とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
「うう、不幸だーっ!」
学園都市にいつもの声が響く。
上条当麻は魔の手から逃れるために現在爆走中である。なぜなら、ナンパされていた女の子を助けようと思ったら、逆にその女の子に攻撃されてしまったのだ。
都市部を離れ、大きな川の上に跨る鉄橋の上に到達した。
人気のなく、ライトアップもされていない鉄橋。辺りは闇に包まれている。
「追手がいなくなった? やっと撒いたか――ッ!?」
突如、その闇を稲妻が切り裂き後ろからいきなり襲いかかる。しかし当麻は咄嗟に振り向き、その右手、
これは先ほどの
「何やってんのよアンタ。不良から少女を守って善人気取り?」
先ほど不良達に絡まれていた女子中学生からの攻撃だ。
「後ろの連中が追ってこないのは……まさか」
「うん、めんどくさいから私がやった」
バチバチ、と彼女は手から電撃を繰り出す。
「人がせっかく……」
「馬鹿にしないで、私は
当麻は以前に御坂と会ったことがある。そのため、彼女の性格を知っている当麻は、不良達が黒焦げになる前に穏便に片付けようとしたのだ。
うわぁ、と当麻が溜息をつくのも無理はない。美琴はそれを気にせずに髪をかき上げて言う。
「ったく、アンタのせいで情報取り逃がしちゃったじゃない」
予想外のその言葉を言われた当麻は、御坂に尋ねる。
「情報?」
「才能の不足をズルして補う裏技の噂があってねー」
事情を知らない当麻には、その言葉が適当に返事をされたものに聞こえた。
「何だそりゃ」
御坂は口の端を歪める。
「まったく、私の電撃を無力化するような力を持ちながら不良相手に逃げたりして、強者の余裕ってヤツかしら?」
「だから俺は
「うそつけっ」
ズドンッ、と御坂は当麻のいうことを遮り電撃を放つ。
「何が
御坂は当麻に何度も電撃の槍を放つが右手に全て打ち消されてしまう。磁力で作った砂鉄の剣も右手に触れた瞬間崩れてしまった。
「あたしが32万分の1の天才なら、あんたは230万分の1の
「……何て言うか、不幸っつーか……ついてねーよな」
当麻は余裕綽々の態度を取り繕う。
(死ぬ! ホントに死ぬ!)
……内心を悟らせないように顔を引きつらせながら、であるが。
「何ですって?」
「いくらやってもお前の攻撃は俺には効かないんだ。これ以上続けても不毛なだけじゃねーか。だから…こんな無意味なことはやめてもっと若者らしく青春を謳歌しないか?」
確かに、御坂の攻撃はすべて幻想殺しで防がれてしまうので、当麻の意見は尤もである。
しかしそこに突然、闖入者が現れた。
「……さりげなくくさいセリフ吐かないでもらえます? 上条サン」
「……駿斗」
……さて、まさかこんなところに出くわすとはねえ。
「……あんた誰?」
名門、常盤台中学の制服に身を包んだ少女は、俺をにらみつけてきた。
「そうだな、爆弾魔を気絶させておいたやつって言えばいいか?」
「あんたがやったの? まあいい、名前と能力のレベルは?」
「神谷駿斗。
俺がそう言うと相手は疑うような視線を送ってきた。
「へえ……まさかあんたもそこの230万分の1の天災と同じだったりはしないわよね?」
「ん? 方向性は違うが、変わった能力はあるぞ?」
当麻が『言うのかよ』みたいな視線を送ってきたが、スルーだ。
「じゃあそれを見せてもらおうかしら」
「いいぜ、見せてやるよ。当麻は家に帰っとけ」
「いくわよ!」
御坂は電撃の槍を放ってくるが、俺は
「くっ!」
相手はもうその程度では驚かないのか、砂鉄での攻撃に切り替え、俺の周りを囲んで逃げ道を塞ぐ。いい判断だ。軌道修正は見えないものの軌道を変えることはできないからな。
俺は
「発電能力者ができるのは電撃、磁力を使った鉄による物理攻撃。あとはせいぜい電磁波で空間把握をするってところか?」
「なっ」
「悪いが、終わらせてもらうぜ?」
俺は結晶を大量に結合して相手を閉じ込めた。
「終わりっと」
中からガンガンと音が響いてくるが、人が叩いた程度で結晶が割れるわけがない。砂鉄の剣も無意味だ。
結晶とは原子や分子、あるいはイオンが規則正しい配列をしている固体のことだ。そのため、そこら辺にある物体よりも固い。なお、厳密には結晶にも様々な種類があるが、ここではイオン結晶と共有結合による結晶を指していると言っておこう。
俺はそのまま帰り、できるだけ離れた後で結晶を分解した。
軌道修正(オービットアドジャスト)
あらゆる運動の軌道を変える能力