とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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法の書編
第52話 誘拐と修道女


 上条当麻と神谷駿斗の学生寮の部屋の前には2人の少女がいた。

 

「2学期と言うのは忙しいんだぞー。大覇星祭をはじめとして一端覧祭、他にも行事がたくさんあってお祭り尽くしなのだからなー」

 

 そう話すのは土御門元春の義妹である舞夏だ。

 

「でも暇だよ退屈だよつまんないよ! 当麻も駿斗も全然遊んでくれないし!」

「上条当麻も神谷駿斗もそれぞれの事情があるんだから。別に好きで学校に縛られているわけではないんだからなー」

「じゃあ、どうして舞夏は学校に縛られていないの?」

「私は例外なのだよ。メイドさんの研修は実地が基本だからなー」

 

 インデックスの言葉を涼しい顔をして返していく舞夏。

 

 しかしそうやって話していた時、突然インデックスの口が塞がれた。

 

「うん、そうだね」

 

 常にインデックスのことを第一に考えているはずの神父は話す。

 

「悪いけど、君がメイドになる時間も奴らをメイドにする時間もないんだ」

 

 

 

『大覇星祭まであと少し』

 

 そんな文字が書かれている飛行船のディスプレイを見ながら、俺と当麻は学校からの帰り道を歩いていた。

 

「あと10日もないもんな。つっても、俺たちの学校じゃあ頑張っても真ん中あたりが妥当ってとこか」

「まあな。俺もばれない程度にしか使わないからな」

 

 大覇星祭。

 

 学園都市に所属する全学校が合同で行う超大規模な体育祭であり、開催期間は9/19~25の七日間。

 

 その為、燃える魔球や凍る魔球、消える魔球はザラであり、外部からの注目度も高い。おまけに生徒の関係者やただの一般客も開催中は学園都市に入る事ができ、応援・観戦等で開放区域を自由に移動する事ができる。

 

 ……なんだろう。これを機に魔術師がやってくる未来予想図しか出てこなくなってしまったんだが。

 

 大覇星祭に向けて何か対策とかできないのかな。主に魔術師に対しての。

 

 そんなことを考えていると、俺たちは学生寮に近づいてきた。

 

「かっ、かかかっかっ、上条当麻ー! 神谷駿斗ー! 緊急事態だ緊急事態だぞ! 銀髪シスターが何者かにさらわれちゃったー!」

 

 学生寮の玄関にいた土御門舞夏が叫んだ。……はあ、また『不幸』の始まりか。

 

 

 

 先ほど世間話をしていたら、インデックスが誘拐された。

 

 彼女は10万3000冊もの魔導書を頭に記憶している『魔導図書館』だ。彼女が誘拐される理由などいくらでもある。現に一度、それが目的で8月31日に誘拐は起きている。

 

「去り際に誘拐犯がこれを……」

 

 俺は舞夏から手渡された封筒を開ける。

 

『上条当麻及び神谷駿斗。彼女の命が惜しくば今夜7時に学園都市の外にある廃劇場、“薄明座”跡地まで2人でやってこい』

 

「……って、今時定規で筆跡隠しかよ」

「なあ、そいつはどんなやつだったんだ?」

 

 俺が聞くと、舞夏は犯人の特徴を話してくれた。

 

・身長が180cm以上。

 

・見た目だけではどこの国の人かは判別できなかったが、日本語が上手だった。

 

・神父みたいな恰好をしていた。

 

・でも、香水臭くて、肩まである髪が真っ赤に染まっていた。

 

・そして、両手の十本指には銀の指輪がごてごてついていて、右目の下にバーコードの刺青タトゥーが入っている。

 

・咥え煙草で耳にはピアスが満載。

 

「っていうか、お前の特徴を聞き出せば筆跡鑑定する必要もなくまるわかりだっての。ご丁寧に外出許可証まで用意しやがって」

 

 はあ、と俺たちはため息をつく。

 

「「ステイルか」」

 

 

 

「あの……」

 

 学園都市を出てバス停の近くを歩いていた時、そのバス停にいたシスターに声をかけられた。

 

「う……シスターさん……」

「そんな嫌そうな顔をするんじゃねえよ当麻。まあ、気持ちは分かるけど。どうかしましたか?」

 

 俺は一応返事をしてみた。

 

「学園都市に向かうには、このバスに乗ればよいのでございましょうか」

 

 その黒服のシスターはおっとりとした声で、丁寧な言葉づかいで話す。見た感じには外国の人だろう。ここに来る外国人と言うのは全員日本語をマスターしてくれているのだろうか? まあ、俺もあくまで高校レベルの英語でしかないから非常に助かるのだが。

 

「学園都市に向かうバスはねえよ」

「学園都市は外との交通機関は切断しているから、向こうのゲートで許可証を見せて通る必要がありますけど」

 

 俺たちはそう話す。

 

「その許可証というのは、どこでもらえばよろしいのでございましょうか?」

「うーん……正直一般の方だと厳しいかと……」

 

 俺は学園都市に入れる人について具体的に説明した。

 

「はあ。それでは、もう諦めるしかないのでございますね」

 

 すると、シスターさんはしょんぼりと肩を落としてしまった。

 

「ところでお前、どうして学園都市に行きたいんだ?」

 

 当麻が聞いた。

 

「あの……実は私、追われているのでございます」

「「追われてる?」」

 

 修道女の格好をしている少女が、科学側の総本山である学園都市へ逃げ込もうとしている。

 

「もしかしてですけれど……あなた、魔術と何か関連が?」

 

 そう言うとシスターさんは驚いたようだ。

 

「魔術を……知っているのでございますか」

「はい。っていうか、思いっきり絡まれてますけれど。先月だけでも5回ほど」

 

 っと、話がそれたな。

 

「で、学園都市に逃げるって話だけど。それだけじゃあ悪いけれど安全とは言えませんね」

「ああ。気合の入ってるヤツならバンバン侵入してくるし」

 

 先ほど話した5回のうち4回が学園都市内で起こったことだし。

 

「それではどうすれば――バスの路線図を読む事ができるのでしょうか?」

「何個前の話題だよ! しかも路線図ってなんか新ワードが追加されてるし! 学園都市に入る入らないの話はどこ行った!?」

 

 どうやら、一緒にいると退屈はしないものの、非常に疲れるタイプの人であるようだった。

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