カルネ連邦共和国   作:夕叢霧香

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第31話

A イメージング

 

 

 今後をどうするか、和解の翌日、僕等は3人で相談することとなった。

 レイナースとアルシェは本国で仕事が溜まっているとの事で、クレマンティーヌを置いて帰って行ってしまった。仕事が終わったら、また飛んでくるとの事だ。

 

「すると、私のレベルが10になったら、即日デミウルゴス率いる軍勢が法国に宣戦を布告すると?」

 僕の淹れた紅茶を口にしながら首を傾げるビンカさん。

 既に昨日の件は引きずっていないようだ。始めから普通にアインズさんと接してる。

 なんてメンタルの強い人だ。リアルから死を経験してるからか?覚悟というか開き直りというか……。

 

「ああ。その2日後、最終戦争・悪(アーマゲドンイビル)を法国全土に展開する。これはいくら二人が止めようと無駄だぞ。奴らはアインズ・ウール・ゴウンに喧嘩を売ったんだから。」

 メッセージドールから声が響いてくる。そして遠視の鏡(ミラーオブリモートビューイング)からの画像でテレビ電話風になっている。

「でも、僕等は民衆を助ける側になります。」

「まあな。アインズ・ウール・ゴウン率いるナザリック勢、カルネ義勇軍、ロックブルズ救助隊の三州同盟軍が民衆を救う。それが今後の布石だからな。」

 そして、もしかしたら王国からも何人か心強い仲間が得られるかもしれない。

 

「しかし、もし俺の目の前にターゲットが現れたなら、俺は変装を解いて連中を殺す!いや、簡単には死なせん!!」

 アインズさん、相当怒ってらっしゃる。

「アインズ・ウール・ゴウンに喧嘩を売ったこと、後悔させてやる。」

 ただ、当の本人のビンカさんは報復にはあまり乗り気ではないらしい…。

「私の場合は一心不乱にLV上げだね。マーメイドまでならかたいだろうけど、ニクシーまで戻れるかな?」

 …と、話題を変えてくる。

「水辺でないのが痛いですよね。またビンカさんのメイルシュトロームとか見たいな。」

 アインズさんの声も少し弾んでいる。ユグドラシルの頃を思い出しているのだろうか?

「またそうやって、ヨイショするのが上手いんだから。」

 口ではそういいつつ満更ではなさ気だ。

「しかしアレがあれば数百が一網打尽で、経験値も一瞬ですよ。」

 二人の楽し気な会話が弾む。

 

「アインズ様。」

 話がちょうど途切れた時、アインズさんのそばに控えていたユリが声を上げた。

「何だ?」

「シャルティア様と、マーレ様、コキュートス様がお見えです。」

「何用か?後にできんのか?」

「ちょっと、アインズさん、もしかしてその三人って………。」

 言って僕はビンカさんを見る。

「…ああ、そう言う事ね。アインズさん、入れてやってよ。」

「…ビンカさんがそう言うなら……。」

 

 ユリに向かってアインズさんが頷くと、件の三人が鏡に映る。

「お忙しいところ、失礼致しんす。」

 代表してシャルティアが喋る。

「アインズ様がカ・ラ・ビンカ様とお話なさってると聞き、まかり来しんした。」

 

