ルウィーの市街、というか居住地区に着いた。
「ふぃー...寒かったー...ネプ子さん復活!」
「いや、それでも肌寒いですよ...」
ルウィーの対モンスター障壁兼耐寒フィールドはあくまでも耐寒なのであって暖房ではない。肌寒いのは当然と言えば当然だ。
「で...どうするのお兄ちゃん。」
「僕に聞かれても...ベールさんはどう思います?」
「わたくしは...やはり教会に向かうべきだと思いますわ。ただ...」
「ただ?どったのベール、早く言ってよー。」
言葉を濁したベールさんはネプテューヌさんの催促を受けてもなお数十秒黙っていた。そのあと、どこか諦めの表情っぽいものを浮かべて言った。
「ただ、この国の女神...ブランはきっと、わたくし達に会うつもりは無いですわ。」
「え...?」
でも急襲とか毒盛るとかよりかはいいんじゃないかと一瞬思ったけど、対悪魔や鍵の欠片の捜索の協力が得られないのは痛い。
「どうしてわかるの、ベールさん。」
「...ブランには、影さんという彼氏さんがおりましたの。しかし、7年前の天界救世の時に影さんは消息を絶ったのですわ。今でも影さんは生死不明ですが、世間は影さんは死んだものとして、過去の英雄としてまつりあげた...そして生きていると信じている彼女はその世論に耐えられず、国を治めはすれど世に姿を見せなくなったのです。」
...僕達が産まれた直後の話だ。茜さんからちょっとだけ聞いたことがある。
「でも...ベールさん、かつて女神様達は守護女神戦争をしていたんですよね...?」
「えぇ...発端は些細な口喧嘩というべきものでしたわ...」
守護女神戦争の発端は口喧嘩...?それがどうして世界を巻き込んだ戦いに...?
「漸く全てが腑に落ちた...感謝するぞ緑の女神...同時に失望もした。神となって人としての業を洗い流したかと思ったが...過大評価であったようだ...神すら業と性に縛られているとは...」
音もなく、悪魔が正面に現れていた。
真っ黒な刃をした剣から落ちる水滴が足元の雪を赤く染めている。
「審判の悪魔...!?」
「いかにも...粛清は済んだ。いずれ黒の女神をも呼び寄せ、この地で最後の争乱を鎮めさせ私は消える。女神四人で世界を敵に回した悪魔を敵に回すのだ。ふふ...」
「どうしてそんなことを僕達に話す...」
「挨拶だよ黒君。さて...私がこれを言う立場ではないがやはり君たちが適任であろう...」
「適任...?いったいどーいうことさ!」
「なに、粛清の前に教会に挨拶をしたのだがこの書簡を渡しそびれてしまってな...もっとも受け取ってもらえる可能性は私が行ったところでないのだが...しかし私を裁くにはやはり女神四人が必要であろう。これが白の女神の手に渡れば君たちは私を裁くことができる。さぁ、渡してくれるかな?」
...僕達は顔を見合わせた。そのあと悪魔の持つ封筒に書いてある差出人を見て...僕達は目を疑った。
「驚くのも無理は無かろう...これは私が見つけた、英雄凍月影の手記なのだからな...」
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「キラーマシンツヴァイ、零壱式·霞刻鎌...確認したよ。良い出来だねガナッシュ君。」
「えぇ、わが社の技術の粋を集めて作った最高傑作です。それで...契約のほうは...」
「覚えているよ。君達は私の武器を作り私が君たちに権力を与える...」
「悪魔がルウィーにいる今こそ、ノワール様を倒す絶好の機会ではないでしょうか。」
「ふふふ。そうだね...君たちはほんと、その程度か。」
一人の少女が鎌を振るう。
さっきまで会話していた男の息はもうない。
「覚えているとは言ったけど...するなんて一言も言ってないのに。残念だねー。」
次回、第29話「真実」
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