とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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第6話 幻想御手

 ―――幻想御手(レベルアッパー)と呼ばれる音楽ソフトを利用した人々が次々と倒れている。

 

 偶然、この間戦った超電磁砲(レールガン)(御坂美琴というらしい)からその話を聞いた俺は病院に向かい、そこで愕然となった。目の前にいる少女の顔に見覚えがあった。

 

 それは明らかに銀行強盗の時に助けた少女だった。

 

「佐天さんは……無能力者(レベル0)だったから、きっとそれが原因で……」

 

―――幻想御手を使った。

 

 御坂はその後、銀行強盗の時に助けてくれた人のように自分も力がほしい、と彼女、佐天涙子が言っていたということを話した。

 

 つまり、俺のせいだった。

 

 どんな事情があろうとも、引き金を引いたのは間違いなく俺だった。

 

 絶望に打ちひしがれていると、御坂の携帯電話が鳴った。御坂は「えっ? うん……わかったわ」と言って電話を切ると、俺に話しかけてくる。

 

「どうした、御坂」

「幻想御手のことだけど、加勢してほしいの! 佐天さんを……みんなを救うために!」

 

 

 

 俺は言われた通りその場所に到着した。すでに戦闘が行われており、地面には大きなクレーターができている。

 

「驚いたわ、本当に能力が使えるのね。しかも……多重能力者(デュアルスキル)!」

「その呼称は適切ではないな。私の能力は理論上不可能とされたアレとは方式が違う。言うなれば、多才能力者(マルチスキル)だ――」

「呼び方なんてどうでもいいわよ。こっちがやる事は変わりないんだか、らっ!」

 

 御坂の推理に木山は訂正を求める。しかし、御坂は無視して、神経を強化した運動能力で常人を遥かに超える速度で木山に近づき、複数の電撃の槍をそれぞれ死角から放つ。

 

 御坂は超電磁砲の広い汎用性によって相手の複数の能力に対抗していた。

 

「やれやれ、君は人の話しを聞かないのかね」

 

 木山は電撃の槍を複数の能力を組み合わせ、周囲に避雷針のようなものをつくりだすことで誘導する。さらに、

 

「!?」

 

 瞬間、道路全域に黒い亀裂が走ると、崩壊した。これで御坂の足場が失われる。

 

「どうした、複数の能力を同時に使う事は出来ないと踏んでいたのかね?」

 

 木山は全ての電撃を誘導すると、道路を念動能力で破壊し、御坂の足場を無くした。御坂の体が宙を舞うが、俺が重力によって体制を立て直させる。御坂は、すかさず電撃で木山を攻撃するが、先ほどと同じように避雷針で誘導されてしまう。

 

”やっぱり電流が誘導されている?いくつかの能力を組み合わせて周囲に避雷針のようなものをつくりだしているみたいね……だったら――――”

 

「拍子抜けだな。常盤台というのはこの程度のものなのか。君も彼も私に触れることすらできないからな」

 

 御坂が木山の能力を分析し、対避雷針対策を組み立てていると、木山は嘲るように口角を歪める。

 

「まさか! 電撃を攻略したくらいで……勝ったと思うなっ!!」

 

 磁力で周囲にある瓦礫を操ると、木山の頭上を無数の瓦礫が降り注ぐ。

 

「ふむ」

 

 しかし、木山は冷静に対処し、御坂の攻撃を防ぐ。木山は無数の能力を上手く駆使していた。

 

「ほんとに何でもありか……だがなっ!」

 

 俺は波動干渉(ウェーブインターフェア)を使って光を操作。姿を消して後ろに回り込む。ポケットからペンライトを取り出し、能力で赤外線をレーザーとして放つ。しかし、持ち上げられた瓦礫に防がれてしまう。

 

 しかも、

 

「……アリ?」

 

 瓦礫で身を守りつつ、指先から高出力のレーザーを放ち、二人の足場の柱を破壊する。

 

「しまっ……」

 

 再び足場を失い、バランスを崩して御坂が倒れる。

 

「もう止めにしないか? 私はある事柄について調べたいだけなんだ。それが終われば全員解放する。誰も犠牲にするつもりはない―――「ふざけんじゃないわよっ!!」」

 

 木山の説得を御坂は大声で遮る。

 

「確かに、アンタは犠牲にするつもりはないんでしょうね。でもね。アンタの身勝手な目的のためにあれだけの人間を巻き込んでおいて、人の心をもてあそんで……こんな事をしないと成り立たない研究なんてロクなもんじゃない!! そんなモノ見過ごせるわけないでしょうがっ!!!」

 

 怒りに駆られ御坂は吠える。今までに彼女は見てきたのだ。

 

 幻想御手で力に溺れた、介旅のような能力者達。その暴走に巻き込まれ、平穏を掻き乱された者。今なお、意識を失っている患者。佐天涙子、その友達。

 

「はぁ、超能力者(レベル5)とはいえ所詮は世間知らずのお嬢様か……」

 

 だが、御坂の怒声を浴びても木山は平然としていた。

 

「アンタにだけは言われたくなかった台詞だわ」

「まったくだ。こんなことをしておいて、常識がないのはどっちだよ」

 

 御坂は磁力で砂鉄を操り、無数の槍を形成、俺の波動干渉で見えなくなると木山へ放つ。しかし、木山は空間把握をしているのか的確に瓦礫を盾にし、砂鉄の槍を防ぐ。

 

「まだまだっ!!」

 

 御坂はさらに磁力で複数の瓦礫を操る。

 

「ッ!!」

 

 木山は強化した身体で瓦礫を避けようとするが俺は重力操作(グラビティ)で捕まえる。しかし瓦礫は止められ、周囲の大気中の水分を圧縮して形成した巨大な水塊が御坂へ放たれる。すると美琴は瓦礫を盾にする事で攻撃を防ぐ。

 

 木山は複数の手札を持っている。それに対して御坂の手札は1つである。だが、それでも対応している。

 

 超能力者(レベル5)とは最強の切り札なのだ。

 

(凄いな……正攻法で攻略するのは不可能、か――――なら)

 

 木山は御坂と俺の周りのアルミ缶1つずつを量子変速(シンクロトロン)で爆弾に変える。すると、御坂は磁力で集めた瓦礫で、俺は結晶で防ぐ。

 

「知っている能力で助かったわ」

 

 しかしその直後、二人の周囲に大量のアルミ缶が現れた。

 

「!?」

 

 俺は何とか結晶で守り切ったが、御坂はまともに喰らい倒れてしまった。

 

「もっとてこずると思っていたが、そうでもなかったな……超能力者(レベル5)




波動干渉(ウェーブインターフェア)
あらゆる波動を操る能力
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