「私に何か用かな?シャルティア?」

 ビンカさんのその声で、シャルティアは崩れ落ちた。

「いじめないでくんなまし、カ・ラ・ビンカ様!わらわは……。」

 泣き出すシャルティア。まあ確かに今のビンカさんの言葉は聞きようによっては突き放した感が半端ない。

「あ、ごめん。意地悪言ったわけじゃないんだ。ごめんね。」

「わらわの事、嫌いって………。」

 つられて後ろのマーレも泣き出す。

「え?何のこと?」

 三人の言葉の意味が分からずただ首を傾げるビンカ。

 僕はあの時の事をかいつまんで説明する。

「あー、私そんな事言ったんだ。」

「嫌いって、嫌いって~……!」

「あー…ごめん、……ウソ、ウソだから。」

 この人、いい人なんだけどあまり口は上手い方じゃなさそうだ。泣き声はだから全然止まらない。

「ちょと、皆、許す!許すってアインズさんから言われるでしょ?!」

「イクラ、カ・ラ・ビンカ様ガオ赦シナサレテモ、我等ノ気持チガ済ミマセヌ。ナニトゾ厳シキ御沙汰ヲ!!」

 コキュートスが膝をついて懇願する。

「ってったって………。参ったなー。ねえ、つかちゃん、何か良いアイデア無い?」

「は?」

 何で僕?僕の視線を受けたアインズさんが苦笑したような雰囲気を出す。

「ビンカさんは丸投げの達人なんだ。」

「いや、そういうの達人とか言わないでしょ。」

「まあ、私からも頼む。我々は許すも何も、全て私の責任と言っているのだが………。」

 ……………。

 

 僕はアインズさんとビンカさんを交互に見、一つ閃いた。

「だったらさ、創造者の意見を聞いてみない?」

「創造者?」

「皆、創造者のいるNPCなんでしょ?だったらその創造者の意見なら納得するんじゃない?」

「お前、我々に喧嘩を売ってるのか?買うぞ。」

 アインズさんが絶望のオーラを流し始めた。

「待って待って!そうじゃなくて、………。そうだ、そちらのユリさん!」

「……何でしょう?」

 う、ユリも少し怒ってる。あの人小学校時代の恩師を思い出すんだよなー。

「羊皮紙を10枚くらい用意して。」

 向こうとこちらで羊皮紙が準備された。

「では、アインズさん、ビンカさん、ユリさんにそれぞれ一枚ずつ持ってもらいます。準備できましたか?」

 全員から肯定の合図が来る。

「ユリさんの創造者はやまいこさんでしたね?皆さん、やまいこさんならどう答えるか、考えてその羊皮紙に書いてください。」

 どうやらこれでアインズさんは理解したようだ。

「「は?」」

 ただ二人は首を傾げる。ユリさん、首が取れるよ……。

 

「では第一回!チキチキあの人はこう答えるのだスペシャル!!」

 …………。

 ノリ悪い……。

「では、質問します。ユリさんが間違えてアインズさんの大切にしていたものを壊してしまいました。その時、やまいこさんならユリさんにどう言うでしょう?」

 ようやく僕の言っていた事が理解できたビンカさんも羊皮紙に書き始めた。

 首を傾げながらユリもかき始める。

 10分後。

「では一斉に羊皮紙を見せてください。」

 

 一言一句ではないけれど、ユリの返答の部分以外、ほぼ同じ内容が三者三様書かれていた。

『そうか、アインズさんの大切にしていたものを壊しちゃったか…。ユリ、先ずキミ自身が同じ目にあわされた時を考えてみようか?

 ………、そうだね、じゃあ次にその謝りたい気持ちを相手に伝えないといけないね。次に、もう同じ間違いを犯さないためにどうするか、考え、伝えなさい。

 ……………。許してくれた?はい、よく出来ました。じゃあ、アイスでも食べに行こうか。』

 そして全員が最後に付け加えていた。

 アインズさんにユリのフォローを入れてくる、と。

 

 この羊皮紙をみて、ユリは愕然としていた。

「ユリ。お前はもう、やまいこさん自身のようなものだな。」

「そうだねー、NPCが創造者をそこまで把握してくれるなんて冥利に尽きると思うよ。私も自分のNPC作っときゃ良かったかな?」

 ユリはぽろぽろと涙を流し始めた。

 

「アインズさん、ビンカさん、その羊皮紙、ユリさんにあげれば?」

「ん?こんなものが欲しいか?」

「ください!!!」

 大声を上げ、アッとひざまづき許しを請うユリ。

「し、失礼を……。」

「いいよ。欲しいならあげる。」

「あ、……ありがたき恩賜!」

 ビンカさんの言葉にそのまま床に額が付くほど頭を下げるユリ。首が取れてコロコロ転がったのはまあご愛敬…。

 

