遊戯王艦これ5Ds 遊星提督が着任しました 作:パトラッシュS
あれから、二日後
遊星は海に自身のDホイールが対応出来るように、夕張、明石のもと大胆な改造をDホイールに施した
艦娘の海上戦闘を行う際の技術、そして、機能を取り入れたそのDホイールはもはや、陸だけではなく海にも順応可能だ。
「こんなものだろうか、夕張、明石、悪かったな付き合わせて」
「そんな!私も提督のDホイールに触れて感動しました!」
「構造もそうですけど、やはりソリッドビジョンシステムの機能は実に画期的です! でも?提督、良かったのですか?」
「何がだ?」
「私達との連動シンクロシステムの導入ですよ、私達がダメージを受けるたびにDホイールのライフポイントが削れる仕様にしたではないですか」
そう言って、明石は遊星にDホイールに新たに付け加えた機能について、遊星に疑問の声をあげてそう訪ねる
連動シンクロシステム、それは艦娘が深海棲艦からのダメージを受けるたびに、遊星のDホイールのライフポイントも同時に削れるというシステムだ
しかし、聞くだけ聞くとデメリットしかないようなこのシステムだが、勿論、それだけではない
遊星はその事に関して、何故導入したのかを二人に説明しはじめた。
「このシステムはデメリットだけじゃない、これは、艦娘と俺のデッキとのシンクロ率を上げる事にも関わってるんだ」
「?…何故、私達とのシンクロ率を上げるのと提督のデッキが関係あるんですか?」
「まず、ソリッドビジョンシステムでの深海棲艦の撃破は無理だと思ったからだ。出現させたモンスターカードで彼女達を倒すことのできる可能性は限りなく低い、本来、カード同士のデュエルで使用するものだし、それに君達という本来の対深海棲艦の者達ですら手こずる存在だ。よって、戦闘時は君達のサポーターとして俺は支援する形になるだろう。」
遊星はそう告げるとデッキを取り出して、夕張と明石に続けてこう説明しはじめる。
「つまり、君達にこのデッキからの支援を発揮させる為の機能だと考えてくれ、俺も君達に合わせてデッキを編成するつもりだ。」
「でも…提督が奴らに狙われたら…」
「問題ない、こう見えても決闘者としてダイレクトアタックを躱し続けた実績があるんだ、魔法や罠カードは使えるからなんとかなるさ」
「そうですか、なら良いですが…」
遊星の言葉を聞いていた二人は自身げに答える遊星の言葉に納得した様にそれぞれ頷く
そうして、三人が工廠でDホイールの改造を終えて談笑をしていると、そこに加わる様に見慣れたアホ毛といつも語尾が某遊戯王創始者のペガサスに似た語尾の少女がやってくる。
「ヘーイ!何私のいないところで面白い話してるノー? 混ぜてくだサーイ!」
「…あ、金剛か、いや、Dホイールの改造についてちょっとな、そちらは出撃の準備は出来たのか?」
「ばっちりデース! なんの心配もいりませんネー! 戦艦は私だけだケドー大丈夫デスカー?」
「…それは仕方ないだろう、資材も少ない、そうなれば俺が加わった今ある戦力だけで攻略するしかないのも必然的だ。」
そう言って金剛の言葉に肩を竦める様にして答える遊星
そう、敵艦隊に囚われている元々のこの鎮守府にいる戦力、彼女達を取り戻さなければ未来は暗く閉ざされたままだ
そして、遊星は金剛に向き直ると彼女の肩に片手をおいて、こう告げはじめる
「…期待してるぞ金剛、 お前達の力を見せてくれ」
「…んもう!提督ゥ!大胆なんですかラー!触ってもいいケドサー!時間と場所を弁え…。」
「さぁ! 行こう!、夕張、艦装を装備したらとりあえず鎮守府前の海域で合流してW島に向かうようにみんなに言っといてくれ、明石はそのまま鎮守府に待機だ、何かあった際に処置できる体制を鎮守府でつくっておいてほしい」
「ヘーイ!提督ゥー!無視デスカー!スルーデスカー!」
遊星の切り替えの早い態度に思わずそう言って、遊星の服を掴み告げる金剛
なんというか、遊星も金剛の扱い方が上手くなってきているなと、その光景を見ていた夕張と明石は思った
そうして、その後、金剛を宥めた遊星はいつもの様に改造を施したDホイールに跨るとエンジンを掛ける
どこも異常はない、どうやら不具合や海上での破損などの心配は無いようだ
「ライディング艦これ!…アクセラレーション!」
そう言って遊星はエンジンを掛けたDホイールで鎮守府前の海上にへと乗り出す様に着地する
そして、スピードを上げ、まるで、遊星が乗るDホイールはジェットスキーの様な速さで加速した
道路で走るとはまた違うスピード感、暫くそれに慣らすように試運転をすると、遊星は艦隊が待つ方へと向かう
ひとまず、艦隊と合流した遊星は一息ついて彼女達の側にDホイールを停めた
「ふぅ、ひとまず、不具合はなさそうだ…」
「提督ぅ!遅すぎじゃん?鈴谷待ち疲れたよー」
「悪いな、一応、Dホイールの確認はしときたかったんだ」
「…提督、本当によろしいので?」
「…ん?何がだ?」
「戦闘の事です」
そう言って、正規空母である加賀はDホイールで戦列に加わってきた遊星にそう告げる
それはそうだろう、本来、深海棲艦というのは人類を脅かす敵であり、それに、生身の人間である遊星が参加するとなればそれなりの覚悟をしてもらわなければならない
