遊戯王艦これ5Ds 遊星提督が着任しました   作:パトラッシュS

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南西諸島の制海権を奪取せよ

 

 鬼柳の鎮守府で保護されていた榛名達二人を新たに仲間に迎え入れた遊星達。

 

 次なる目標としては攻略を推し進め新たな仲間を迎え入れる事と深海棲艦の撃滅だ。

 

 そして、新たな艦娘とDホイールに搭載されているソリッドビジョンシステムによるシンクロ、これもまだ発展途上の段階にある。

 

 

「ねぇー、提督ぅー! 鈴谷もシンクロしたい〜。ねぇ〜」

「いや…そう言われてもな…」

「そんな簡単に行くわけないでしょう」

「鈴谷のシンクロならきっとイケてる感じになると思うよ? ね? ね?」

「…ま、まあ、それは鈴谷次第だな…」

 

 

 と、鈴谷から押されるがままの遊星は引き気味に後ずさりしながら彼女にそう告げる。

 

 未だに艦娘とのシンクロは未知数であり、どんな風にシンクロするのかも遊星にはわからない部分がある。

 

 カードが共鳴し、シンクロが発動する条件さえ満たせれば鈴谷もおそらくはシンクロは可能なのだろうが、遊星としては不確かなものを出来ると言い切る事は出来ない。

 

 それにまだ、やらなければいけない戦いも残っている。

 

 

「提督、次の出撃先ですが…ひとまず南西諸島の制海権を奪取する事にしませんか?」

「南西諸島…? …それは何故だ」

「はい、理由としてですが…」

 

 

 そう言って、一旦言葉を区切る大淀。

 

 それから、南西諸島の制海権を確保する理由について遊星に事細かに説明をしはじめた。

 

 未だにその南西諸島においては劣勢を強いられており、仲間の艦娘による抗戦により辛うじて深海棲艦からの支配を免れているという状況。

 

 そして、その地において、深海棲艦に抵抗している艦娘の勢力が孤立しているというのだ。

 

 

「ですが、それもいつまでもつか…」

「なるほど、理由はわかった…。だが、よく持っているな」

「はい、旗艦赤城を中心とした空母機動部隊と駆逐艦や戦艦、そして、軽巡達の頑張りのおかげです。…ですが」

「…この間、赤城さんの偵察機が来たわ…。どうやら、激しい戦闘があったらしく、今はかなり危うい状況なの」

「…っ、加賀さん…」

 

 

 そう言って、大淀の言葉を遮り、遊星に告げる加賀。その表情はいつもと違いどこか哀しげなものであった。

 

 それは未だに鎮守府に帰ってこない赤城への思いもあるが、それとは別に加賀にはどうしても遊星に伝えたい事があった。

 

 

「彼女は…激しい南西諸島の戦線で殿を務めたわ、戦力差が違って勝機は薄かった。金剛から話は聞いたとは思うけれど前提督の事もあってか当時の指揮は下がってばかり、当然、撤退をせざる得なかったの」

「そうか…」

「えぇ…、けれど南西諸島を抜かれては間違いなく本土が深海棲艦の襲撃に晒される事になる。それ故に彼女は…」

「…いや、もうわかった。辛いならこれ以上は話さなくてもいい」

 

 

 当時、自分も残り、赤城と共に南西諸島で奮戦したいと希望していた加賀。

 

 だが、加賀はそれを叶える事は出来なかった。何故なら、撤退戦で守るべき艦隊を赤城から託されたからである。

 

 赤城を筆頭に他の艦娘達もまた自ら進んで南西諸島に残る事を希望し、そして、赤城と同じように旗艦として指揮が取れる加賀達の帰還を手助けした。

 

 

「だから…提督、次は私が…」

「あぁ、わかってる、俺たちはチームだ。なら、仲間を助けに行こう」

「…提督…」

 

 

 そう言って、遊星は力強く加賀の肩を叩いて優しく笑みを浮かべる。

 

 そうと決まれば話は早い、さっそくと言わんばかりに腕を捲った夕張はハツラツとした顔でレンチを掲げる。

 

 

「じゃあさっそくDホイールの調整しなきゃね! 明石さん!」

「えぇ! メカニックの血が騒ぐわね!」

 

 

 彼女達はすぐさま顔を見合わせると満面の笑みを浮かべて、楽しそうに工廠に向かって駆け出した。

 

