とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
「あら、知らなかったの? まあ、常盤台の
その女は話す。
「都合がいいとは思わなかった? うちの連中が渋滞に巻き込まれた事……彼女が何を司る能力者なのかは理解しているでしょう?」
『幸運にも』渋滞に巻き込まれ、足止めを食らってくれた男たち。しかし、それは本当にただの『幸運』だったのか。
超電磁砲の能力をもってすれば、信号機にハッキングを仕掛けるくらい訳はない。
「さっきから何を言ってますの……?」
「
金属矢を手で弄びながら、その女は話す。
「そうね。
「ばかな……あれは衛星軌道上にあるはずですのよ!?」
白井は反論する。しかし、女は一枚の写真を見せた。
「撃墜に関する添付資料。レアでしょう? 樹形図の設計者はとっくに破壊されているの。だから世界中がその残骸を求めているんだけれど……御坂美琴も大変ね。
「『実験』……?」
何も分からない白井が呟くと、女は笑って言う。
「まあ、あなた本当に何も知らないのね? 8月21日に何があったのか。あなたがここまでたどり着けていれば、教えてあげないこともなかったのだけれど……ということはやっぱり、
「絹旗さんに、黒夜さん……? どうして、その2人の名前が出てきますの……?」
白井の言葉に、女はさらに愉快そうな顔をして続ける。
「
女はそれだけ言うと、消えた。
『白井さんが戦った能力者は結標淡希。霧ケ丘女学院の
携帯電話から流れる初春の言葉に耳を傾けつつ、白井は寮のバスルームで傷の手当てをしていた。
『あ、えっと……自分自身の転移をためらう傾向が。2年前に大けがを負ってからだそうです。あと、これは未確認情報なのですけれど、彼女は「窓のないビル」への「案内人」だと』
「学園都市統括理事長の本拠地……? ですが、それはただの都市伝説……っ!」
白井は傷の痛みに顔を歪ませた。
『白井さん!? 大丈夫ですか?』
「いいですから、早く報告の続きを」
初春の心配する声にも関わらず、白井は更なる情報を求めていた。今までになく一方的に相手にやられたことで、白井は焦っているのかもしれなかった。
『
「つまり黒服の男たちは、ケースの中身を第二十三学区に運ぶ途中で結標たちのグループに横取りされた、と」
白井は考え込む。
(残骸……樹形図の設計者……8月21日……お姉さまが関わっていたらしい『実験』……絹旗さんと黒夜さんが関わっていたらしい『計画』……)
「白井さん?」
初春の声で、白井は思考を中断させられる。
「あの……この件はもう警備員に引き継ぎませんか」
確かに初春の言葉は正しい。これはもう、初春や白井の手に負える事態ではなくなってしまっている。
その時、部屋のドアが開く音がした。御坂が返ってきたようだ。白井は一方的に電話を切る。
「黒子? どうしたの、部屋を薄暗くして」
「省エネというやつですのよ。黒子は地球にやさしい女ですの」
バスルームの中で、扉を開けられないように抑えながら白井は御坂と話す。
「別に学園都市は風力発電なんだから、そんなこと必要ないと思うんだけど」
「そ、それで……お姉さまは今どちらに?」
御坂が本当に関わってはないと、白井は信じたかった。だから、こんな質問をしたのだろう。
だが。
「買いそびれた
その言葉で白井は確信する。
「今は忘れ物を取りに来たってとこ。またちょっと出かけてくるわね」
離れていく足音がした。
「雨、降らないといいですわね。近頃は
「そうね。心配してくれてありがと。なるべく早く帰れるように
扉が閉まる音がした。白井は一人、考える。
(8月21日……第十七学区で謎の暴風が吹き荒れ、操車場が壊滅……そして後日の捜査の時、その現場でお姉さまのコインを発見しましたわ……)
白井は初春に連絡を取ることにした。