とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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第46話 テロリスト

「不味くもないけど美味しくもなかった。うーん、どういう事なのかな。この胸の内に残る、微妙に欲求不満気味なモヤモヤは……」

「毎日食う為に作られたメニューだからな。美味い不味いより飽きられないように工夫してんだろうさ」

 

 給食を食べ終わり、俺達は地下街にある『内部系』――学園都市内で開発されたもので『外部系』、つまり、学園都市外と比べると2、30年は進んでいるもの――のゲームセンターで遊ぶ事にした。

 

 店内には最先端の技術であるハイビジョンや3Dゴーグルを利用した仮想現実(バーチャルリアリティ)系のゲームなど、学園都市ならではのものであった。

 

「全部! 全部やる!! はやと、とうま! まずはあれからやってみたいかも!」

「全部はダメだ! いいな!」

 

 好奇心旺盛の少女が目覚めてしまい、俺と当麻は慌てて収拾をつける。

 

 

 

「ふー。あー面白かった。私はもう満足満足かも」

「……お前にはもう少し我慢と言うものを覚えさせた方がいいようだな」

 

 はあ、と俺たち2人がため息をついてもこの少女は何も反省する様子がないようだ。

 

「とうま、はやと。次は何して遊ぶの?」

「……ちょっと休ませてくだせぇ」

 

 当麻は疲れ切った顔をしている。 

 

「もう一周してみる?」

「いいかげんにしろ!」

 

 イギリス清教にはやはり、インデックスの生活費の請求書を送りつけた方がよいかもしれない、と思った。

 

 すると、

 

「あ、やっぱり神谷さんですよね!」

「「駿斗兄ちゃん!」」

 

 と聞きなれた声がする。

 

「あ、佐天さん。最愛に海鳥も」

 

 後ろを振り返ると、中学の制服に身を包んだ三人がいた。

 

「お久しぶりです!」

 

 そういえば、夏休みの後半、御使落し(エンゼルフォール)以降は宿題の片づけに忙しく、そもそもメルアドも交換していない彼女とは全く会っていなかった。

 

「えっと、佐天さん、久しぶり。幻想御手(レベルアッパー)の事件からしばらく経ったけれど、調子はどう?」

「はい、おかげさまで! 明日早速身体検査(システムスキャン)があるんですけれど、今までにない記録を出せそうです!」

 

 彼女は本当に嬉しそうに笑顔でそう言ってくれるので、手を貸したこちらとしても非常に嬉しい。

 

「2人はどうだった? 常盤台での学校生活初日は」

 

 初めての中学校生活について聞いてみる。

 

「少し大変でしたけど、まあ大丈夫だったと超思います」

「まあまあ、かな。絹旗と同じ感じだ」

 

 2人の滑り出しは大丈夫だったようで俺はほっとした。

 

 新たに合流した3人に風斬を紹介した後一緒に行動することになったのだが、その3人とインデックスが急に立ち止まった。

 

「ん? どうしたんだ?」

「いま、何か声がしたかも」

「どうやら、風紀委員(ジャッジメント)念話能力(テレパス)による呼びかけみたいだな。ここから出ろってさ。何かあったらしい」

 

 インデックスと海鳥がそれぞれ説明してくれる。そうか。俺や当麻には精神系能力は基本的に通用しないから気が付かなかった。

 

 俺に精神系能力が効かない理由ははっきりとは不明だが、無意識のうちに幻想創造(イマジンクリエイト)がそれを相殺するような力を発生しているのではないか……と俺は推測している。

 

「じゃあ、早く出ましょう」

「まあ、そのほうが超いいでしょうね」

 

 佐天さんと最愛がそう話す。が、俺はある力を感じ取っていた。

 

 魔力。

 

「(おい、当麻とインデックス。また不幸の始まりらしいぜ? もう俺たちはこのような運命から逃れられないらしい)」

「(勘弁してくれよ。はあ、不幸だ……)」

「(まずは、術式の様式と性質を見極めることを急いだ方がいいかも)」

 

 俺たちは小声でやり取りを交わし、対策を練る。すると、「ちょっと!」と言う声がして風紀委員の1人がやってきた。どうやら、この呼びかけをしている人のようだ。

 

 テロリストがこの地下街に紛れ込んでいるので、『特別警戒宣言』が彼女の念話能力によって発令。

 

 902秒後には捕獲作戦が実行される為、隔壁を降ろして地下街は封鎖されるとの事。

 

 これから銃撃戦が始まりますので、テロリストに勘付かれないように騒ぎを起こさず、できるだけ自然に避難してください。

 

 その要件を伝えると他の人たちの誘導に移った。

 

 すると、その直後。

 

『―――見ぃつっけた』

 

 それは女の声だった。

 

 ただし、壁にへばり付いた人間の眼球のようなものから発せられていた。

 

「な、何なんですかあれ……」

「超気色悪いです」

 

 佐天さんは怯えたような表情をしているが、最愛と海鳥は逆に攻撃的な目つきになる。

 

『うふうふうふふふ。禁書目録に、幻想殺し(イマジンブレイカー)に、幻想創造に、虚数学区の鍵……よりどりみどりね。まずは何からいただこうかしら―――』

 

 インデックスが素早く解説を入れてくれる。 

 

「土より出でる人の虚像――そのカバラの術式、アレンジの仕方がイギリス清教(ウチ)と良く似てるね。ユダヤの守護者たるゴーレムを無理矢理に英国の守護天使に置き換えている辺りなんか、特に」

「ゴーレムって、この目玉が?」

 

 当麻は思わず壁にへばりついている泥の眼球を指差す。俺たちにとっての『ゴーレム』とは、岩石でできた鈍重な巨大人形だ。

 

「神は土から人を創り出した、っていう伝承があるの。ゴーレムはそれの亜種で、この魔術師は探索・監視用に眼球部分のみを特化させた泥人形を作り上げたんだと思う。本来は1体にゴーレムを作り上げるのが精一杯だけど、これは1体あたりのコストを下げる事で、大量の個体を手駒にしてるんじゃないかな」

 

 インデックスの解答に、眼球は泥の表面を震わせて妖艶な笑い声を発した。

 

「何が起こっているんですか……? それに、どうして皆さん平然として」

「最愛に海鳥。佐天さんを連れて速やかに外へ。こいつらの目的は俺たちと風斬だけみたいだから」

 

 怯えている佐天さんを悪いが無視させてもらい、俺は2人に指示を飛ばす。

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