く短めな短髪に花飾りのヘアピンをつけた女の子。その顔立ちは整っていて綺麗と言えた。活発な雰囲気を感じさせるが、世間一般の女子中学生とは異なるものを感じる。

 

「おっすー! そっちはお友達?」

 

 彼女の制服を見た佐天は納得する。それはエリート校と呼ばれるお嬢様学校、常盤台中学のものだ。

 

「はいっ! これから一緒に洋服を見に――――」

 

 そう言いかけた友人を佐天はこちらに引きずりこむ。

 

 初春はお嬢様に憧れてはいたが、実際は佐天と同じ普通の中学を通う、普通の女子学生のはず。なのにいつの間に、自分の知らない間にあのような人と知り合っているのだろうか。

 

「ちょっと! あの人常盤台の制服着てんじゃない! 知り合いなの?」

「ええと…風紀委員(ジャッジメント)の方で間接的に…。しかもあの方は、ただのお嬢様じゃないんですよ」

 

 初春は自慢げな顔をして指をチッチッと振る。

 

超能力者(レベル5)!」

「超能力者!?」

「それも学園都市最強の電撃使い、あの『超電磁砲(レールガン)』の御坂美琴さんなのですっ!!」

「ウソ……まさかあの超電磁砲?」

 

 佐天はその名前に聞いた事があった。

 

 超能力者(レベル5)序列第3位、<超電磁砲>の御坂美琴。常盤台中学でも2人しかいない超能力者(レベル5)の内の1人で、『常盤台の姫様(エース)』。

 

 低能力者(レベル1)から超能力者(レベル5)へと上り詰めた、学園都市230万人の中に7人しかいない超能力者(レベル5)の中でも稀有な例である。よく自分達のような無能力者(レベル0)にはお手本にしなさい、と学校の教員からよく言われている。

 

 つまり、学園都市ではかなりの有名人であり、非常に珍しい存在である。

 

「そうですよ。私、こないだ生で見ちゃいました」

 

 その通り名となっている超電磁砲は電流とともに発生する磁場によって加速させたメダルを音速の3倍で放つもの。この間は車を軽々吹っ飛ばしてみせた。

 

 初春がそのときの光景を身振り手振りを交えて語ると佐天にもその時の感動が伝わったのか、おもわず美琴の手を握り締めていた。

 

「あのっ……あたし佐天涙子です!! 初春の親友やってます!」

「そ……そう、よろしくね」

 

 佐天の勢いに若干押され気味ではあるものの美琴は佐天の握手に応じる。

 

「それで二人はこれからどこに行くの?」

「えっと、これから私と初春はセブンスミストで洋服を見に行こうかと……」

「あ、それなら私も一緒に行っていい?」

「もちろん大歓迎ですけど……」

「あたしらが行こうとしているのフツーのチェーン店ですよ? 常盤台の人が行くような所じゃ……」

 

 セブンスミストはごく普通の服屋。値段もお手頃価格で品揃えも豊富。

 

 しかし、お嬢様のような方達にはちょっと格式が合わないと言うか……と思ったのだが。

 

「いや……あんまそーゆーの関係ないわよ。ウチって外出時が制服着用が義務付けられてるから服にこだわらない人結構多いし」

「そうなんですか?」

 

 その意外な真実に驚く。

 

 そんな話をしながら佐天達三人はセブンスミストへ向かった。

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