「知らない天井だ...」
つい最近もこんな事を誰かが言ってた気がする。
誰だっけなぁ、考えてもしょうがないとも思う。
あれか。シンクロニシティとかいう現象か。
「起きたね、黒君...おはよう。」
「茜さん...ここは...?」
身体を起して周りを見回すと、ゲームの箱、箱、フィギュア、そして茜さん。部屋の主と言える人と、白がいない。白が、いない...?
「白は...?茜さん、白はどこですか!?」
「白ちゃんはね、ベールと一緒にいるよ。大丈夫。」
茜さんが大丈夫と言ったから大丈夫なのだろうが、僕のたった一人の家族が近くにいないと、こう、なんとも言えない焦りというか、不安が僕を支配する。実際、僕の記憶の中では白はいつも僕のそばにいる。人見知りで毒舌っぽい言動をするけど、根は優しい女の子...そしてかわいい妹だ。
「安心して、いいんですよね...」
茜さんは黙って頷いた。気絶する前のことを思い出してみると、確か...ネプテューヌさんが毒を盛られて、倒れて...
「そうだ...茜さん、ネプテューヌさんは...ネプテューヌさんは無事なんですか!?生きてるんですか!?」
「...大丈夫、とは言えないかな。少しづつ毒が回っていっているから、解毒剤は必須だね...ごめんね、気づけなくって...」
僕の質問に茜さんは答えたが、いつもの茜さんの明るさがない。しかも全くと言っていいほどに。
どうしたんですかと聞こうかと思ったけど、聞いちゃいけない気がする。そう思えるほどに、茜さんは見るからに参っていた。
「あら、目覚めまして?」
そんな時だった。部屋の主と思われる女性が、部屋のさらに奥のほうから出てきたのは。
「...あなたが、ベールさんですか?」
白の姿が見えない。くそ、なんでこんなに焦っているんだ。それもこれも白がそばにいないからだ。こんなことは今まで1度もない...だからどうすればいいかわかんないんだ...頭では理解してるよ...
「ご安心くださいまし。妹の白ちゃんは無事ですわ。」
「...っ...そうですか...」
読まれた。いや、無理もない話だ。見るからに僕は焦っている。むしろわからない方がおかしい。
「あぁ、そうだベール...頼まれてたものだよ。」
「あら、茜ちゃん。さすが仕事が早いですわ...」
茜さんは話題を変えるためなのか今思い出したのかはわからないけど、ここに来る前に持っていた黒い袋をベールさんに渡した。結局あれなんだったんだろうか...
「さて...ネプちゃんは毒をもられたわけなんだけど...解毒剤の材料は既にベールが目星をつけているんだ。...で、ものは相談なんだけど、黒君。その材料を白ちゃんとベールと3人で取ってきてくれないかな。」
茜さんが話し始めるが、少し変だ。
「...茜さんは...どうするんですか?」
「...私は...今ちょっと戦えなくてね...足でまといになっちゃうし。それに、ネプちゃんをみてないといけないでしょ?」
茜さんが戦えない...一体何があったのだろうか。
けど、それよりは解毒剤の準備が優先だと思う。
「...わかりました...ベールさん、それで、その場所がどこですか?」
いない。あれ?どこいった?
「お兄ちゃあぁぁぁん!!」
奥から叫びが聞こえる。白だ。
一体何事と思って振り返ってみると...
「へ...白...?」
「あうぅ、うん...ちょっと、恥ずかしいよ...」
そう言って僕の背中に白が隠れる。
僕はバッチリ見たよ。ドレスを着飾った白の姿を。
「白ちゃん待ってくださいまし!まだ髪飾りをつけておりませんの!」
「私は着せ替え人形じゃないです...!大人なんだからもっとちゃんとしてください!」
「がーん!?」
で、この会話だよ。疎外感というか、なんと言うか...
でも僕はこう叫んでいた。
「...人命がかかってるんですよ!遊ばないでください!ましてや...僕の...俺の妹で...!」
気付かぬうちに僕は怒ってたらしい。が、茜さんに制止される。
「そこまでだよ二人とも。私の見立てだと、ネプちゃんは持って20時間。調合や材料集め、効くまでの時間を考慮してももう時間はないよ...白ちゃんは着替えてベールと黒君は外で待機。自己紹介とかは道中でね。頼んだよ。」
その言葉にその場にいた誰も、逆らえなかった。
と、いうわけで僕と白とベールさんは、解毒剤の材料探しに出かけるのだった。
次回、第26話「またか、また悪魔か。」
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