とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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第45話 地下街へ

「実際に彼女の姿を見た者は誰もいない」

 

 霧ヶ丘では誰もが風斬の名前を知っている。それだけではなく、風斬の能力を調べる為の研究所まであったという。しかし、

 

 何年何組に在籍しているのか、そして、容姿ですらも誰にも分からない。

 

「風斬に関して。気になる噂がまだある。風斬氷華は。一部の人間から。『正体不明(カウンターストップ)』と呼ばれていると。曰く――

 

―――風斬氷華は。『虚数学区・五行機関』の正体を知るための“鍵”

 

だと」

 

「『虚数学区・五行機関』だと……?」

 

 夏休みに佐天さんと何回か会った時に、都市伝説が好きな彼女から聞いたことがある。

 

 確かにそこにあるはずなのに誰もその存在に気付かない、学園都市の23学区のいずれにも当てはまらない架空の最初にして最暗部に存在する『見えない研究所』。

 

「だから。気をつけて」

 

と姫神は俺たちに忠告すると、その場から立ち去ろうとする。

 

「あっ、ちょっと待てよ。俺達これから遊びに行くんだけど、お前もどうだ?」

 

 俺の声に姫神は振り返る。

 

 意外なことを言われた、そんな顔をしていた。

 

「……。小萌の……バカ」

「は?」

 

 姫神の小さな声が聞き取れなくて、俺は聞き返す。

 

「何でもない。用事を頼まれているから。私はいけない」

 

 少しがっかりした様子で姫神はそう言うと、俺たちに背を向けて歩き出した。しかしすぐに、何か言い忘れていたように姫神は立ち止まって振り返る。

 

「時に。あの風斬氷華は。どうやってこの学校に入ったの?」

「え? 確か……インデックスの話だと、転入生だとかって」

「そう」

 

 当麻の言葉に姫神は一言だけ答えると、

 

「でもね。記録では。転入生は私1人しかいないはずなのよ」

「……は?」

 

 姫神はもう一度だけ「気をつけて」と言い残して立ち去った。

 

 ……やっぱり、風斬氷華の正体は――

 

 

 

「おー。とうま、これがウワサの地下世界なんだね」

「地下街な、地下街」

 

 はしゃぐインデックスに当麻が適当にツッコミを入れる。

 

 あれから、俺たちはインデックスと風斬と共に地下街へとやってきた。

 

 土地不足でなおかつ地震大国である日本だが、学園都市には世界最高レベルの地下建設技術を高める為の実地テストの一環として、あちこちに多くの地下街が造られている。

 

「とりあえず、飯でも食いますか。インデックス、何か希望とかあるか? あー、高いトコと行列ができるトコは禁止な」

 

 今日のインデックスの食事は、当麻が担当である。

 

「そんな所行かなくても良いよ。安くて美味しくて量が多くてあまり人に知られていないお店がいい」

「むしろ探し出す難易度が上がったような……で、風斬は?」

 

 俺はそう言って風斬の方を振り返った。

 

 

 

「がくしょくれすとらん?」

「そう、学食レストラン」

 

 地下街と同じように良く分からない顔をするインデックスに当麻は言葉を返す。俺たち4人はあれから色々とあったものの、昼食の為にごく普通のファミレスのようなお店に入っていた。

 

 4人掛けのテーブルに、俺&当麻とインデックス&風斬が向かい合うように座っている。

 

 で、ここは学食レストランという名の通り、学園都市中の学校の給食を食事する事ができ、普段、他の学校はどのような物を食べているんだろうという興味と疑問を解消してくれるのがウリである。

 

「平たく言っちまうと、あれだ。給食っつう学校でしか食べられない料理が食べられるんだ」

 

 俺は説明する。

 

「す、すごい。限定商品というヤツだね!」

「……あー。なんかもうそれでいいや。レアだぞレアー」

「あの……説明が、面倒臭いからって……ほったらかしにするのは、どうかと……」

 

 適当な受け答えをしている当麻に代わって風斬が腰の引けたようにしながらも注意をするが、インデックスの耳には届いていないらしい。

 

「とうま、はやと。これ何でも頼んじゃってもいいの?」

「あー、高いのは禁止な」

「常盤台中学給食セットとかはなしな」

 

 俺は釘を刺しておく。メニューを見て思わず「ここに最愛と海鳥を通わせたのは間違いだったかもしれない」と思ったほどなのだ。

 

 なぜなら、1食が4万円。大能力者(レベル4)の奨学金ならば大丈夫なのかもしれないが、いずれにしても、普通の学生の1か月の食費すらも超えるだろう。

 

「ええ! なんでだめなの!?」

「俺たち無能力者(レベル0)にそんな金があるか! そもそも俺たち二人を併せても、食費の半分がお前の食事代なんだぞ! 少しは遠慮と言うものを覚えろ!」

 

 俺はインデックスに説教をする。窒素少女たちがいれば奢ってもらえたのかもしれないが、あいつらは多分御坂たち常盤台の中学生か、もしくは佐天さんや初春さん辺りと一緒にいることだろう。

 

「……あ、あの…私はこっちがいい、です……」

 

 と、ぎゃあぎゃあと騒ぐ俺たちの横から風斬が同じページにあるものの、ごく普通の給食のメニューを指し示す。

 

 こっちは、420円と手ごろな値段である。

 

 俺たちはほっ、と安心してしまった。

 

「ほら見なさいインデックス、これが優等生の答えというものだ」

「えー、ひょうかの好みはちょっと地味かも。私はもっと派手派手のものが食べてみたい」

「食べ物は見た目じゃなくて味で選ぼうな、インデックス。あと、どさくさに紛れて風斬に常盤台中学のセットをお勧めしてんじゃねェバカ! 風斬も地味とか言われて本気で凹んだり考え直そうとしなくても良いから!」

 

 その後、再び風斬が当麻に怯えたり、インデックスが不公平だと訴えてきたり、と事態はまたまた混乱状態に陥るのであった。

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