とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

31 / 108
第31話 帰還

「ふう。できたばかりだったとはいえ、『念動鎧(フォースアーマー)』の持続使用可能時間は20秒ってところか……。まだ実戦で使えるものではないな」

 

 俺はそうつぶやくと、気絶しているうみちゃんを抱え上げて御坂と最愛を追いかけた。

 

「で、目的はこれで達成ってわけ?」

 

 追いつくとすぐに御坂が聞いてくる。

 

「ああ。と言っても、治療が残っているけどな。こいつの」

 

 俺たちは撤退するために、向きを変えて歩き始めた。

 

「駿斗兄ちゃん。黒夜の腕は超どうにかできないんですか?」

 

 横を一緒に歩く最愛に聞かれる。

 

「ああ。少し時間はかかるだろうが、何とかなるよ。……何とかするさ、絶対に」

 

 これを治すには、いつもの万象再現(リプロダクション)だけでは足りないだろう。万象再現が『再現』できるものにも、時間的な制限がある。何かの形で力を上げるか、他の方法で補充するか。いざとなったらインデックスの知識も借りようか。

 

 そんなことを考えていた時、轟音が響いた。

 

「な、なによこれ!?」

「超爆弾だと思います! やつら研究所を丸ごと超爆破するつもりですよ!」

 

 あたりの壁が、少しずつ崩れていく。だが危機的な状況とは対照的に、俺は落ち着いていた。

 

「えっと、確認なんだけれど。ここって一階だよな?」

「ってことは余計に危険じゃない! アタシ達このままじゃ瓦礫の下敷きよ!」

「慌てんなって」

 

 俺はそう言うと、近くの壁を適当な大きさで構成変換(コンスチチュートチェンジ)でくり抜いた。そして、それを相対変換(レラティブ)で上に発射する。

 

 それによって、建物を丸ごと無に帰した。

 

「はあ、アンタって本当に何でもありね」

 

 月光に照らされる中、御坂が言う。

 

「まあな。つーか、あいつら研究所ごと俺たちを埋める方針で来やがった……。つまり、ここのデータはどこかにバックアップが取られているということか」

 

 まあそれでも、もうそのデータは不要な訳であるが。

 

「じゃあ、帰るか」

「ええ」「はい」

 

 

 

 帰った後、俺はうみちゃんの機械の腕を外し、ただの鉄くずにしてから就寝した。ちなみにベッドは少女2人に占領されたので、風呂場で寝た。

 

 で、その翌日。

 

「いい匂いがするな……」

 

 俺は台所から匂ってくるそれで目が覚めた。

 

「黒夜! 駿斗兄ちゃんが超起きましたよ」

 

 最愛の声が聞こえる。……あれ? なんで俺が起きたって分かったんだ?

 

 そう思った直後、風呂場のドアは開きっぱなしであったことに気がつく。ドアを開ける音がしなかったから、近くに来たことに俺が気がつかなかっただけか。

 

 俺が食卓に向かうと、そこにはすでに朝食が用意されてあった。

 

「サンキュー。朝食作ってくれたんだな」

 

 俺は2人に声をかける。すると、うみちゃんは料理の手を止めて俺の方に向き直って言った。

 

「ごめんなさい。駿斗兄ちゃん」

 

 それだけを言うと、うつむいてしまった。

 

 俺はその下げられた頭にぽん、と手を置くと言った。

 

「おかえり」

「……ただいま」

 

 

 

 俺は朝食を済ませると、2人には少し待っていてもらい、隣の当麻の部屋に行った。

 

「おはよう。朝早くに悪いんだけれど、インデックスに頼みがある」

 

 俺がここに来たのは、海鳥(朝食の時に呼び方を変えさせられた)の腕を取り戻すためだ。万象再現で再現しきれなかった腕を、十万三千冊の知識を借りて復活させたいのだ。

 

 俺は当麻とインデックスに2人のことを話した後、相談をした。

 

「うん、事情は分かったんだよ。うみどりの腕を再生できるような術式はいくつかあるんだよ」

 

 俺はその言葉にほっとする。インデックスの指導の下、術式を使うための魔方陣を組み立て始めた。

 

 俺の幻想創造(イマジンクリエイト)は学園都市で開発された能力ではない。だったら、俺も魔術を使える可能性はあるはずだ。

 

「文字。星に円。本。石。……こんな感じか」

 

 陣は完成した。海鳥と最愛を呼び出す。

 

「っと……超何なんですか、この部屋は!?」

「うわ。すげえオカルティック」

 

 2人が部屋の様子に驚く。まあ、魔術を知らない人間はそうだろうな。

 

「じゃあ、これで海鳥の腕を復活させるぞ。じゃあ、当麻は出て行ってくれよ?」

「了解」

 

 幻想殺し(イマジンブレイカー)による魔方陣の破壊を防ぐために出て行ってもらう。

 

「じゃあ、始めるか」

 

 俺は以前不完全ながら解析したステイルの魔力を『再現』し、回復魔術を使い始めた。

 

 海鳥の体が光に包まれる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。