遊戯王艦これ5Ds 遊星提督が着任しました 作:パトラッシュS
鎮守府の提督室
ひとまず、鬼柳からの手紙を読み上げた遊星は金剛の姉妹艦である。榛名、霧島と面会する事にした
がちゃりと扉に手が掛けられると共に金剛、比叡に続き、金剛型の姉妹がその扉から姿を現わす
「えっと、君達が鬼柳に助けられた金剛の妹達か?」
「えぇ!そうです!私は金剛型戦艦三番艦!榛名です」
「同じく四番艦の霧島です。貴方が提督ですか?」
「あぁ、そうだ、よろしく二人共、ところで、二人に早速聞きたいんだが、鬼柳はどんな様子だった?元気にしてるようだったか?」
そう言って、鬼柳の事について息災かどうか二人に訪ねる遊星、
すると二人は顔を見合わせると、何やら興奮気味に遊星に迫るように口々にこう話しはじめる
その様子にはあの普段テンションが高い金剛も、そして、元気で明るい比叡ですらドン引きするようなハイテンションぶりであった
「ええ!それはもう素晴らしい方でした! あの鎮守府にいて、解放されて間もなく元気がない榛名になんと!自分が持っている名言を授けてくださったりしてくれたんです!」
「私もです!司令!あの鎮守府は素晴らしかったです!皆様方は生き生きと日々に満足するという目標の元、皆さん顔が輝いていました!おまけにほら!こんなジャケットまで頂いて来ましたよ!」
そう言って、霧島は遊星の前に嬉しそうに大満足鎮守府の鬼柳から貰ったであろうある物を取り出し遊星に見せる
そして、それを見せられた遊星は度肝を抜かれた様に目を丸くして、唖然とした、それもそのはずである。
そのジャケットというのはなんと…
「!?…そ、そいつは!」
「満足ジャケットって鬼柳司令はおっしゃってましたね、なんでも何故か鎮守府の皆が欲しがるとかで満足鎮守府内で大流行してるだとか!」
「そいつを着るのはやめておいた方がいい、いや!絶対に着るんじゃない!いいな!」
そう言って遊星は満足ジャケットを提示する霧島に迫るようにそう告げる。
そう、そのジャケットはかつて自分も着た事があるジャケット、よくよく思い返せばこのジャケットは袖が無い故にナウいなんというか、見てるとデュエッ! とかその他諸々の遊星自身の黒い過去が滲み出てきそうで仕方なかった。
それを見ていた金剛は何かを察したのか、ははーんっと納得した表情を浮かべ遊星にこう問い出した
「…なるほどー提督ぅ、もしかしてそれを着た事がありマス…」
「ない」
「へぇ、こんなの提督着てたんだーなんというかパンクな感じの…」
「だから無い!」
「チョリース!提督いるー? みんな何やってんの? あれー?なにそれー?なんのジャケットー?うわ!ダッサー!」
「おいやめろ、本気で死にたくなってくる」
そして、口々にジャケットについて遊星がかつて着た事を前提に話を続けようとする金剛型に加えて
さらに後からやってきた鈴谷に追撃のダッサいというトドメの一言を完璧に貰い、あの頃、このジャケットがカッコイイと思い着ていた遊星は遂に折れて、轟沈寸前にまで追い詰められた
何故、鬼柳はまたこいつを復活させてしまったのかという疑問と、そして、遊星自身の黒歴史が押しつぶすように彼を責め立てる
だが!俺のバトルフェイズはまだ終了してないぜと言わんばかりに、遊星は隣の榛名に話を聞く事にした
「…それで、榛名、お前は鬼柳からなんという言葉を貰ったんだ?」
「あ…!はい!そうでしたね!あの時の私はいつも榛名なら大丈夫です!っと周りにも気を使っていましたけど、お前はいつも大丈夫ばかり、たまには弱音を吐いてみろ!と言われて、鬼柳提督からこの言葉を貰いました!」
「へぇ…あいつから励ましの言葉か、とりあえず聞いてみよう、なんて言葉を貰ったんだ?」
そう言って、元気がない榛名を励ましてくれた鬼柳に内心感謝すると共に、その嬉しそうに笑う榛名になんと告げ授けたのかを聞いてみる事にした
