とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
第43話 新学期
俺たちの通う高校は、変則的な造りの学校が多々ある学園都市においてもあくまでスタンダードを極めようとしているらしく、外の学校と同じくらいに平凡で個性がない高校である。ちなみに制服は男子が学ラン、女子がセーラー服だ。
そのように、あくまでも一般的な高校……と言いたいところだが、そこに所属している人間は魔術サイド出身の多重スパイであったり、学園都市統括理事会所属の一人、貝積継敏のブレインを務める天才少女だったり、学園都市統括理事会きっての穏健派を親に持つ女教師であったりと、実はすごい人が集まっていたりする。
さらに個性的な人間と言えば、シリアスをコミカルに始末する女(
で、俺と当麻はその中の一人、担任の
「AIMはAn_Invountary_Movemento……『無自覚』という事です。件のAIM拡散力場とはその名の通り、能力者が体温みたいに自然に発してしまう力のフィールドの事ですね。発電能力者なら磁場。発火能力者なら熱量を知らず知らずのうちに周囲に展開してしまう……といった具合に。もっとも、精密機器を使わなければ計測できないレベルのものなんですけどね」
身長135センチという、どこからどう見ても小学生にしか見えないこの人だが、専攻の『
「もしそれがさらに進歩すれば能力の強さや種類を測る事ができるかもしれません。『ムムッ、ヤツの戦闘力は7万ポイントだ』みたいな感じで」
「へー(駿斗も多分、できるんだろうな)」
「AIM拡散力場か……」
俺はその言葉を聞いて、夏休みにある研究所で敵対した『アイテム』所属のジャージの女を思い出した。
まあ、今更最愛を追跡することはないだろうが。
教室のドアを開けると、
「おはーっ、カミやーん! はやとんも一緒かー」
第一声に、一足先に学校に来ていたらしい身長180cmに届く大男、青髪ピアスに野太い声で熱烈歓迎された。
まだ時間に余裕があるのか教室にいる生徒の数は半分程度である。
「んー? どしたんカミやん。まさかここまで来て夏の宿題全部ウチに忘れてもうたー、なんて愉快に不幸な事実に気がついたとか? はやとんは大丈夫やろうけど」
青髪ピアスの発言に、教室にいる男女の視線が当麻に集中した。教室がざわめき立つ。
「あ、なに? 上条ひょっとして宿題忘れてんの?」とか、「うおおやったーっ! 俺達だけじゃねぇ! 仲間は他にもいたーっ!」とか叫び始めるクラスメイトに、俺たちは呆れてしまった。
「んな訳ねーだろ。宿題ならちゃんと終わらせてんぞ。ほれ」
しかし、その当麻の一言で状況は一変する。
ガタガタッ、と多くのクラスメイトがイスから転げ落ちた。
「か、上条が宿題をやってくるなんて……これは何かの前触れだ!」
「上条! ここはいつも通り不幸を発揮する所だろっ!」
「上条君、私の事守ってくれるんじゃなかったの!」
「カミやん! 小萌先生は手間のかかる生徒の方が好きなんやで! だから、ボクは小萌先生に怒られたいからわざと忘れてきたというのに敢えて全部忘れてきたのに!」
2学期になっても変わらないクラスメイトに、俺はため息をつく。
「お前ら、俺がいること忘れてねえか? 当麻の不幸があろうが、なんとかさせるに決まってるじゃねえか」
ちなみに、俺のクラスの中でのポジションは『上条当麻の監督係』だの『困った時には助けてくれる都合のいい存在』程度に思われているのではないかと俺は推測していたりする。
「くそ、はやとんか……」
「っていうか、当麻が宿題忘れたとしてもそれでお前らが見過ごされるわけではないんだぞ?」
俺はため息をついた。
「はいはーい、それじゃさっさとホームルーム始めますよー。始業式まで時間が押し切っちゃてるのでテキパキ進めちゃいますからねー」
担任である月詠小萌先生が教室に入ってきたので、クラスの全員が席に着き始める。
「センセー、土御門クンは?」
「お休みの連絡は受けてませんねー。もしかしたら、お寝坊さんかもしれません」
クラス委員の青髪ピアスの問いに、小萌先生は首を傾げながら答えた。そう、土御門がなぜかいないのだ。
また魔術的な事件でも起こったんじゃないだろうな……と俺は少し眉をひそめる。
「えー、出席を取る前にクラスの皆にビックニュースですー。何と今日から転入生追加ですー」
小萌先生のその一言で教室がざわめき立った。
「先生、女子ですか?」
「それは……」
と、小萌先生は少しためをつくると、
「おめでとう野郎どもー、残念でした子猫ちゃん達ー」
女子だぁ!! とクラスの男連中が色めき立つ。
「(なあ、駿斗。転入生って果てしなく嫌ぁ~な予感がアリアリなんですが……)」
その喧騒の中、前の席に座る当麻がこっそりと俺に話しかけてくる。
「(分かったよ。何かあったら俺が対処するから……っていうか、周囲に強い魔力もAIM拡散力場も感じないから大丈夫だとは思うが)」
さあ、誰だろうか。呼吸も忘れて転入生が入ってくるのを待つ。
「どーぞー」
小萌先生のその言葉の直後、教室の入り口の引き戸がガラガラと音を立てて開かれた。
俺たちは誰が来るのか、目をかっと見開いて――
「あーっ! とうまだー!」
「なあ!?」
――前のめりでずっこけた。
出てきたのは三毛猫を抱えた白い修道服のシスターだった。俺が思わず