とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト)   作:nozomu7

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第62話 事後報告

 思ったよりも、俺たちの体には大きな疲労とダメージが溜まっていたらしい。

 

 俺たち2人は決着がついたと同時に『婚姻聖堂』で倒れ、結局はいつも通りの病院、『死んでさえいなければどんな病気でも治す』という名医、冥土帰し(ヘヴンキャンセラー)の元へと運ばれた。

 

 俺が気がついた時にはふかふかのベットの上で寝かされていた。

 

 えっと、『婚姻聖堂』で倒れた後どうなったんだっけ……などと思ったが、すぐに一人の女性が近くにいることに気が付いた。

 

「神裂か?」

「お、起きてしまわれましたか。このまま立ち去るつもりだったのですが」

 

 神裂は俺の声に、ほんの少しだけ驚いたようにしていた。彼女はベットの近くでパイプ椅子に座っている。

 

「ん、あ……」

 

 すると、当麻も起きたようだった。当麻は上半身をベットから起こし、眠気を飛ばすためか首を軽く振り回す。

 

 当麻があちこち視線を漂わせていると、神裂はパイプ椅子からゆっくりと立ち上がった。

 

 元々長く居るつもりはないようだ。

 

 当麻はサイドテーブルにあったメモに目をやると、

 

「とりあえず、書き置き……?」

 

 当麻がそう言った瞬間、シュバッ!! と神裂の手が聖人としての身体能力を無駄に発揮し、書き置きの小さな紙を奪い取った。

 

「べっ、別に何でもありません。こうして直接話す機会ができたのですからこの書き置きはもう必要ないでしょう?」

 

 神裂は顔を真っ赤にすると明らかに挙動不審なままグシャグシャ!! と小さなメモを丸めていく。

 

「え? でも……」

「良いでしょう、もう。こういうものは改めて目の前で読まれると知ると途端に恥ずかしくなってくるものなのです」

 

 神裂は丸めた書き置きをゴミ箱へ投げようとしたが、ふと思い留まってズボンのポケットに突っ込み直した。そこまで読まれたくないものなんだろうか。

 

「えっと、事後報告、と言うか……オルソラ=アクィナスの動向などを伝えに来たのですが、余計なお世話でしたでしょうか?」

 

 その言葉に俺たち2人はすぐさま反応した。

 

「「聞く! 是非!!」」

 

 

 

「オルソラ=アクィナス、及び天草式十字凄教はイギリス清教の傘下に入る事で話を収めました。これはローマ正教の報復・暗殺を防ぐためという目的が大きいようです」

 

 報復、という言葉に俺たちはアニェーゼなどシスター達の姿、最後になって突如乱入してきたルーたちを思い出した。

 

「って事は何か、これからもオルソラの危険な立場は変わらないってのか?」

「いえ。イギリス清教側は、オルソラの持っていたニセの解読法を魔術世界中に公開しました。それが誤解だと分かれば彼女が『法の書』絡みで追われる心配もなくなるかと思われます」

「そうか。よかった」

 

 俺たちはほっ、と安堵のため息をつく。

 

 すると、神裂は姿勢を正して深く深く頭を下げた。

 

「ええと、あの、今回は、その、すみませんでした」

「は? え、何が? 何で頭下げてんの? 何がすみませんでしたなの?」

 

 当麻は戸惑っているが俺は、おそらく天草式のことだろうと予想を付けた。

 

 神裂は珍しくとても言いづらそうに、歯切れの良くないような声で言う。

 

「ですから、あの、今回は、つまり、一身上の都合で、あなた達に、色々とご迷惑をおかけしてしまった、というか……」

 

 つまり、今回は天草式と関わっていたために自分に責任を色々と感じてしまっているといったところか……?

 

と、俺が推測していると、当麻が言った。

 

「ま、まさかと思いますけど、『今までの恩をお返しします!』とか『何でもしますので!』なーんて話ではないですよね?」

 

 当麻の言葉に俺は怒られないか!? と思いながら少し身構えた。

 

「ですが、他に、どうしろと言うのですか……あなた達は本来、私達に守られるべき一般人であるはずなのに、こんな手傷を負わせてしまって。もう、単に頭を下げれば許される次元をとっくに過ぎている事ぐらいは私にも分かります。ですから……」

 

 自身の言葉に責められるように、神裂の声が次第に細くなっていく。

 

「いや、神裂。その必要はないぞ」

 

 俺は言った。それに当麻が続く。

 

「イギリス清教だとかローマ正教だとか、魔術サイドは色々と大変みたいだけどさ、俺、よく分かってないんだよ。インデックスがイギリス清教に所属してるから、とりあえずそこの味方をしてるだけだ。……多分、今度アニェーゼが助けてって言ったら、俺は助けに行くぞ。今回はたまたまアイツが悪かったけど、アイツがこれからもずっと悪くあり続けなきゃいけないなんてルールはどこにもないんだからな」

 

 当麻は、俺が一番言いたいことを言ってきやがった。全く……勉強はできないくせにこういうところでは核心を突く発言ができるんだから、侮れないな俺の親友は。

 

「そうだな。所属だとか、そんなのは関係ないな。俺たちは基本、自分のやりたいようにやっているだけだ。助けたいと思った奴に味方をするし、くだらない幻想を抱いている奴を殴っている。それだけだな」

 

 すると病室のドアが開けられ、アロハシャツに青いサングラスの土御門元春が入ってきた。

 

「ちーす! お土産はメロンの乗ったコンビニデザートの豪華プリンだにゃー」

 

 『魔術師』ではなく『友人』としての土御門の姿に、俺は日常に再び戻ってきたことを今一度かみしめる。

 

 ふとケータイを確認すると、最愛と海鳥からのメールがたまっていた。おそらく昨日の放課後はほとんど連絡が取れなかったからだろう。

 

 俺は返信を打ち始めた。




これから閑話を挟んで残骸編をやったら、エンデュミオンの奇蹟をやりたいなーとか思っています。

ここでアンケートです。

アリサの扱い

①原作通り当麻の部屋でかくまう
②人数の関係上、駿斗の部屋でかくまう

さあ、どっち?

http://enq-maker.com/fvJXb23
こちらで回答お願いします

(ちなみに、書き溜めるために残骸編の後は長期連載休止になる可能性あり)
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