女神世界の新生世代   作:Feldelt

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第30話 事実は小説より奇なり

「真実というものは残酷だよ。」

 

私は黒君と白ちゃんにそう言った。

──同時に、私と、ブランちゃんにも。

 

白ちゃんから送られてきた写真にあった封筒...そこに書いてあった文字と筆跡は間違いなくえー君のだ。私が間違えるはずがない。それに、悪魔から渡されたというのも変だ。思えばこの7年、私は悪魔を視界に入れたことがない。まるで悪魔が私を避けているかのように。それはきっと、悪魔は私の固有能力を知っているから。そして、私の知る限り、私の固有を知っていてなおかつ今所在が掴めないのは一人だけ...

 

そう、えー君ただ一人だけなのだ。

 

考えたくもないけれど、えー君が悪魔だと...そう考えると、悪魔一人で女神候補生全員を倒したなんて馬鹿げた事実も急に説得力が跳ね上がる。

 

「知ってたん、ですか...」

 

黒君が振り返って私の方を見る。

その目はまるでえー君のような鋭さが少し宿っていた。えー君がそんな目をするのは決まって苛立ってるときとか、怒っているときとか、よくない感情を持っているとき。親子だなぁ...

 

「知らなかった、は嘘になるね。」

「...あかねぇ...なんで言ってくれなかったの...?」

「そうだね...教えたかったよ。でも、あんまり早く教えちゃうと、きっと君たちは危ない目に遭っていたと思うから、かな...ううん、違う。きっと私は認めたくなかったのかな...この子達はえー君の子供だけど、私の子供じゃないって...」

 

「茜...」

 

本心、かな。ほんとはえー君が最初からずっとブランちゃんだけにしか振り向いてくれないって知っていたけど...それでも私はえー君が好きで好きで、だからブランちゃんがちょっとだけ邪魔に思ってた。えー君を独り占めしたかった。

 

「わかってるよブランちゃん...けどね...」

 

声が震える。

今までずっと誰にも言えなかった本当の気持ちを言おうとしている。けど、それは言ってしまったら...多分えー君と戦わないといけない。

 

「けどね...正直に言うとね......何回も何回も、数えきれないくらいブランちゃんのこと嫌いになって、いなくなっちゃえばえー君は私のものになるのに、って思ってた。でも、それじゃきっとえー君は笑ってくれないんだよね...」

 

1拍置く。誰も何も言わない。

 

「帰ってくるって約束を未だに守ってない上に買い物に行くって約束は10年放置しているような男なんてひどいよね...それなのに、私はまだずっと、えー君が好き。これだけは、ブランちゃんでも譲れない。」

 

まっすぐにブランちゃんを見据える。

なにか言いたげにしていたけど...教会の扉が開いた事でそれは緊張感のあるものになった。

 

「話は聞かせてもらった。仙道茜。」

 

どうやら悪魔だったようだ。つくづくタイミングがいい。だから私は振り返ることをせず、悪魔に言い放つ。

 

「聞いてたんだねえー君...でも、私を殺せる?」

 

悪魔は止まる。

周りのみんなは驚愕に目を見開く。(ネプちゃん以外だけどね。)

 

「私を...殺せる...?終わらせてくれる...?」

 

振り返って悪魔に詰め寄る。仮面で表情は見えないけれど、明らかに動揺している。

仮面に手を伸ばしたけれど、それは振り払われた。

 

「...最期の粛清も済んだ。あとは君たちが私を裁く番だ。では市街で待つ...」

 

「言うだけ言っていなくなったけど、どーする?」

「裁くわ。いくら影でも、7年待たせた罪は重いわ。当然、その間に奪った命の重さも秤に乗せる...」

「女神として、戦わせていただきますわ。」

 

 

───────

 

 

「ラステの鍵も手に入れたよ。そっちは見つかった?鍵の欠片。」

「いいや...だがじきにすぐに見つかる。」

「じゃ、合流目指すよ。」

 

そんな気はあっても、悪魔、私はこれでようやく、時雨お姉様の思想を私のものに出来る。消してあげる。私の手でね。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、第31話「裁き(前編)」

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