第27話 白くない雪国
ルウィー。
そこは雪国であり、魔法国家。そして、あの英雄『凍月影』が生まれた場所だ。
「それにしても、なんか寒いですね。」
「えぇ、ルウィーの耐寒フィールドは軒並み居住地区に回していますもの。」
「まだ着いてないから、関係ない話です...」
まぁそうだ。寒い。ルウィーという国に着いてないから関係ない。
「白?もしやちょっと不機嫌?」
「いや、寒いだけ。」
「そりゃそうだよねー。寒いよねー。黒君暖かくしてよー!」
「カイロあるでしょネプテューヌさん!」
全くもう、ネプテューヌさんはほんとに奔放だ...
「でも、これで悪魔と決着がつけられる...僕たちが積み上げてきたものはきっと無駄じゃない、ですよね。」
「参入したてのわたくしが言うのも変ですが...確かにそうですわ。」
「悪魔が殺し続ける限り、平和は来ない...」
そんなことを話しながらルウィーに向かう。なんだろう、こういう類いの会話、飽きるほど聞いた気がする...
「グアァァァァオ!!!」
轟く鳴き声。一瞬で僕達は臨戦態勢になる。
「咆哮!?」
「ねぷっ!?火球が飛んできた!?」
全員変身して火球を避ける。雪国なのに火球って...こんなところにドラゴンなんて住んでたっけ...っていうかドラゴンは氷と相性良くなかったよね。
「お兄ちゃん、火球が雪溶かして辺り真っ白...」
「問題ないわ。ベール!先行してヌシを叩くわよ!」
「言われなくてもそういたしますわ!」
ネプテューヌさんとベールさんが火球が飛んできた先に飛んでいく。
僕と白は上から火球の飛んできた場所を捉えることにした。
「ドラゴンだね...あの形状から見て、エンシェントドラゴンだと思う。」
「よく知ってるね白...調べたの?」
「あかねぇに写真送った。」
「いつの間に...っていうか茜さん仕事速くない!?トンデモ速度だよね!?」
「お兄ちゃんそんなこと言ってる場合じゃないって...あ。倒された。」
「ふぇ...?」
見ると確かにエンシェントドラゴンが消滅していった。女神様ってほんと強すぎる...茜さん曰く女神様には妹もいて、女神候補生というらしいんだけど、女神様同士が戦っていた頃に四人で悪魔と戦ったらしい。そして悪魔に敗れた。思えば悪魔はネプテューヌさんを圧倒してたんだよなぁ...僕と戦っているときは絶対手を抜いている。しかし...悪魔はいったい何がしたいんだ...まぁいい。とりあえず合流だ。
「ふぃー...いきなり襲ってきたときはどうしようかと思ったよー。」
「火球を避けながら戦っていましたので寒さをそんなに感じなくなったのはいいことなのでしょうけど...」
「それ、絶対反動で寒くなりますよね...」
「うん、とっても寒い!カイロもう一個ちょうだい!」
「えぇー...」
戦ってるときは強くてかっこいいネプテューヌさん。
「さぁ白ちゃん。わたくしのそばに。」
「えぇー...」
同じく、戦ってるときは凛々しいのに普段はなんだかなぁと思うベールさん。
ノワールさんもノワールさんでまたキャラクター濃かったし...きっとこれから会うルウィーの女神様も今まで見てきた三人(しかもそのうち二人はこの場にいる)に全く引けを取らないんだろうなぁ...
「見えてきたよお兄ちゃん。ルウィーの街だよ。」
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「さて...白の女神よ。私の7年に及ぶ粛清もようやく終わる...今日はその挨拶に来た。もっとも、私に、いや違うな。誰にも会う気のない...これも語弊か。凍月影以外に会う気のない君に話しても無駄だろう...だがここで敢えて私は宣誓させてもらおうか。」
「この国における最後の粛清を終えたのちに、白の女神にのみ私の真名を明かすと。もっとも、それまでに私が生きていればの話ではあるがな。では失礼する。従者よ、言伝は頼んだ。」
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「悪魔はルウィーでの粛清に大忙し...ねぇガナッシュ君、出来た?私の最新の武器と悪魔をも狩る、新しいキラーマシン...まぁ出来てなかったら君を使い捨てるだけだからね...ふふふ。始まるよ。終わりの始まりがね。」
次回、「第28話 終わりが始まった」
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