そして、榛名はにっこりと笑って見せた後に、何やら哀愁の様なものを漂わせ、懐からハーモニカを取り出してそれを吹き始めた
遊星は何故かこの時から嫌な予感はしていた、しかもそのハーモニカのメロディーはあの鬼柳と再会した時に奴が登場と共に鳴らしていたあのメロディーだ
そして、ハーモニカを吹き終わると榛名は何処か、キリッとした表情を浮かべたまま、遊星にこう告げはじめる
「…わすれてしまったわ…大丈夫なんて言葉は…」
「……………」
「…………oh……」
なんというか、かつての鬼柳を思わせる様な意味深な言葉と、なんとも言えないシュールさが提督室全体を包み込む
そして、ふぅ、と一息入れた遊星は金剛の肩をポンと叩くと共に、霧島と榛名の二人について彼女に耳元でこう告げはじめる
「金剛、一番と二番の入渠が空いてた筈だ、彼女達を入れてきてくれ」
「…ok…、私にまかせるネー、二人も疲れてるだろうしネー…」
そう言って、金剛は遊星の言葉に先ほどの光景を見て納得したのかすぐさま彼女達を修復というか入渠に連れて行く事にした
金剛は何やら疑問を抱くように首を傾げる彼女達を他所に、とりあえず二人とも提督室から連れ出していった
そんな遊星を傍らで見ていた、比叡と鈴谷と言うと腹を抱えたまま鈴谷は大爆笑し、比叡は笑いを堪えるために壁を軽く叩いてそれを堪えていた
「…そんなに酷いか…このジャケット…」
「ぶはぁ!もうだめ!無理!あはははははははははははは!それ着てみんな統一してたとか無いでしょう!袖…!袖がぁ…!ひぃ…!」
「腹が…!腹がよじれてしまいます…!」
そう言って、満足ジャケットを掴み上げて、真剣な眼差しで品定めするように呟いた遊星の言葉に限界を迎えた二人はのたうち回るように爆笑した
だが、遊星には一応、これもなんというか、かつての栄光であり、楽しかった思い出でもあるので、別に懐かしい感じはするし、捨てるつもりもなかった
すると、そこに笑い声を聞きつけてやって来たのか、加賀が提督室へとやってきた、彼女は腹を抱えて笑う鈴谷と比叡を他所に遊星にこう訪ねる
「騒がしいですね、提督、一体なんの騒ぎかしら?」
「あ、加賀か、いや、大した事じゃない、俺の知り合いが送ってきた、かつて、俺が着ていたであろうジャケットがどうやら二人にツボったらしい」
そう言って、遊星は加賀の前にその騒ぎの元と言うか、自分の知り合いが霧島に持たせた満足ジャケットを加賀の前に見せる
そして、そのジャケットを見た加賀は首を傾げると、ジィとそれを見つめ両手で摘み上げ、遊星にこう告げはじめる
「なかなか良いジャケットではありませんか?」
「え?」
「え?」
予想外の加賀の反応に目を丸くする鈴谷と比叡、そして、このジャケットを着た経験のある遊星
だが、遊星は思いのほか反応が良い加賀にこう訪ねる
「あ…いや、一応聞くが、どの部分が…」
「?…機動性に優れた部分と、それになんと言いますか、このジャケットに何やら提督の思い入れの様なものを感じましてね…?」
そう言って、加賀は両手で持っていた満足ジャケットをそう言って、遊星の目の前のデスクに置く
そして、何やら、唖然としている彼女達に向かい、疑問の様な言葉を訪ねる
「?…何か私の顔についていて?」
「あ、いや、加賀…、なんというかありがとう」
「?…まぁ、いいのだけれど、それでは出撃するときは、また招集をかけてくださいね、では」
そう言って、加賀は提督室の扉を開けると廊下へと消えて行ってしまった、
遊星はその後ろ姿を確認すると、加賀がデスクに置いた満足ジャケットへと再び視線を向ける
「…どうやら艦娘の感性はそれぞれみたいだな」
それが結局、遊星がこのジャケットと鬼柳に影響を受けたであろう金剛型二人についての最終的な素直なコメントだった
単なる日常の風景、そして、遊星の思い出の満足ジャケット、
平穏なひと時は何事もなくこうして過ぎてゆく、しかし、戦いの時は確実にその手を伸ばしている事を彼等はまだ知らない