 ビンカの羊皮紙がユリの手元に届くと、ユリは宝物のように胸に抱き肩を震わせる。

「アインズ様、少し、つかさ殿と話してよろしゅうございますか?」

「良かろう。許す。」

 遠視の鏡(ミラーオブリモートビューイング)にユリの顔がアップになる。

「つかさ殿……。」

「はい?」

「ボ、私は貴女の事は嫌いでした。」

「あう。」

 ぶっちゃけられた。……結構傷つく。

「アインズ様やカ・ラ・ビンカ様の御相手をしているのになれなれしい態度とか…敬語に敬意が感じられなかったり……。」

 …まあねぇ。逆にそんな壁作ってちゃ僕等はダメだと思うからね。

「シズやルプスレギナが何であんなに気に入ってるのか本当に不思議でした。……しかし、思い知らされました。その理由がある事に。」

 申し訳なさそうな、寂しそうな笑顔を作るユリ。

「かような大それたものを頂いたから………。そんな理由はあまりに即物的で恥じ入るばかりなのですが……ありがとうございました。この羊皮紙、生涯の宝物に致します。」

 多分理由は物だけじゃないからだと思うよ。

「うん。良かったね。」

 そしてユリはニコッと微笑んで最後に一言。

「ボクはキミが大好きだよ。」

 …………………。

「ホレてまうやろーーーーーーーーー!!!」

 

「これでユリも完全攻略したか……。」

「ね。エロゲの主人公みたい。」

 ビンカさん、せめてギャルゲーと言って!エロゲにはハーレムバッドエンドあるから!

「無口無表情インテリ系少女を速攻攻略。バスケ部キャプテンに続いて女教師か…。」

 いや、感慨深げに言われても……。それにシャルティア様が何か複雑そうにしてるんですけど…。

「はっはっは、つかさよ、あと腹黒お嬢様と裏バン娘と不思議ちゃんの攻略が残っているぞ。」

「いやいやいや、……コホン!では皆さん、趣旨は理解できましたね?」

 

「これは、罰どころか、とてつもないご褒美なのでは………。」

 シャルティア達は震え始める。

「ご褒美では無いよ、これは創造者からのお言葉、だよ。それには絶対服従なんでしょ?それにもし三人がバラバラな答えを出したなら、それはそれで罰みたいなものだしね。」

 自分の中に、創造者が生きていない事になるのだから……。

 今考えるとユリに危ない橋を渡らせてしまったかな?

 ………でもまあ、ご褒美になったんだから良いよね。

 

 

 そして本番。

 シャルティアがカ・ラ・ビンカ様にしてしまった失態、これに対してペロロンチーノ様なら何を告げるか?

「それではシャルティア様の創造者、ペロロンチーノさんの言葉オープン!」

『え?許す許す!チュッてして、パンツ見せてくれたら許してあげるって!

 ………え?俺じゃない?ビンカさん?そうかー。もう謝った?

 ………で、ビンカさん何て?

 ………許してくれたならそれで良いんじゃない?後は歌でも聞いて褒めちぎってあげればあの人何でも水に流してくれるから。』

「「て、あほか!!」」

 3人が同じ様なことを書き、ビンカさんとアインズさんが羊皮紙を叩きつけた。

 シャルティアがビクッとなる。

「いや、すまん。何と言うか、如何にも、と言うのをこうも見せられると………、思わず口から出てしまったというか……。」

「私の場合はチョロイって思われてる事に自分で気付いてて自分に腹立った。」

 シャルティアは羊皮紙を大事そうに油紙、金紙と皮でくるんでアタッシュケースのようなものにしまう。

「あの、カ・ラ・ビンカ様?」

「ん?」

「ペロロンチーノ様の仰る通り、あの、歌を………、その……。」

「いいよ。貴女の為だけに後で歌ってあげる。」

 まさかの申し出にシャルティアは腰が抜けたようにひざまづいてしまった。

「それに、このごたごたが終わったらロックブルズホールに遊びに来てよ。変装してでいいから。そこで毎日歌ってるよ。」

 このビンカさんの言葉に皆少し寂しそうにする。

 たぶん、人間にご褒美を下賜することが彼等にはあまり好ましくないのだろう。

 それに、そこには言外に、ナザリックには戻らない可能性が漂っていた。

 

 続いてマーレの創造者、ぶくぶく茶釜さん。

 僕も多大な興味のある方だ。

『ビンカちゃんに失礼を働いたって?

