Yesterday_Re:writer   作:ゆるふわ閻魔

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後悔先に立たず―そんな諺がありますね。
はてさて、過去を変えれる力を持ったら、人はどうなるのでしょうか?


依頼人はドジっ子少女(1)

変えたい『昨日』があるんです―。

私の元には、時たまそんな依頼が舞い込んでくることがある。

そう、後悔を塗り替えたいと言う依頼人がやってくるのだ。

 

後悔先に立たず、という諺を根本的にひっくり返してしまう私の発明品。

それがタイムマシン、『イエスタデイ・リライター』だ。

 

ここで言っておきたいことがある。

そもそも私達の時代では、未来に飛ぶことは既に可能なのだ。

飛ぶだけであって、元の時代には帰って来れない片道切符なのだが。

そこで、私達発明家は「過去に戻れるタイムマシン」の開発を競っていた。

 

そして、私はついにそれの開発に成功したのだ。

完璧な時間旅行をついに成し遂げることができた、と思っていたが。

エネルギーが足りず、飛べるのは一日前程度。とんだ不良品である。

やれやれ、と思っていたのも束の間。

どこから噂が広まったのか、私の元にはその手の依頼が舞い込んでくることになる。

 

ほら、また依頼人の訪問を知らせるチャイムが鳴った。

今日の依頼人はどんな悩みを抱えているのだろうか。

 

◆◆◆

 

「テストが惨敗だったんです」

「……は?」

「いや、だからテストが……」

「悪いけどそれをしてしまうと、私は多分教育委員会から訴えられてしまうよ」

「ちゃんと話を聞いてくださいよ!」

 

うーむ、何かが惨敗だった、というのはよく聞く依頼だ。

特に競馬が馬鹿らしいほどに多い。

勿論全部お断りしているのだが……殴りかかられた事もあったなあ。

 

さて、そんな話は置いておいて。

目の前の少女はどうやら学生のようだ。

制服は見たことがある、すぐそこにある名門校だ。

私とて、部屋に篭りっきりな訳ではないのだ、それぐらい知っている。

私は少女に語りかける

「少女よ。私が想定しているケースというのはせいぜい食器が割れてしまった、とかそういう他愛もないことなのだ」

「は、はぁ……」

「その人自身の運命に関わるような書き換えは危険なことなんだ。分かるかい?」

「いやだからですねっ……」

「それにテストのひとつぐらい落としても―」

「話を聞いてくださいぃぃぃ!」

目の前の少女は涙目になっていた。

話を聞かない、私の悪いクセである。

自覚はあるが治さない。

 

◆◆◆

 

「と、いうわけなんです」

「……ふうむ、悪戯か。それはいただけないなぁ」

 

彼女は学生だったが、失敗したのは学校の試験ではなかった。

ジェットボード、飛行の試験だったのだ。

その時、クラスメートに細工をされ、試験に不合格になってしまったという。

なるほど、してやられたという意味も込めての惨敗といったところか。

「この型、博士が開発されたモノだと聞いて……」

「あぁ……そういうことね」

ジェットボード『air-drive』、巷では空中サーフィンとも言われているが。

板にジェットエンジンを取り付け、その上に乗って空を飛ぶと言うものだ。

衝突や悪い時には落下の危険性もあり、開発が難航したものの一つである。

「これ、何処が細工されてるのか全く分からないんです」

そう言って彼女は背中に抱えていたジェットボードを、私に差し出した。

「ふうむ、見た感じはどこに細工されているのか分からないな……一時間後にもう一度来てくれ」

「は、はい。よろしくお願いします」

彼女はペコリと頭を下げ、研究室から出ていった。

 

ああ、ついに断れなかったなぁ、外を駆けていく彼女を見て思った。

過去に私自ら戻ってこの件を断りたいぐらいである。

私の作品に細工をするとは、なかなか肝の座った奴もいるものだ。

よろしい、受けて立とうではないか。

 

◆◆◆

玄関のチャイムが鳴った。

「博士……?」

「開いている。入っていいよ」

「あのう、細工は分かったんでしょうか?」

「分からないわけがない、私は開発者だからね」

制御システムに悪戯とは、学生にしてはとんでもなくハイレベルな細工だったが。

誰かの恨みでも買ってるんじゃないだろうか、この少女……。

人の心配は基本しない私だが、気になってしまう。

「元通りに治しておいたよ」

「あ、ありがとうございます!」

ボードを手渡し、私は隣の部屋のドアを開ける。

そう、ここからが本題なのである。

 

私の発明、『イエスタデイ・リライター』を動かすのだ。

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