とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

50 / 108
閑話
第50話 とある少年少女たちの憂鬱


 戦争を起こすためにやってきた魔術師と戦い、さらに学園都市の都市伝説の一つ、『虚数学区』の秘密に迫った昨日、9月1日は何とか無事に終了した。

 

「はあ。なんだかどんどんやばい方向に向かっている気がするな。一昨日は俺たちに刺客が送られて来るし、昨日はガチで戦争を起こす気満々で来やがったし」

 

 2日の朝、俺は朝食を食べながら目の前の銀髪少女にそんなことを言っていた。

 

「はやともとうまもどんどん魔術師を倒しちゃうからね。それに、能力を持っていながら魔術を使えるはやとはそれほど驚異的な存在なんだよ」

 

 俺の前に座り、俺の2倍以上の量の朝食を食べているインデックスはそう言う。

 

「まあ、海で土御門に拒絶反応の傷を見せられたからな。俺がかなりの異分子(イレギュラー)だということは分かってはいるんだけどさ」

 

 俺は学園都市で能力開発を受けているはずなのに、魔術を使うことに何の問題もない。本当に、この幻想創造(イマジンクリエイト)ってのは何なんだろうか。神裂によると、海では暴走した挙句に天使の力(テレズマ)を完全に掌握していたとか言っていたし。

 

 ちなみに天使の力四種類、神の火(ウリエル)神の如き者(ミカエル)神の力(ガブリエル)神の薬(ラファエル)を完全に掌握するというのはもはや神の領域と言って差し支えないだとか。

 

「つっても、意識的には扱えるものではないんだよな……」

 

 そもそも、天使の力は別位相から『呼び込む』形で使うものらしいから、いくら大能力(レベル4)クラスになったとはいえ、万象再現(リプロダクション)で『再現』できるものなのだろうか。あの力は科学的な『能力』を参考にして『疑似的な自分だけの現実(パラ・パーソナルリアリティ)』によって発動しているものなのだが。

 

「まあ、はやとはまだまだ魔術については素人だからね。簡単に天使の力なんて扱えないと思っておいた方がいいかも」

 

 インデックスはそんなことを言った。

 

 十万三千冊を記憶している目の前の少女すらも、幻想創造の正体は知らないようだ。

 

「しかしなあ。2学期になって学校が始まっても苦労が絶えない当麻と俺って……」

 

 はあ、とため息が出た。

 

 

 

 そんな少年のことを気に掛ける柵川中学1年生の少女は、その日の朝からため息をついていた。

 

「(はあ……せっかく神谷さんに久しぶりに会えたのに、結局あまり話すことができなかったなあ。それに、そもそも絹旗さんと黒夜さんは神谷さんと仲がいいみたいだったな? どういう関係なんだろ?)」

「佐天さん。佐天さんってば!」

 

 突然思考を遮った声の主を佐天は見る。

 

「あ、初春。何?」

「『何?』じゃありませんよ! さっきから声をかけても何の反応もしてくれませんでしたし!?」

 

 今日も花飾りを頭にのせている彼女の親友は、珍しく大声を出す。

 

「ほんとにどうしたの涙子?」

 

 佐天と同じく駿斗により強度(レベル)が上がった友人の1人、アケミが話しかける。

 

「な、何でもないから、さ。ほ、ほんとに」

「佐天さん嘘はいけませんよ。昨日神谷さんと久しぶりに会えて嬉しそうだったじゃあないですか」

 

 初春のその言葉にアケミが食いついた。

 

「何! 何があったの涙子? 神谷さんって、幻想御手(レベルアッパー)の時のあの人だよね!? まさか付き合い始めた、とか!?」

「ふえっ!? つ、付き合うとか、そんなんじゃなくて……」

 

 顔を真っ赤にする少女に友人たちは容赦なく追及にかかる。 

 

 

 

 同じ頃。同じ少年のことを気に掛ける常盤台の1年生2人と2年生1人は頭を悩ませていた。

 

「はあ。昨日は結局、テロ騒ぎのせいで駿斗兄ちゃんと超一緒にはあまりいれませんでしたね。黒夜」

 

 常盤台の1年生の教室。

 

 茶色い髪を、肩までかかるかからないかくらいのボブカットにした少女、絹旗最愛は後ろの席の長い黒髪の少女、黒夜海鳥に声をかける。

 

「だよな。結局どんなやつと戦っていたのか、と聞いても『念動力系統の亜種だ』としか言ってくれなかったし」

 

 彼女らは不満げにそう話す。

 

「一応私たち他の人たちに比べたら実戦経験とかも超あるんですから、もっと頼ってほしかったんですけれど」

 

 そう話す彼女たちに白井黒子を含めた3人の少女が近づいた。

 

「絹旗さんに黒夜さん。どうかされましたか?」

 

 ライトブラウンのウェーブのかかったセミショートの髪と黒のロングの髪を持つ女の子が2人。湾内絹保と泡浮万彬である。

 

 両者とも穏やかでおっとりとした印象を与える少女であり、駿斗と当麻が常盤台生に対して抱くイメージ通りの『お嬢様』である。

 

「白井と湾内に泡浮。ちょっと昨日のあったことで愚痴を超言っていただけですよ」

 

 最愛はそう返事をした。

 

「昨日、ですか? そう言えば、白井さんが昨日風紀委員(ジャッジメント)の仕事をしていた時に会ったと聞きましたが……」

「うーん、そっちじゃなくてな。そのときに会った幼馴染がなんか解決してしまってな。しかもその後、何にも話してくれなかったんだよ。風紀委員にさえな」

 

 黒夜は話すと再びため息をつく。

 

「「何をやっているんだろうか、駿斗兄ちゃんは」」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。