 じゃあ先ず謝りなさい。私が一緒に謝ってあげるから。ほら、行くよ!

 ……え?もう謝った?で、許してくれたと、じゃあ問題解決じゃない?

 …それじゃ気が済まない?

 そっか、じゃ、ビンカちゃんとカラオケ勝負だ!私が勝ったら全て忘れなさい!

 ………そうだよ!ただあの子と勝負したいだけよ!悪い!!?』

 ほぼ同じ回答を見せられ、マーレは周りの目も気にせず泣き始めた。

 

「あの、カ・ラ・ビンカ様、…僕……。」

「何?私と勝負したいの?」

「しょ…と、とんでも…無いです!!」

「いいよ。歌、練習して来なさい!ロックブルズホールで歌合戦よ!!」

 ノリノリのビンカさん。

「ひ、人前で…しかも……う、歌の神、カ・ラ・ビンカ様の、ご、御前で…う、歌なんて!!」

 悲鳴を上げるマーレ。

「アンタら人間なんてかぼちゃ位にしか思ってないんでしょ?だったら覚悟決めなさい!なんてーか、面白くなってきた!!ロバーデイク辺りに準備させとこう!」

「ビンカさん、その時はぜひ私も招待してください。」

「え?アインズさんも出たいの?良いぜ!やろう!」

 ビンカさん、目がクルクル回ってる。

「あぁ、うそっ…、招待って、俺、単に聴くだけ……。」

 やばい、この流れは非常にやばい……。

 逃げようとした僕の首をがっしりロックするビンカさん。羽がくすぐったい……。

「どこへ行く?!この事態の首謀者!」

 僕等はビンカさんの歌への情熱を嫌という程思い知らされるのでした……。

 

 そして、最後にコキュートス。

『誠心誠意謝れ!許してもらえなきゃ腹斬って詫びろ!

 ………何だ、許してもらえてるならいいじゃないか。

 だったらもうそんな事は考えてないで、ビンカさんの為に何ができるかを考えろ。』

 武人建御雷さん。何だか竹を割ったような人の様だ。

「カ・ラ・ビンカ様、私ニ、ドウカ、ゴ下命ヲ。」

「下命とか言われてもなー。」

「だったらレベル上げに協力してもらえばどうかな?あ、でも彼程の人材をそんな些事に割けないかな?」

 僕の言葉にビンカさんは首を絞めてきた。

「おい、つかちゃん、些事って失礼じゃないか?」

「カ・ラ・ビンカ様、私ガソ奴ノ首ヲハネマショウ。」

「良い良い。ビンカさんの冗談だ。」

 いきり立つコキュートスをなだめてくれるアインズさん。

「まあ、良いだろう。コキュートスはビンカさんの冒険に同行し、命をかけて、ビンカさんを守る事。」

「ハ!何タル名誉!!一命ヲ賭シテ必ズ!!」

 ひざまづいてブシューと冷気を吐き出すコキュートス。

「あの!アインズ様、カ・ラ・ビンカ様、わらわも……。」

「僕も!ど、同行させてください!」

 シャルティアとマーレも手を上げる。

 しかしいくら何でもそれは過剰戦力じゃないか?特にシャルティア等、当初の目的も忘れて全部一人でモンスターを狩ってしまいそうだ。それはそれで開戦が遅れて良いのだけれど……。あ、でも、デミウルゴスが別の案を出して来たら困るし……。

「いや、お前達には別の任務がある。今回はコキュートスに譲ってやれ。」

「二人トモ、済マンナ。」

 済まないなど微塵も感じさせずに言うコキュートス。

 今から興奮しているのか、冷気を吐いている。

 

