では、どうぞ。
「とうちゃーく。」
茜さんと共にリーンボックスの教会に着いたのは少し西に日が
傾いてきた時間帯だった。
「ここがリーンボックスの教会...ラステイションの時のように
追い返される心配は無いよね、あかねぇ。」
「どうだろね。どのみち私も面会時間じゃないと用が果たせないし...
けどあっちは事情が事情でしょ?じゃあ大丈夫だよ。」
「よーし、じゃーいこー!」
白の懸念はもっともだけれど、流石にここまでアヴニールの手は
伸びて来るはずはない。似たような組織はこの国にもありそうだけど...
「おや、来客ですかな。」
現れたのは教会職員のお爺さんだった。
茜さんが手続きをしている。教会の中身は間取りは全く違えど
ラステイションのそれと同じ...もっとも中身をしげしげと見る前に
追い返される羽目にあったけど。
「素晴らしく運がないな。今日の面会時間は過ぎておるのだ。
また明日、足を運んでくだされ。」
「なるほどわかりました。一応、仙道 茜が来たとグリーンハート様に
お伝え頂けると嬉しいです。では、また明日。」
茜さんはそう言って話を止めた。だめだったようだ。
「うーん、また明日だってさ。とりあえず宿を取ろうか。」
「えー、折角来たのにー?」
「ルールじゃ仕方ないでしょネプちゃん、ほら、行くよ。」
僕達は茜さんに連れられて教会の外に出る。
まぁ、ラステイションに比べれば早めに終わるかもしれないな。
そんなことを思っていたせいか、向こうから来た人とすれ違う時に
少しぶつかってしまった。
「あ、すいません...」
「いえ、こっちこそすいません。」
穏便に済んだ。割れ物とか持ってたらどうしようかと思ったよ。
「黒くーん!行くよー!」
「わかりましたー!」
ネプテューヌさんが大声で僕を呼んでいた。
うん、恥ずかしいからとりあえず合流しよう。
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「慣れない口調をするものじゃないなぁ、ともあれ、こっちは
こっちの目的ってね。」
悪魔はぬるくないのに肝心なところを失敗する。
それでは世界は救えまい。というか、背後から刺されることを
全く想定していない。自殺願望でもあるのだろうか。
私の経歴を調べあげて尚、協力してほしいと頼む...
あれではまるでお人好しだ。ゲイムギョウ界に名だたる罪人とは思えない。
だからこそ、私が動かなければ世界は動かない。
まぁ、動くと言っても滅びへ、なんだけど。
「失礼します。」
「立て続けに来客ですかな。して、いかなる要件ですかな。」
「私は、審判の悪魔の動向を探るジャーナリスト、瀬木 光です。
今回はこちらに情報収集、及び提供をしに来ました。」
しまった、名字は偽装したが名前をつい口走ってしまった。
...まぁいいか、困ったら殺せばいい。教会職員だから完全に悪魔とは
無関係として扱われるだろう。
「ジャーナリストとな。」
「警戒するのはごもっともですが、しかし、今回の私の目的は
収集もしたいところですが第一は提供です。悪魔信仰、
という言葉をご存知でしょうか。」
「悪魔信仰...まぁ、噂程度なら聞いておりますわい。」
よしかかった。駒を手に入れた甲斐があった。
あの少年達に悪魔を邪魔されるのは私も邪魔されるということ。
だから、ここで仕留めないとね。
「はい、悪魔信仰とは4女神を表面上は信仰していながら、
その実態は悪魔に殺されたくない無信仰主義者が産み出したもの。
悪魔は自身の力が4女神に対抗できない事は知っている。
だからこそ、悪魔信仰者の中身を知っていても悪魔は手を出せず、
女神様は女神様で分厚い表面に騙され悪魔信仰者に手を出せないのです。」
「ほう...だが、それだけでは少し情報が足りんのではないか?」
「えぇ。これだけでは無益でも有害でもない輩としか言えません。
...悪魔信仰者の一部は、化け物、モンスターを生み出すのです。」
「なんと!?確かにモンスターは天界救世以降に突如現れ始めたが...
それは悪魔の仕業ではないのか!?」
厳密にはその通り。当時に人の業と性を具現化させたのがモンスターであり、
それを生み出すディスクは悪魔、というか私が作った。
思念の具現化は天界救世の黒幕、虚夜 時雨の研究データを元に、ディスクは
私の固有、《
だが、そんな情報は私と悪魔しか知らない。
ここから、嘘八百劇場を始めるんだなぁ...♪
「えぇ、悪魔を信奉する人間の思念がモンスターになったのです。
ゼニスと似たようなものとお考え下さい。最も、そちらと比べては
パワーは非常に弱々しいものですが。そして、モンスターは全国にいる。
この意味、もうわかりますよね?」
「まさか...その様な輩がこのリーンボックスにもおると...?」
「ご明察です。先のピンク髪の少女もそうです。彼女もまた、
悪魔信仰者の一人...双子の兄妹とその保護者代わりの少女を
騙しているのです。いずれ悪魔信仰者とするために。」
「なんじゃと...信じられんな...」
「証拠はあります。こちらのビデオがそうです。ラステイション在住の
サラリーマンの証言です。彼の経歴をご覧ください、彼は会社に尽力し、
若くして重役となった人間です。嘘はつけない経歴でしょう。」
「むぅ、確かにこの経歴、嘘はつけん。」
経歴自体が嘘なんだけどね♪
まぁ、この札を切ってあの少年達を止めるとしよう。
『私は見ました...あの少女...あのピンクの、ネプテューヌとかいう
少女が...町中を破壊しつくさんとしている様を...見たんですよ、
私は!でも誰も信じないのです...あぁ、思い出しただけでおぞましい...』
「...ふむ...じゃがわしはどうもまだ信じられん、この目で見るまではな。」
存外しぶといな...だけどまだ札はある。
邪魔者の邪魔をするのも仲間の仕事...いつまで仲間の皮をかぶって
いるのかという、自問自答はさておくとして、ね。
「では証拠ができ次第お知らせします。では。」
さぁ、私もそろそろ野望を果たすとするかな...!
次回、第22話「罠と毒」
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