とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
常盤台中学校。
学園都市の中でも5本の指に入る名門校であり、同時に世界有数のお嬢様学校である。共用地帯『学舎の園』を形成する学校の一つだ。
義務教育終了までに世界に通じる人材を育成する、が基本方針であり、総生徒数200人弱の内、
寮は学舎の園の外と中に1つずつあり、神谷駿斗の幼馴染、絹旗最愛と黒夜海鳥は常盤台のエースである御坂美琴や同級生の白井黒子と同じく、外の学生寮に入寮していた。
「おい朝だぞ、絹旗」
ある休日の朝、長い黒髪をしている少女、黒夜海鳥が、まだベットで寝ているルームメイトに声をかける。
「黒夜……、もう朝ですか」
「就寝時刻無視してポータブルDVDプレーヤーで映画なんか見ているから、朝起きられなくなるだよ」
ボブカットの少女、絹旗最愛は眠たそうにその眼をこする。
「それよりいいのか? 今日は久しぶりに駿斗兄ちゃんと3人で出かける約束しているんだぞ?」
「は、そうですよ! 急いで超準備しましょう!」
彼女たちはバタバタと準備を始めた。
俺は待ち合わせ場所の喫茶店の前で、2人の幼馴染と合流した。
「おう、2人とも。3人で出かけるのも久しぶりか?」
「いや、全然だ。そもそも、まだ再会してから1か月も経っていねえよ」
海鳥に速攻で言い返された。はい、確かにその通りです。
俺たちは始めに映画館へと移動する。今日は幼馴染3人で遊ぶ予定なのだ。
「で、今日は何を見るんだ、最愛?」
「これですよ!」
俺たちは最愛に勧められるままにその映画を見ることにした。
チケットを買ってシアター内で3人並んで座る。
『おい、どうする? あの怪物野郎が出てきやがったじゃねえか! あの人造人間、そこらへんのやつを片っ端からぶっ飛ばしながらこっちにくるぞ!』
『お前は落ち着けって。安心しろ。こんな時にとっておきの策が用意してあるんだ』
『な、なんだと……。まさか、お前はここまで予想を立てて……』
『さあ、驚け。俺の作戦はな! 戦場の隅っこで死んだふりをしていればいい! 簡単だろ!』
『お前があの人造人間の餌食になっちまえ!』
俺と海鳥はポップコーンの箱を持つ手を、プルプルと震わせた。
チョイスを間違えた。
最愛がB級映画好きだというのは知っていたが、まさかここまでだとは思わなかったな……と俺は、海鳥と共に俺を挟むように座っている、最愛の顔をちらりと見る。
少女は瞳を輝かせていた。
さて、どうするか。
次の瞬間には、俺は『黒夜と話をして時間をつぶす』という選択肢を選ぶことにした。
「(なあ、これどう思う?)」
「(時間的には一番見せ場のはずだよな。なのに、さっきから何が面白いのか分からないんだが)」
「(だよなあ……)」
困った。
しかし、純粋に超B級映画を楽しんでいる最愛に水を差すわけにもいかず、「暇つぶしだ」と、とりあえず見続けることになった。
そして、映画も終わった後。俺たち3人が劇場を出ると、最愛がぽつりと言った。
「……正直、超微妙でしたね」
「「お前までそうだったのかよ!?」」
次回見に来るときは、しっかりとした事前のチェックが必要そうだった。
そして、次に来たのが。
「水族館?」
「ああ! ここの水族館は今日、イルカのショーをやっているみたいだからな」
あのイルカのビニール人形を見た時も思ったが、海鳥は昔のころから変わることなくイルカが大好きなようだ。
「相変わらずだな、海鳥」
「だって、可愛いだろ?」
黒夜は即答で肯定する。
きゃっきゃと年相応にはしゃぐ12歳の少女2人に、俺はついていった。
ショー会場に着くと、そこには結構人がいた。
「結構人が集まるんだな。今日は祝日でも何でもないのに」
俺は呟くように言う。すると、最愛がそれに答えるように言った。
「それは最近、ここのイルカが新しく出産をしたからですよ。それも2匹が1日違いで出産しましたから、超ニュースにもなっていたじゃないですか。えっと……確か、8月の終わりごろですよ。駿斗兄ちゃんが神奈川の超海辺に行っていた頃です」
いや、知らなかった。そもそも、その時は
せっかくなので、できるだけ前の席に座る。
ショーが始まり……俺は襲い掛かる水しぶきを(2人も含めて)
イルカは自在に泳ぎ、跳躍し、存分に観客を楽しませてくれた。
「超楽しかったですね!」
「可愛かったなぁ……イルカ」
ショーが終わった後、少女たちはそんな感想を漏らす。
その後は一通り水族館の中を見て回り、空が赤く染まってきたころに俺たちは水族館を出た。
「ふう。今日は、久しぶりに楽しめたよ」
夕焼けと同じ色に染まる帰り道を歩きながら、俺は感謝の意味も込めて2人に言った。
本当に最近は、魔術がらみの事件があったりして十分に遊べていないのだ。高校生なのになあ……。
「私こそ、今日は楽しかったですよ。駿斗兄ちゃん」
「ああ。私もだ」
少女たちは笑顔でそう返してくれた。
こんな楽しい日々が続けばいいな、と思う。
この笑顔は、絶対に幻想にはしたくないから。
デートとか書くのって難しいな……