「やはり、気づいてしまうよな、茜なら...」
悪魔──いや、英雄凍月影は自らが1番愛する国の上空でこの7年で初めて正体を看破されたことにある種の納得をしていた。
「ルウィーの鍵の欠片はまだ見つかんないけど...全くイストワールめ。面倒なことをさせてくれる。今となってはすぐに解放するのに...」
そもそも俺は虚夜の世界再編の思想を俺の望む形にアレンジしただけだ。女神という概念が生まれたこと、それはある種の再編ではあるが、何故か彼女達は争い始めた。俺はそれが許せなかった。原因は何か考えた。そして俺の導き出した見解は、女神を信仰しない人間がもたらすノイズが彼女達を争わせた、という点に落ち着いた。
だから俺は、
だけど、一人では限界があった。
だから俺は仲間となり得る人物を探した。
結果、九形 光という存在に行き着いた。
結界系固有能力保持者。
光はこの固有能力を持っていたために悪魔に勧誘されたのであった。そして光も、審判の悪魔という存在に興味があったがために悪魔はその力を得てイストワールを封印し、イオサンドに女神候補生達を半幽閉状態にしたのであった。
「さて、回想シーンは終わりだ。そろそろ来るのであろう、私を裁かんとする者達よ。」
俺は教会の正門から50mの地点に着地する。
正門から出てきたのはノワールを除く女神三人と茜、そして黒と白。
俺はこの2人が何者なのか知らない。いや、大体はわかっている。だからいつも、邪魔されてもトドメをさせない。でも、今日くらいはもう本気で行こうか。でないとそれは彼女達に失礼だ。
「では裁きを始めよう。審判の時だ...!」
変身し、右腕を無理やり動かせるようにして黒剣を二刀流で持ち、背中の黒切羽を6基展開する。
対する彼女達も、各々変身して各々の武器を持った。もう、一触即発といったところだろう。
「行くぞ...!」
そして俺が仕掛けたことにより、戦闘が始まった。
───────
悪魔──いや、父さんが攻撃してくる。
正直、何度も戦った相手だからある程度動きはわかる。でも、それが父親となると話は別だ。あんまり動けない。それは白も、母さんもそうだった。今、父さんと戦ってるのはネプテューヌさんとベールさんと茜さんだ。
「何もかも納得できない...どうしてこうなっちゃったの...お母さん...」
白の一言に帰ってくる返答はない。
どうしてこうなったのか。
多分、この状況に一番納得してないのは母さんだと思う。ずっと会いたかった父さんが、自分の、世界の敵になっていたんだから。
茜さんが一旦戦線を離脱してくる。
「市街地だから本気出せないよ...えー君もそうだろうけどこれじゃこっちの分が悪いことは確かだね...雪山に誘導するから先そっち行ってて。」
それだけ言って、茜さんはまた戦線に戻っていった。ネプテューヌさんとベールさんを同時に相手しているというのに互角あるいはそれ以上で立ち回っている父さんは、世界の敵という言葉があまりにも似合っているように感じた。
「勝手ね...」
母さんはそれだけ言って変身して、雪山の方に向かっていった。
「ねぇ、お兄ちゃん。私達、どうすればいいのかな...どうしたらいいのかな...」
「...わからないよ...だから、僕は僕の好きなようにするよ。白もだろう?」
「......うん...」
僕達も変身して、雪山に向かった。
───────
「仙道茜の作戦は至って合理的だねー。だから先回りさせてもらったよ白の女神さん。キラーツヴァイ、殲滅の時間だよ。」
雪山には、キラーマシンがいた。
僕達の作戦や動きが読まれているかのようだった。それ以上に、それを従えてる女の人は、悪魔よりも、悪魔の雰囲気を醸し出していた。
次回、第32話「裁き(中編)」
感想、評価等、お待ちしてます。