「ところで、つかさはビンカさんの冒険に同行できんのか?」

 僕の発言からそれを汲み取ってしまう所はさすがアインズさん。

「あ、はい。実は王都に呼び出しを受けて………。」

「王都から?お前を名指しでか?誰が?」

「ラナー王女です。」

「…………。」

 どうやらアインズさんも彼女の噂は表も裏も知っているようだった。

「無視する事は出来んのか?そ奴は危険だ。」

「幾つか恩義を受けてまして。無下にするわけには……。」

「こちらで目的を探らせるか?」

「いえ。そこまでお世話になるわけにはいきません。今回は話を聞くだけですし。」

 まあ、実際僕には影響力はあっても実行する権力は無い。

 だから大丈夫だろう。ラナー王女に会う前まではそんな事を思っていた……。

 

 

続く

 

 

幕間

 

「え、えへへへ……。」

「何よ!?気持ちの悪い笑いを3人とも!」

 ラウンジで羊皮紙を見つめて笑っている3人(1人はだろう)にアウラがうろん気に訊ねる。

「な、何でも、無いよ!」

 アウラに気付いた全員が一斉に羊皮紙を隠そうとする。

 しかし、マーレの手はアウラにがっしり掴まれていた。

「何なのよ!?見せなさいよ!!」

「だ、ダメだよ、お姉ちゃん。」

「何よ?今日は頑と抵抗するわね!」

「何でもありんせん。カ・ラ・ビンカ様にお叱りを賜った事の無いお前には関係ないことでありんす。」

 上から目線のシャルティアにカチンと来るアウラ。

「そ、そうなんだよ!お叱りの、その……。」

「我等ノ詫ビ状ト、御方ノ御命令書ノ様ナ物ダ。気ニスルナ。」

 普段冷静なコキュートスまでもが弾んだ声。これで気にしないアウラではない。

「良いから!見・せ・な・さ・い・よ!!」

「ああっ。」

 このままでは宝物が裂けてしまう。そう思ってマーレは羊皮紙を手放した。

「こ、これはアインズ様のお手の……。こっちはカ・ラ・ビンカ様……。」

 しかも書いている内容は同じであった。

「ね?あの、お姉ちゃん、その、か、返して欲しい、かな?」

 …………。

 しばし熟考するアウラ。

「……どう言う事?」

「ええっと、な、何が?」

「何でぶくぶく茶釜様の御様子がえがかれているの?」

「え、えっと、あの……。」

 マーレが見渡すと、メイド達がそそっと仕事に戻っていく。そして視線を外すとメイド達はススッと元の場所へ帰ってくる。

 助けを求めるようにシャルティアとコキュートスに視線を送るが、無視された。

「……はぁ。あの、み、皆には絶対、内緒だからね!」

 徐々に差を詰めてくるメイド達をけん制しつつ、マーレは一部始終を語り始めた。

 ……………。

 

「何よそれ!!」

 地団駄踏むアウラ。

「謝りに行ったら全員二つのご褒美を貰ったような物じゃない!!何なのよそれ!!!」

 その言葉に3人は首を傾げた。

「そうで、…ありんしたな。わらわ達、謝りに行ったんでありんした。」

「アア。アマリノ御褒美ニ我ヲ忘レテイタガ、浮カレスギテイタ様ダ。反省セネバ……。」

「僕の場合は…御褒美1つと、罰1つだから……。」

 マーレの言葉にアウラの柳眉が上がる。

「罰って何よ!?……それだって御褒美…。あれー?マーレ、ホントに嫌なの?じゃああたしと代わりなさいよ!カ・ラ・ビンカ様の御前で歌えるなんて機会、普通無いわよ!」

「だ、ダメだよ。僕が受けた、罰なんだから!」

「だったら、デュエットよ!アンタもその方が良いんでしょ?アンタばっかり御褒美なんてずるいわよ!」

 

 罰だ何だ言ってはいてもマーレも心の底では実は嬉しいらしいようでした。

 

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