戦列に加わるというのは、彼も攻撃に晒されるということ、すなわち、それは死を意味する
だが、遊星はそんな心配そうに訪ねてくる加賀に対してこう笑みを浮かべて告げはじめた
「あぁ、覚悟はしているさ、大丈夫…、それにお前達も同じだ、差はない」
「そう…なら、もう言うことは無いわね…」
「ふふふ…私達もしっかり提督さんは守りますから安心してください」
「私はそのDホイールと提督の事を信用してますから!」
「ありがとう、みんな」
そう言って、加賀、如月、夕張、の言葉に感謝を述べる遊星、ここまで来てもう後戻りするつもりなんてさらさら無い
今までだって命を懸けて様々なデュエルに挑んてきた、自分はその魂を燃やしても彼女達を無事に全員鎮守府に連れて帰る義務がある
「それじゃ行くぞ、みんな、金剛が旗艦を務めてくれ、俺達もその後に続く!」
「オッケー!フォロミー!では!みなさーん!しっかり付いてきてくださいネー!」
そう言って、先行を金剛に任せ、後から続くようにして編成を組み、目的地であるW島に向かい艦隊は動き出す
遊星もまた、彼女達の後ろから続く様に、Dホイールを加速させつつ、戦列に加わった
そして、いよいよ遊星が率いるチーム5Ds鎮守府の反撃の狼煙…。
W島攻略作戦が実行に移されようとしていた。
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ウェーク島、
ここには金剛達と同じ、艦娘が戦いに敗れ降伏し、捕虜となって深海棲艦に囚われていた
まだ、かろうじて犠牲は出ていない、それは、深海棲艦達が彼女達を使い、W島にある資源の調達や労働を強いているからだ
燃料や弾薬、それに補給もしては貰えるが、しかし、囚われた彼女達に自由はない
彼女達の首には首輪の様な物がつけられ、中には逃げる者を感知し、燃料を全て尽きさせ無力化する装置が施されている。
燃料が尽きれば後は船といえどもただの箱舟、どうすることも出来ない彼女達は人類を恐怖に陥れようしている彼女達の片棒を担ぐしか今はなかった。
暗い世界、暗雲が立ちこもり周りにいる艦娘達は度重なる過労と強いられる労働に絶望した眼差しをそれぞれ見せていた
そんな中、かつて姉の金剛を逃がすため、殿を務めて捕らえられた、金剛型二番艦、比叡もまた、過労に終われ、もう助けも来てもらえないままここで朽ち果てることになるという事を悟っていた。
(金剛お姉様…私は…。)
比叡はそんな鎮守府に無事に帰ったであろう姉を思い、W島から見える遠くの夜空を見上げる
だが、そこには暗雲がかかり、夜空も星も、月さえ見えることはない、まるで、これから先が見えない自分達の様に。
そんな比叡に訪ねる様に、ボロボロになった服装をした艦娘の一人がこう訪ね出す
彼女の名前は睦月型一番睦月という
「…比叡さん…、私達、いつまでこうして働かせられるのでしょうか…」
「…睦月ちゃん、そんなこと比叡さんにも分かるわけないでしょう?…通信も逃げる事のできない私たちが…」
そう言って、比叡を代弁するかのように厳しい言葉と現実を表した言葉を発する彼女は軽空母、飛鷹
三人はその言葉にふたたび沈黙し、俯く、そう、みんなわかっていたのだ。たとえあの時、金剛や加賀達を逃したとしても自分達を助けにくる可能性は限りなく低いということに。
自分達の他の仲間達も捕虜となって一人、また一人と消えて行った…、中には轟沈させられた者もいるかもしれない
「…今日は休みましょう、大丈夫…お姉様は必ず迎えに来てくれます」
「……っ! もう!半年になるんですよ!あれから!…だから…!もう!」
諦めた方が賢明であると、比叡に告げようとした飛鷹はその口を閉ざした
それは、自分もどこかで助けに来てくれるんじゃないかという淡い期待を持っているからだろう。
半年が経ち、敵に奴隷として労働を強いられ、艦娘である自分達の誇りもズタボロになっている
そんな中で見出した希望まで、投げ出してしまう程、精神的にも追い詰められているのだろう
だが、比叡はそんな飛鷹に軽く微笑むと彼女にこう告げはじめた
「…流星が見えたんです」
「え…?」
「お姉様がいるだろう鎮守府の方角に向かって、流星が流れていくのが見えました、こんな暗雲が覆う空の中で、あの流星は切り裂く様に流れてました」
比叡のその言葉に目を丸くする睦月と飛鷹、さらに彼女達の話に加わる様に眼帯をつけた、黒髪と跳ね毛が特徴的な凛々しい少女が比叡に訪ねる
「なぁ、それってどういう事だ? あの空じゃ星は見えないはずだろう?」
「そうなんですけどね…? 木曾は気づかなかったですか?」
「生憎、そん時は寝ててな、そもそも星なんて奴らの占領地である普段のここじゃ見えないし…」
そう言って、比叡の言葉に肩を竦める様にして応える、球磨型5番艦の軽巡、木曾
比叡はそう答えてきた木曾にあぁ、と納得した様に頷くと、続けて、こう告げはじめる
その言葉は何か確信があるのか、はたまた何かの勘なのかはわからない、しかし、比叡は予感がしていた。何か大きな事が起きる予感を。
「…お姉様はきっと来てくれます、そんな気がするんです」
その時、その言葉に呼応するかのように比叡の右腕がほんのりと光った事は誰も気づかなかった。