 明確な目標は決まった、南西諸島を攻略し、仲間達を助けに行く事だ。

 

 遊星としても一刻も早く苦しんでいる仲間達を救ってやりたいという気持ちがあった。これから先、道を切り開くには仲間達との絆と協力が必要不可欠だ。

 

 出撃先を決めた遊星達は艦隊を編成し、赤城達の待つ南西諸島へ向けて海を駆ける。

 

 

「行こう! ライティング艦これ! アクセラレーション!」

 

 

 明石と夕張がメンテナンスをし、万全にしたDホイールを唸らせ、海を駆ける遊星。

 

 ジェットスキーのように駆けるそれの横には展開するように彼を慕うチーム5Dsの艦娘達が追従する。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 南西諸島。

 

 その海域において、ゲリラのように抵抗を見せる艦娘達がいた。

 

 限られた資源をやり繰りし、居残った艦娘達が鎮守府のような場所を自ら作りそこを拠点としながら、日夜激しい深海棲艦からの襲撃と撃退を繰り広げるその海域。

 

 そこで、指揮を執る赤城は艦載機を飛ばしながら同じく二航戦である飛龍、蒼龍。軽空母、そして、駆逐艦や軽巡の艦娘と共に激しい戦闘の真っ只中にいた。

 

 

「左舷から敵航空機十二機!」

「弾幕と艦載機発艦急いで!」

「このままやと流石にやばいんやないかな…」

 

 

 だが、戦況はまずい状況に陥りつつある。

 

 艦隊の半数は小破から中破、夜になれば夜戦では空母としての真価は発揮しづらくなる。だからこそ、今のうちに叩いておかねばますます苦戦を強いられる。

 

 だが、現在の状況も芳しくない。どうすれば良いのか、赤城は突破口が見つからないでいた。

 

 

(く…っ…。 最早…持たないか…)

 

 

 自らのダメージを考慮した上でそんな考えが赤城の頭に過ぎる。

 

 これまで奮闘した仲間達、しかし、疲弊する中でも駆逐艦や軽巡達は資源を調達しなんとかこれまで戦ってくる事ができた。

 

 孤立無援、この状況下で最後まで希望を捨てずに戦って来たが、それも、ここまでなのだろうか。

 

 せめて、最後は…やはり、信頼できる親友と背中合わせで散りたかった。

 

 

(馬鹿ね…今更…)

 

 

 ふと、赤城の頭の中ではその空母の後ろ姿が過った。もしかしたらとどうしても考えてしまう。

 

 そんな中、戦闘の最中、蒼龍は赤城の直上にいる敵航空機の姿を目の当たりにした。

 

 

「赤城さんっ…!」

「しまっ…!」

 

 

 敵爆撃機は急降下、赤城に向かい一直線に爆弾を次々と投下していく。

 

 直下にいる赤城がそれをかわせるはずもない、このままでは直撃は必定であった。しかも、赤城も中破、このままでは…。

 

 この瞬間、誰しもが考えた最悪の情景。血塗れで海に伏す赤城の姿を想像したことだろう。

 

 そう、この時までは…。

 

 

「いけ!マシッブ・ウォーリアー!」

「はっ…!」

 

 

 だが、爆発と共に赤城を庇うように現れた謎のモンスターが彼女の間に入りそれを庇うようにして受け止めた。

 

 多大な爆発に晒される中、そのモンスターは毅然として赤城の前に立ち塞がる。

 

 そして、ジェットスキーのようなバイクを走らせる男は声高にこう宣言した。

 

 

「マシッブ・ウォーリアの効果発動! このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。このカードは1ターンに1度だけ、戦闘では破壊されない!」

「貴方は…っ!」

「どうやら間に合ったようだな」

 

 

 そう言って、海を走るDホイールを駆る男、不動遊星は不敵に笑みを浮かべ赤城にそう告げる。

 

 その光景を目の当たりにした蒼龍達は目を丸くしていた。

 

 艦娘ではないにも関わらず、この戦域に入ってきた不動遊星という男は深海棲艦からの爆撃を無効化してみせたのである。

 

 そして、間髪入れず、鎮守府からやってきた加賀達も戦闘に合流する。

 

 

「赤城さん!」

「加賀さん! どうしてここに!」

「話は後です、まずはこの戦況を打開しましょう!」

 

