とある神谷の幻想創造(イマジンクリエイト) 作:nozomu7
実は、彼らの話を聞いている者が病院内にいた。
第3位の
そのため、駿斗たちの会話は全個体に発信された。
「なんか大変なことになっているみたい、ってミサカはミサカはわざと大きな声で呟いてみたり」
同じ病院内の、別の一室。そこで、10歳程度の少女が1人の少年に話しかけていた。
彼女の通称は
「うるせェな。それは独り言ってレベルじゃねェぞ、ったく」
一方、話しかけられている少年は
その言葉を聞いた打ち止めだが、相変わらず彼女は笑みを絶やさなかった。
アリサは宇宙にいた。
エンデュミオンのある1室。そこで悩んでいた。
『私のために歌ってくれないかしら? あなたの「奇蹟」の歌を』
レディリーの言葉がよみがえる。
彼女が求めていたのは歌ではなく、『奇蹟』なのか。結局、自分が選ばれた理由はそれなのか。
『いつか、大きな場所でたくさんの人に私の歌を届けられたらいいなーって! それが今のあたしの夢……かな!』
2人の少年と、1人の少女に語った自分の夢。だが、それが揺らぎそうになる。
2回も勇気づけられたのに、元気づけられたのに、それでも心の底から不安が沸き起こって、それに呑まれそうになる。
空気が冷たく感じる。部屋に誰もいないことが、自分の孤独感をより一層感じさせられていた。
「駿斗君。わたし、どうしたらいいのかな……?」
膝を抱えて無重力空間に漂うアリサの口から、弱音がこぼれる。すると、扉から入ってくるものがいた。
レディリー・タングルロードだ。
「まだ悩んでいるの? 道端で歌っていたあなたに、こんなに大きな舞台をあげたのに? ……ま、断った場合は、招待客全員が死ぬことになるんだけれど」
その脅迫の言葉を聞いて、思い出す。
初めて襲撃を受けた時、彼らが自分を守ってくれた。その日初めて会ったばかりの、少年少女のことを。
彼らの言葉がアリサの脳裏によみがえる。
『私はこう見えて歌には結構うるさいけど、アリサの歌は本物だね!』
純粋な心を持つシスター、インデックス。
『やれる力があって、それをやりたいのなら、やらなくちゃだめだ』
どこまでも、愚直なまでにまっすぐな少年、上条当麻。
『追い続けて、この手で掴んでやろうぜ。俺たちの、「夢」ってやつを。だから、アリサは歌い続ければいいさ。そうすれば、どんな幻想だって創造することができるさ。
ショッピングモールでのライブイベントの後、神谷駿斗に励まされた。
そうだ。彼に教えてもらったではないか。歌い続けることが、自分の幻想を現実に創り上げるための私の方法だと。
彼と約束したではないか。自分たちの『夢』を掴む、と。
アリサはしっかりとガラスの上に足を着け、言った。
「歌います。でもそれは、私の夢のためでもあなたのためでもありません! 私の歌を、純粋に楽しみにしてくれているみんなのためです! あの人たちのために、私は歌います。あなたが何を企んでいようと、それを上回る『奇蹟』の歌を……!」
『バリスティック・スライダー』。
学園都市の次期主力輸送コンペでエンデュミオンに敗れた、不遇の新型シャトルシステムである。
当麻とインデックスは、土御門とそれを目の前にしていた。
「そう言えば、駿斗はどこに行ったんだ?」
「はやとんは別口で侵入するみたいだにゃー。
土御門はビシッ! とそれを指さした。
対する当麻はぽかん、とした表情をして言う。
「……行くって、どこに?」
「そんなの、宇宙に決まってるぜよ!」
「地下の資材搬入路や、リニアトンネルはどうなってるじゃん?」
「全て閉鎖されています!」
「ということは」
警備員たちは、目の前のエンデュミオンへの入り口に配置された警備ロボットを見る。
「今使えるのは、この橋だけか……」
『今夜は星が綺麗ね だからきっと……届く!』
アリサが歌い始めたころ、皆が一斉に動き始めた。
「……突撃!」
警備員はエンデュミオンへの突撃を開始した。
「頼んだぜよ、2人とも」
上条当麻とインデックスは、バリスティック・スライダーで宇宙に旅立った。
「……アリサ、今行くぞ」
神谷駿斗は神の力を使って飛んだ。
「さてと、僕たちも動くぞ」
