とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
「アンタ、これからどうするの?」
「私はあの子達の事を決して諦めない。もう一度最初からやり直すさ。理論の組み立ては何処でもできる。刑務所の中だろうと、世界の果てだろうと私の頭脳がここにある限りやっていけるさ」
木山が立ち上がると、
「ただし、今後も手段を選ぶつもりはないぞ。気に入らなければまた邪魔しに来たまえ。……まあ、なるべく穏便にすむ方法を考えるつもりだがな」
俺と御坂はこれから刑務所に送られる木山を見送る。
「しっかし、脳波のネットワークを構築するなんて、突拍子もないアイデアをよく実行に移そうと思ったわね」
「複数の脳を繋ぐ電磁的ネットワーク、学習装置を使って整頓された脳構造……これらの全ては君から得たものだ」
「は?」
ふとした疑問に対する思わぬ木山の返答に御坂は戸惑いを覚える。
「私、そんな論文書いた覚えがないわよ」
「そうじゃない……君のその圧倒的な力をもってしても抗えない。……君も私と同じ……絶望をもつもの」
木山は最後になにかを呟いたようだが俺たちには聞こえなかった。
そして、訊き返す間もなく木山を乗せた車両は発進してしまった。
その後、御坂のところにはツインテールのテレポーターがやってきて騒ぎ始めたので、俺はとりあえず早く病院に行って佐天さんや他の人たちの様子を見ることにした。幻想御手を使った人たちはもう全員解放されているはずだ。
「いた……」
病院に着いて急いで階段を駆け上がると、そこに佐天さんがいた。同じく被害者であろう、他の友達と一緒のようだ。
「佐天さん」
俺が声をかけると、佐天さんとその友達が一緒に振り向いた。
「あっ、あの時の……」
「幻想御手からはみんなちゃんと目覚めたようだね」
佐天さんは俺のことを覚えていてくれたみたいだが、他の子たちは初対面なので顔に疑問符を浮かべている。
「あの時はありがとうございました! ひょっとして、今回も……」
「ああ、幻想御手を作った犯人は逮捕されたからね。あと後遺症とかは残らないみたいだから安心して」
「えっと、涙子? 少しはわたしたちにも説明してくれる?」
その中の一人が我慢しきれないように聞くと、佐天さんは銀行強盗の時の話をする。ついでに自己紹介も済ませた。
「へえーじゃあ、神谷さんってかなりの高位能力者なんですね」
「うらやましいなー。私たちのレベルって0か1だし」
「いや、俺は
俺が言うとみんな『何言ってるの、この人?』みたいな顔をした。だけど、本当のことだ。
なぜ素性を隠すかと言われれば……俺はモルモットや人の駒になるのはごめんだぜ、ということだ。
「まあ、ちょっとした能力はある……生まれつきのな。ところで、これからどうするつもりだ? 幻想御手はなくなったが」
「まあ、今まで通りというか……」
「うん。さすがにもう、ね……」
一人がそう言うと、他の人も頷いた。まあ、反省したようなら始めるか。
AIM拡散力場の解析……完了。
空力使い……気流の操作でものを動かす能力
念動力……離れた物体に力をかける能力
透視能力……物を透かして見る能力
「えっ、なにこれ?」
「まさか、この感じ……幻想御手? いや、少し違う……」
「演算式が、整理されていく……」
「ふう、これで
「えっ!?」
「とりあえず、病院から出ようか」
「さて、ここなら練習してもいいと思うよ? 能力を使ってみなよ」
俺が言うと三人は不思議そうな顔をしながらも能力を使い始める。
俺がさっきやったのは、演算式を組み立てやすくするための手助け。幻想御手で一時的に経験済みのためか、結構簡単に組みあがった。
始めは驚いていたが、しばらくすると使い慣れてきたようだ。
「こんなところかな。だけど、一つだけ覚えておいて。能力が高いことは必ずしも幸福をもたらさない。高位能力者による低位能力者へのいじめや、
能力が高い人は傲慢になってしまったり、逆に攻撃の対象になってしまうのだ。
「だから……その力は正しく使うことだ。誤った道に走るようだったらその力は封じさせてもらう。いいな?」
「「「はいっ!」」」
能力標識《AIMサイン》
能力に必要な演算式の組み立てを補助する能力
また、長い時間をかければ演算式を崩すこともできるが、時間がかかりすぎるので実戦では使うことができない。使ったこともない。