とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
『神の教えを信じる者を殺めてはならない』という決まりがある。それによって、オルソラ=アクィナスは
しかし、教会から追い出されたものなどが『神の敵』というレッテルを張り付けられれば話は別だ。
そのために、オルソラは宗教裁判にかけられようとしている。
しかし、ステイルたちは簡単に助けに行けはしない。下手に手を出せば、『ローマ正教内部の問題にイギリス清教が手を出した』ということになり、戦争が起こりかねないからだ。
「まあ少年たち、そこまでへこむなって。イギリス清教に戦う理由がなくとも、俺たちには大ありなのよな。ちょっくら連中のアジトにお邪魔して、うちのバカどもを救出するついでにオルソラ嬢も助けてやるのよ」
建宮はそう言うと、俺たちに背を向ける。
「まさか、1人で行く気かい」
「なあに。こちとら、でかい組織とぶつかり合うことにはなれてるのよ」
建宮は歩いて行った。
「そう言えば、君に預けた十字架はどうしたんだい」
建宮が見えなくなったあたりで、ステイルが当麻に聞く。
「あ、悪ぃ。オルソラに預けちまったままだった。あれって重要なものだったのか?」
「いや、君が持っていることに価値があったんだが……もういい。どうせ、もう君が持っている必要はないだろうからね」
ステイルはそう言うと去ってしまったが、俺は最後の台詞が気になっていた。
『君が持っていることに価値があった』とはなんだ?
十字架というものが、十字教の象徴のようなものであることくらいは俺でも分かる。
それを持つ意味とは? 俺には分からない。
ちょっと待て。
十字架が十字教の象徴だとすると……。
当麻はオルソラ教会の扉に右手を叩き付ける。それだけで、結界はあっさりと消えた。
俺たちはためらうことなく扉を開ける。と、そこにはオルソラを囲い込んでいるローマ正教、アニェーゼ部隊の姿があった。
「ただの素人がなんで連れてこられたのかと思いきや……結界に対して絶対の力を持つ『何か』があるという訳ですか」
「結界はあまり良くないアイディアだったんじゃないか。ただでさえ、オルソラ教会って場所は分かりやすいんだから。魔力張り巡らせて、いかにもやばいことしてますってアピールしなくてもな」
俺は
「一応聞くけどよ。もう何か言い訳をするつもりはねえんだな?」
当麻は言葉の端々に怒りを見せながら言う。
「誤魔化す? 何を? ……この状況を見て分かんないんですか?」
200人以上の味方に囲まれているという優越感からか、アニェーゼは平然と言った。
「さあ、この人数相手にあなたがどういう選択を取るべきか、こっちが最後のチャンスを与えてやりますよ。まあ、どういう選択を取るべきかは分かっちまっていますよね」
「ああ。分かり安すぎて困るくらいにはな」
俺は言い返す。と、当麻がアニェーゼに一気に近づくと拳を叩きこんだ。
「何を……」
「「オルソラを守るに決まってんだろ!」」
俺たちが言うと、周りのシスターたちが武器を構えた。
「面白いですよあなたたちは……この状況で2人の人間に何ができるのか。見せてもらうとしましょうか!」
すると、教会の壁の一部が爆発した。そこから出てきたのは。
「全く。勝手に始めないでほしいものだ」
「「ステイル!」」
炎をまとったステイルがその穴から出てきた。
「ばかな、イギリス清教!? これはローマ正教内の問題なんですよ。内政不干渉は……」
「ああ。それは残念ながら適用されないよ? オルソラ=アクィナスの胸にイギリス清教の十字架がかかっているだろう。それはうちの
アニェーゼは絶句する。
「そ、そんな詭弁が通じるとでも」
「想っちゃいないね。だけど、彼女をローマ正教の一存だけで審問にかけるということであれば、イギリス清教は黙って見過ごすわけにはいかないんだよ……それに何より、君たちはあの子に刃を向けてくれたんだからね」
ステイルは言った。さらに、ドガン! と外から壁に穴があけられる。
「俺たちが戦わなければならない理由は言うまでもないよなあ?」
「建宮!」
「せっかくこっちで決着をつける手はずを整えていたってのに、お前さんたち予想以上のバカなのよな。ま、見ていて楽しいバカは嫌いじゃあねえが」
「そうだよ」
さらにそこに、聞きなれた声が割り込んできた。
「インデックス……」
「でも、こうなっちゃったら仕方がないよね」
白い修道女は言う。
「助けよう、オルソラ=アクィナスを、わたしたちの手で」
「「ああ!」」
その様子にしばし唖然としていたアニェーゼはただ一言、命令を出した。
「コロセ」
当麻にオルソラを任せた俺は、それからしばらくしてから、その行先を塞ぐように立ちはだかった。
「さてと……こんな大乱闘はさっきのと合わせても二回しかないんだけどな」
俺はつぶやくと、
今回『再現』するのは、
「さすがに、あそこまでバカげた量は扱えないけれど」
俺は『複製水翼』を相手に叩き付けていく。
「さてと……これではオリジナルの5、6割しか使えてないんだ。できれば
あくまでも、直接相手にぶつけないようにはしてある。ただ、余波だけで並大抵の魔術師はひっくり返ってしまうのだ。
「お前らがオルソラを殺すつもりだっていうんだったら……まずはその幻想をぶち殺す!」