そんな拙作ではありますが、どうぞ。
「マーリン、また君が町で騒動を起こしたようだね。そのことについて何か釈明はあるかい?」
白銀の鎧を纏う金色の髪の騎士は町の外れにまでやってきていた。綺麗な緑の瞳をした青年。彼から発せられている落ち着いた穏やかな雰囲気は外見よりも成熟している。
そして、このマーリンと呼ばれた
「ふむ。さすがはアーサー王。耳が早いですね」
そう自分のやったことに悪びれる様子もないマーリン。地面に腰を下ろしている彼女だが、アーサーに腰を下ろしなよ、と手招く。
「さきに弁明しておくのなら、ボクに悪気があったわけではなく、不幸な巡りあわせが度重なっただけだということ判ってほしい」
「……はぁ」
こういつも問題ばかり起こされてしまっては呆れを通り越して物も言えないというもの。反省したこともあれば、こんなふうに自分は悪くないと言う。その実、嘘を吐いていないことも多く、このブリテン一のトラブルメーカーは厄介極まりない。
だからこそ、彼が自ら出向いたのだが。
「女の子が女の子をひっかけて遊ぶんじゃ、ありません。マーリン、君もいい年なのだから良きパートナーを見つけて落ち着いたらどうだい」
「ほぅ……君が言うか」
「私だから君に言うんだ。いい加減……」
――――ブリテンの平和を乱して、私の仕事を増やさないでくれ。そう紡ごうとすると、
「なら、君が私のお嫁さんになってくれたらいいじゃないか?」
ちょっとしたことを告げるようにマーリンは特大の爆弾を投下した。
「――――は?」
「いやはや、我が王のそんな顔を見れるとは思いもしなかったよ」
マーリンはきょとんとした顔をした。それにきょとんとしたいのはこっちの方だ。そうアーサーはマーリンの顔を見て思う。
「まあ、君をちょっと揶揄いたくなっただけなんだけれどね。はっはっは!」
「心臓に悪いよ」
「やはり、君を見ていると興味が尽きないね。こういった問題を起こすと君が直々に出向いてくれるのも、ボク的にも嬉しいしね」
「今度から来るのやめようかな……」
本気でそう考え始めるアーサーであった。
ここブリテンの外れにある草原。そこに立つ雄々しい木。大樹ほど立派ではないものの確かな存在感を放っている。
マーリンはこの木の下にできる木陰が好きだった。書物というものはあまり読まない彼女だが、この木陰のできる場所に腰を落ち着けて読み耽るのも悪くないと思っている。要するにお気に入りの場所。
「さて、そろそろボクはお暇させてもらうとしよう。なあに、これからナンパをしようなんて考えてはいないさ」
最後の一言が余計だ、と心の底から思うアーサーは複雑な顔をしている。
マーリンという存在は、このブリテンにおいてなくてはならないものであると同時に悩みの種である。円卓の騎士たちも彼女には手を焼かされてばかりだ。アーサーがアーサー王になった経緯にも彼女が深く関わっていたりもする。
良きスーパーバイザーでありスーパートラブルメーカー。それが彼女、魔術師マーリン。だが、彼女の魔術師としての腕も確かなものであり、それを円卓の騎士たちも皮肉を言いながら買ってはいる。たいていの者は嫌ってもいるのだが。
そんなマーリンをアーサーは心から慕っている。生まれ持っての直感がそれに間違いはないのだと告げているのも大きいが、昔からの長い付き合いの中で彼女がどういった人物なのかを判っている。いい年なのに悪戯に対しては本気になり過ぎるのが球に
「全く、昔から変わらないなマーリンは」
「そりゃあ、そうだろう。だって面白いことをして生きていくのは楽しいからね、。そうじゃなきゃ、ボクじゃない」
違いないな、とアーサーは微笑む。しかし、その微笑みは次のマーリンの言葉によって氷漬けにされた。
「そうだ。さっき、君が良きパートナーを見つけると言った話なのだけれど、円卓の中から見つけるというのはどうかな。なかなか、優良物件が揃っていると思うんだ」
白く美しい髪が風に揺れる。言い放った張本人はこれから始まるであろう楽しい予感に心を躍らせワクワクしている。
光が失わた碧眼でアーサーは遠くを見つめながら、
(また、厄介事が始まったか……)
そういつものように現実から目を背けていた。
導入部分だから、短いのは許してください。
描けば出る。でも、描く技術がない。ならば、書けばよかろうから始まりました。