とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
第36話 海辺での異変
ここは海の家、わだつみ。学園都市の外である。
学園都市は外部に対して閉鎖的で、極力学生を街の外へ出すことを好まない。なぜなら、自分たちだけの技術である『科学的な能力開発の被検体』を外に出したくないのだ。
そのため、普通は学園都市の学生が外にいることはない。しかし、
「とうまー! はやとー! 海があるんだよ! 海!」
俺たち――上条当麻と神谷駿斗はこの海辺にいた。
話は数日前、最愛と海鳥の2人が常盤台中学の見学に行った直後にさかのぼる。
いきなり学校から連絡がかかってきたため俺たちは夏休みであるのにも関わらず、職員室を訪れた。
そこで小萌先生から聞いた衝撃の事実。……というかなんというか、俺たち(主に当麻)が学園都市最強の
そのせいだろう、と納得したのは、当麻(だけ)は腕に覚えがある学生から追いかけられる毎日を送っていたこと。それは学園都市の治安を考えると、上層部としてはいい迷惑だったのである。
結果、学園都市のお偉いさんは、この騒ぎを治めるからしばらくの間どっかに行ってろ、と騒ぎの中心である二人を外へと追い出すことを決定。小萌先生を通じてここを紹介してきた。
「とうまー、海で変な帽子拾ったんだよ! だからとうまにあげるね!」
元気な笑顔でそう言ったインデックスは、その手に持った透明な生命体……クラゲを何の容赦も無く当麻の顔へと押し付けた。
「ぎゃあぁぁ!!!」
「っておい! しゃれにならないぞ、それ!」
俺は慌てて引きはがしにかかる。
当麻の不幸はこんなところでも平常運転だった。
「いててて…」
「ごめんねとうまー…私、クラゲを見るの初めてだったんだよ」
で、今は宿へと戻って当麻の治療真っ最中だ。
「とうまー、大丈夫?」
「あ、あぁ大丈夫…ちょっとヒリヒリするけど、ギリギリ、何とか、多分」
無理すんな。
「当麻の治療もすんだところで、本題に移ろうか? この数日間考えても、結論が出せなかった議題だ」
俺が話し始めると、当麻は頷いた。つまり、
「インデックスのことを、どうやって説明するか」
実はここに、当麻の両親がやってくることになっているのだ。それで問題となったのがインデックスのことをである。
ぶっちゃけ、あの人達をどうやってごまかせばいいのかなんて見当も付かない。だけど、適当にごまかすしかない。
最愛と海鳥だったらまだ学園都市の人間だからいいのだが、インデックスはイギリス清教、つまり『魔術サイド』の人間だ。まあ適当にシスターさんだということでごまかせばいいのだが、科学の総本山である学園都市にはほとんどそのような宗教関係者はいないため(魔術師は除く)、うまくごまかせることができるのかなあ、といったところである。
「まあ、何かしらのきっかけで出会ったところで仲良くなった……といった説明がベストだよな。きっと」
「ああ。つーか、それ以外思い浮かばないんだけど」
まあ、そのきっかけをどうするのかが問題なのだが。どうしようかな。と言っても、俺には両親の記憶なんて無いから『親』というものとどうやって接したらいいかなんて、よく分からねえんだが。
そして翌日だ。俺は何か空気というか、世界全体に流れるものに何か奇妙な感じがするのを覚えながら、当麻と一緒に外で人を待っていた。
「お久しぶりです、刀夜さん」
「父さん、久しぶり」
当麻の父親、上条刀夜さんだ。少し後には当麻の母親の詩菜さんといとこの乙姫ちゃんも来るらしい。
「当麻に駿斗くん。どうだ、変わりは無いか?」
「ああ」「はい」
そして当夜さんは「そうだ」と言うと、いつものように出張先のお土産を渡してくれた。当夜さんは仕事で海外の様々なところに出張することが多く、そのたびにいつも俺たち2人にお土産を買ってきてくれる。今回はインドの象のような神様の置物だった。
「そう言えば、引っ越しをしたんですよね?」
「ああ。本当は昨日の夕方には来る予定だったんだがな。引っ越したばかりで何がどこにあるやら。すまなかったな「お兄ちゃーん」お、来た来た」
どうやら乙姫ちゃんが来たようだ、と俺たちは声のする方向を見て……絶句した。
完全に思考がフリーズした。
「ああもう、お兄ちゃん。会いたかったよー!」
荷物も放り出して当麻の胸に飛び込んだ
「ねえ、当麻お兄ちゃんと駿斗お兄ちゃん。後で海に連れて行ってよ、海!」
「み、御坂!? ちょっと待てやコラ!」
ねえ、いいでしょー? と言う御坂(乙姫ちゃん?)を当麻は慌てて突き放す。
「何? お兄ちゃん」
「何じゃねえだろ! 何でお前がここにい「当麻」る? ……って何だ駿斗!?」
慌てたまま叫ぶ当麻に俺は分かったことを言う。
「また、面倒ごとが起こったみたいだぜ?」
その後いくつか分かったことがある。
1つ目は、これは世界規模で人の心と体が入れ替わる現象であるということ。当麻の母親がインデックスだったり、インデックスが青髪ピアスだったり、宿の人がステイルだったり。
2つ目は、このことには一部の例外を除いてみんな気がつかず、違和感なく生活しているということ。
そして、3つ目……魔術的な力が今、この世界に満ちているということ。
「はあ、で原因は分からないのか?」
町中を確認してからの帰り道、当麻が聞いてきた。
「流石にそこまではな……」
とにかく、俺たちには魔術に対する知識が少なすぎる。俺は最近、少しずつインデックスから勉強させてもらっているものの、それでもまだ基礎的な範囲にも遠く及ばないのだ。
と、宿へと続く階段を上っていると。
拘束具を身につけた金髪の少女が立っていた。
「駿斗」「ああ」
さあ、