あかねぇが教会から出る少し前の時間に、私は一人の女の人の部屋に
入っていた。全身で警戒していたのは余計な心配だったかもしれない。
「おや、誰かと思えば可愛い女の子じゃあありませんの...」
見たところ寝起き...起こしちゃったかな...
「あう...おこしちゃいました...?」
「いいえ、大丈夫ですわ。ちょっとイベントの合間に仮眠を取ってただけですもの。」
「は、はぁ...」
あかねぇとはまたちょっと違うけどつかみどころがないというか、
かなりおっとりとして見えた。あれ?でもここ教会だよね...
...まさか。
「そういえば、貴女のお名前はなんと言いますの?わたくしはベールと申しますわ。」
「え、えっと、私は白、です...」
警戒がほどかれていく。なんというか、まるでここでは安心していいよと
言われている...いや、私の全神経がそう感じている。
こんなに安心できるのは、お兄ちゃんか、あかねぇが側にいるときだけなのに...
「白、ですか...お兄さんがおりますの?」
「なんでわかるんですか...」
お兄ちゃんよりすごい観察力だと最初は思った。
けど、それは違った。
「まぁ、もしやゲームが得意なのでは?」
「したことないです。」
「そうですわよね...え?ゲームをしたことが、無い...ですの...?」
少し記憶をたどってみる。うん、ない。
「無いです。それよりも、ちょっと教会の中で迷っちゃって...」
「まさか、そんな子がいるなんて...」
「あのー、聞いてます?」
ゲームをしたことがない宣言はそこまで衝撃的だったのだろうか。
見渡してみればいくつかゲームの箱があった。
「白ちゃん!」
「はいっ!?」
いきなりすごい剣幕で私に顔を近づけて来た。
私はただただ驚いて返事するしかなかったんだけど...
なんだろう、私迷ったこと言ったよね?
「わたくしと、一緒にゲームをしませんか?」
「気持ちは嬉しいですけどお兄ちゃんとあかねぇを待たせてるんです...!
外への行き方を教えてください!」
「あかねぇ...?もしや茜ちゃんのことですの?確か数時間前来ていたと
イヴォワールが言っておりましたわね...茜ちゃんの教え子でしたの?」
「え?あ、はい...あかねぇを知ってるんですか?」
あかねぇの知り合い...てことはまさか...!
「えぇ、知ってますわよ。」
「...ベールさん、もしかして、貴女はここの女神様ですか...?」
「そうですわ。」
一瞬くらっとした。あかねぇの知り合いは女神様全員ということは
あかねぇ本人から聞いていたけど、まさか事実だなんて...
「正体がばれてしまっては仕方ありませんわ...」
「...!?」
「身構えないでくださいまし...ちゃんと茜ちゃんのところまで
送って差し上げますわ。かわりに、ちょっと伝言を伝えて欲しいんですの。」
「伝言...?」
「えぇ、明日の夜にパーティーを開きますの。...何人で来ましたの?」
「えっと、4人です。」
「では招待状を4枚と...このメモを茜ちゃんにお願いしますわ。」
「あ、はい。」
受けとるものを受け取って、私は送られてどうにか教会の外に出ることができた。
「白ちゃん、随分遅かったね。」
「ごめんなさいあかねぇ...ちょっと迷っちゃって...」
「とーっても心配したよ...でも無事ならおっけーだね!」
「白、それは?」
お兄ちゃんの問いかけに答えて、私は招待状とメモをあかねぇに渡す。
あかねぇはそれを見て少し困ったような顔をしたと思ったら、
すぐににこにこ笑い始めた。
「あーいかわらずだなー、ほんと、この国の女神様は。」
そのあかねぇの発言に、お兄ちゃんとネプテューヌさんが驚いたのは
言うまでもないことだった。
あかねぇって、ほんとに凄い人なんだな...
次回、第24話「ネプテューヌ、死す!」
デュエルスタンバイ!
じゃなくて感想、評価等、お待ちしてます。
次回もまた結構先になりそうです...