 

 そう言って、すぐさま背中を赤城に預ける加賀。

 

 彼女達の信頼関係は固い、それを横目で見届けていた遊星は声高に周りにいる艦娘達を鼓舞するように呼びかける。

 

 

「さあ!反撃だ!」

 

 

 今こそ、赤城達の支援艦隊として現れた遊星達の本領を発揮する番だ。

 

 すぐさま、デッキに手を置く遊星、彼はまっすぐな瞳で目の前にいる深海棲艦を見つめたまま手札からカードを引く

 

 

「俺のターン! 」

 

 

 続けざまに遊星は手札のカードを一枚指に挟み、発動させた。

 

 

「俺は手札から魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動!このカードは手札からモンスター1体を墓地へ送り、手札またはデッキからレベル1モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる!」

 

 

 遊星は手札からモンスターカードを一枚墓地に送り、デッキ又は手札から召喚するモンスターを選ぶ。

 

 そして、選んだモンスターをフィールドに特殊召喚という形で艦娘達の戦う戦域に呼んだ。

 

 

「こい! ターボ・シンクロン」

 

 

 そうして、場に現れたモンスターは二体。

 

 だが、これではただ可愛らしいモンスター達を並べただけ、到底、あの深海棲艦には太刀打ちはできない。

 

 

「俺はここで手札からカードを一枚捨て、クイック・シンクロンを特殊召喚!」

 

 

 そうして、3体目のモンスターを場に並べる遊星。場にいるモンスターでは深海棲艦は倒せそうにない

 

 さらに、遊星はここで墓地にいるモンスター効果を発動。

 

 

「行くぞ! クイックシンクロンとターボシンクロンを一航戦赤城にチューニング!」

 

 

 Dホイールをさらに加速させる遊星。

 

 場にモンスターは揃った。ならば残すは艦娘とのシンクロ召喚のみ。光を放つカードと呼応するように赤城の身体が光を放ちはじめる。

 

 胸に手を当てる遊星はゆっくりと口上を述べ始めた。

 

 

「集いし絆が、更なる一航戦を紡ぎ出す!光差す道となれ!シンクロ召喚!」

 

 

 すると、赤城の身体が急に光り出し召喚されたモンスターと共に包まれて行く。

 

 そして、現れたのは赤いボディに身を包んだ一航戦であり、旗艦であった赤城の姿であった

 

 

「出でよ!ターボ・赤城・ウォリアー!」

「上々ね!」

 

 

 そう言って、構えを取る赤城。

 

 ターボ・ウォリアーの面影が残る赤いフォルムは赤城にぴったりであった。

 

 明らかに先程よりも身体から力が溢れ出てくる実感は彼女自身がよく感じ取れている。

 

 

「さらに俺は手札からジャンク・シンクロンを召喚!」

 

 

 そして、場に召喚されたジャンクシンクロン。

 

 ジャンクシンクロンの効果が発動し、遊星はさらに墓地からボルト・ヘッジホッグを特殊召喚する。

 

 場にいるマシッブ・ウォーリア、ジャンクシンクロン、そして、ボルト・ヘッジホッグの身体が光を帯び、それに呼応するように加賀の身体も光を発する。

 

 

「集いし叫びが、一航戦の矢となり空を裂く!光差す道となれ!シンクロ召喚!」

 

 

 光に包まれた加賀はそのまま遊星のカードと共にシンクロ。

 

 そうして、場に現れたのは遊星のカードとソリッドビジョンシステムとの共鳴によりシンクロを遂げた加賀の姿であった。

 

 

「出でよ! ジャンク・加賀・アーチャー!」

「流石に気分が高揚します」

 

 

 場に現れた二人のシンクロを遂げた艦娘に周りの艦娘もこれには目を丸くしていた。

 

 こんな艦娘は今まで見たことが無い。シンクロと言っていたが、艦装がガラリと変わり性能差が格段に向上している。

 

 背中合わせに笑みを浮かべる一航戦の二人は敵艦隊に構えを取り、毅然と構えている。

 

 そうして、Dホイールを駆る遊星は笑みを浮かべ深海棲艦達を指差すとこう高々に宣言した。

 

 

「さあ! 行くぞ深海棲艦! 俺たちの絆の力を見せてやる!」

 

 

 南西諸島での戦いはまだ始まったばかりである。

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