「「「はい、ししょー(師匠)!」」」
ステイルとその3人の弟子もまた、行動を始めた。
「あいつらは、きっと宇宙よ! また置き去りにしやがってー!」
「落ち着いてくださいよ、御坂」
「アタシたちもエンデュミオンにいくぞ!」
「お姉さまは私に掴まって下さいまし。
「初春、私たちも……」
「はい! サポートに回ります!」
少女たちも、動き始めた。
「生と死。有限と無限。全てが交差するこの空間では、地上とは異なる法則がはたらく。人々の熱狂は神々にささげる供物となり、その息吹が、エンデュミオンの
レディリー・タングルロードは、アリサとその観客、そしてエンデュミオンを利用した超大規模魔方陣を展開した。
それを見たインデックスが驚く。
「あれは……すごい! 見たことないほど巨大な魔法陣だよ。地球そのものを術式の一部に取り込んじゃうなんて!」
「あれが発動したらどうなる?」
バリスティック・スライダーの中で、当麻はインデックスに聞く。
「何が目的かは分からないんだよ。こんなのは見たことないもん!」
その時、機内に警報が鳴った。土御門から通信が入る。
『かみやん。早速だけど、残念なお知らせだにゃー。どうやら、エレベーターに取り付けられたアンチデブリミサイルにロックオンされたぜよ』
「おい、どうするんだよ! こっちには武器なんて」
当麻は冷や汗をかきながら叫ぶ。すると、
『もちろん、用意してあるぜい。ねーちん、出番だぜい!』
土御門がそう言うとシャトルの上部が開き、そこから『聖人』神裂火織が現れた。その手には、しっかりと七天七刀が握られている。
何かしらの魔術か霊装でも使っているのか、彼女の体は青いオーラに包まれていた。
「……土御門、覚えておきなさい!」
迫りくるミサイル軍に対し一度『七閃』でそれらを切り落とした神裂は、残るすべてのミサイルを破壊するために愛刀を引き抜く。
そして、一閃。
その斬撃は全てを切り裂いた。
「……後は頼みましたよ。上条当麻。そして神谷駿斗」
彼女はそのまま地球に落下する。
地上では、警備員たちが無人警備機に押されていた。
「応援は?」
「まだ、時間がかかるそうです!」
その言葉を聞いた黄泉川はくそっ、と悔しそうな表情を浮かべた。
すると、そこに2人の少女が突如現れる。1人の少女は車いすに乗っており、もう1人がその後ろに掴まっていた。
空間移動によって警備員の前に躍り出た彼女たち。後ろに掴まっていた少女は飛び降りると、ぶつぶつ言いながら指でコインを弾く。
「ったく、勝手に置き去りにするとか……どっかピントがずれているのよね。あいつらのやることは!」
御坂が弾いたそのコインは音速の3倍で発射され、無人警備機を打ち抜く。警備員はすぐに突撃を続行した。
「……黒子、あんたは後からやって来る絹旗や黒夜とここを守って」
その言葉を聞いた白井は、彼女が何をしようとしているかを知った。
「お姉さま!」
「あんたたちにしか頼めないの。お願いね」
御坂はそれだけ言うと、エンデュミオンの内部に向かって走り出す。
その様子を、レディリー=タングルロードは魔術を使って見ていた。
「……下は大騒ぎみたいね。でも、もう間に合わないわよ」
「それはどうかな」
彼女の呟きに答えるように現れたのは、シャットアウラ。彼女は銃を構えていた。
「ばかな子。来てしまったのね」
銃声が鳴り響き、レディリーは倒れた。しかし、彼女は死なない。
十字軍の遠征で負傷した兵士を助けた際にもらったアンブロシア。それを食べたことで不老不死の肉体となっているからだ。
「そうね。もう1000年は生きたかしら。『オリオン号事件』は失敗したけれど、思わぬ副産物が手に入った。それがアリサよ」
オリオン号墜落の失敗。しかし、その副産物として鳴護アリサを発見した。
エンデュミオンとアリサを核として、アリサの歌によって人を集めて熱狂させることでエネルギーを得る。そして、それを利用した大魔術によって北半球を道連れにする壮大な自殺をする。
それが、彼女の計画だった。
「さあ、一緒に終わりましょう!」
彼女の魔術が発動に向けて進められる。史上最悪のカウントダウンが始まった。