とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
御坂が倒れると俺はすぐに近くに駆け寄り、
「あれ……」
「無理するな。おとなしく下がってろ」
俺はそう言うと御坂を離れた場所で座らせ、再び木山に向き合う。
「この能力は使いたくなかったんだが……もう手加減はせんぞ」
俺はそう言って、今まで自ら封じてきた能力の使用を決断する。
右手で小石を拾い上げると俺はそれを前に突き出す。すると光がほとばしり、木山の手前の地面が大きくえぐられ、木山は一撃で倒された。
物質、その質量を相対性理論に基づいて、エネルギーに変えて操る能力
だがこの力は加減が難しいので、周りの人間、下手すると自分自身をも巻き込みかねない。だから、木山に直撃させるのは避けたのだ。
「がッ……」
木山は無理矢理、能力を使おうとしたが制御することができない。
「だから、無理しない方が―――「黙れっ!」」
木山は揺さぶられたせいか頭を抱えながら、御坂の制止を振り切り、立ち上がる。
「私は立ち止まる訳にはいかない。……あの子たちのためにも、あんな悲劇を二度と繰り返しはしない!……そのためなら私は何だってする……この街の全てを敵に回しても止まる訳にはいかないんだっ!!!」
すると突然、木山は頭を抱えてしまう。
「ちょ……ちょっと」
「がッ…ぐ…ネットワークの…暴走? いや、これは…<虚数学区>…の」
そのとき、木山の頭から
そして、それは――
そのころ、幻想御手の患者が収容されている病院では異変が発生していた。
「どうした!」
「分かりません! 例の患者たちが急に暴れだしました!」
看護師たちが患者をベッドに押さえつけようとする。しかし、いくら抑えても収まる気配がない。
「意識が戻ったのか!?」
「いえ、さっきまで眠ったままだったのに……」
院内は混乱に包まれていた。
「この街でいったい何が起こっているんだ……」
医者はつぶやく。
「キィヤアアアァアアァ」
幻想猛獣は二人の姿を確認すると、巨大な火球を複数個、二人へ飛ばす。
「~~ッ!? 何なのよアレ」
立ち上がった御坂は全ての火球を電撃で相殺すると、すかさず幻想猛獣に電撃の槍を繰り出した。俺も
しかし、その二つを喰らっても、幻想猛獣は一瞬で回復してしまう。その上、頭を生やし、手を生やしてそれは巨大化していく。
「なっ!?」
今度は巨大な土塊を形成し、御坂へ放つ。俺はその軌道を再び捻じ曲げた。俺は木山に叫ぶように言う。
「おい、てめえ! ぼさっとしてねえであれをどうすりゃいいのか教えろ! 巨大化しているんじゃあ、きりがねえ!」
「あれを止めるにはネットワークを解体した上で核を破壊する必要がある。ネットワークのほうはワクチンソフトで何とかなるが、核の破壊は……」
「俺らがやるからさっさとワクチンソフトで何とかしやがれ!」
木山は車のほうに走って行った。
「さあ、お前の最後の時間まで付き合ってやるぜ怪物野郎!」
「撃て!」
「これじゃあ、きりがないじゃんよ!」
黄泉川は歯ぎしりをする。
「なんか……大きくなってますよ」
鉄装は不安を言葉にした。しかし、幻想猛獣は巨大化しながら少しずつ移動していく。
「くそ、この先に原子力の施設がある! ここから先に行かれたらまずいことになるじゃんよ!」
その次の瞬間、巨大な火球が出現する。
(くそ!)
警備員の誰もが最悪の展開を覚悟したその時、巨大な氷の柱が現れ、それを防いだ。
「悪いが相手が人間ではない以上……手加減はできんぞ化け物!」
俺は相対変換でエネルギーを幻想猛獣にぶつける。すると、その部分が吹き飛ぶ。
「キィアアアアアア」
火球が迫るが、御坂がそれらを相殺した。しかし、俺が先ほど吹き飛ばしたところはすでに修復が行われている。
「くそっ、ワクチンソフトはまだか……。そうだ。これがAIM拡散力場を利用した幻想御手によって発生したものなら……」
俺は一度下がって、AIM拡散力場に身を委ねる。
幻想創造は本来、ある程度条件はあるものの、異能の力を創り出す能力だ。しかし、その副産物と言うべきか、俺は異能の力には敏感になっている。だから、ある程度はAIM拡散力場を感じ取ることも可能だ。分析するにはそれ専用の能力を使う必要があるが。
幻想猛獣を形成しているAIM拡散力場を感じ取り、それを
それによって起きるのは、能力の暴走。幻想猛獣はその能力で自らを傷つけていく。
「悪いが俺は創造主の力の一端を握るもの……残りかすの寄せ集めに勝てる相手ではないんだよ」
グシャ! と幻想猛獣の六分の一ほどがつぶれる。そこに雷撃が走り、表面を焦がした。
「キシャアアア」
これは
「まだいくぞ」
さらに、幻想猛獣のAIM拡散力場に干渉して火を、氷を、風を操り自爆させていく。
しばらくすると幻想猛獣が小さくなり始めたので、俺は御坂に合図をする。
御坂は幻想猛獣に止めを刺すため、コインを取り出す。俺も小石を拾い上げる。
「こんなところで苦しんでないでとっとと帰んなさい」
「お前の幻想は……俺がぶち殺す!」
すさまじい余波を発生させながら超電磁砲が、まぶしいほど強烈な光を放ちながらエネルギーの塊が、幻想猛獣に放たれる。
木山はこの光景に驚愕する。
「これが学園都市最強の七人の一人、超電磁砲と都市伝説、幻想創造か……」
事件は終焉を迎える。