第1話 少年の見た流れ星
ある日、夜空を眺めていた僕は、一つの流れ星がここから少し離れた
洞窟の近くに落ちていったのを見た。
茜さんにそれを言うと、領域把握で何か見つけたらしく、
文字通り飛んでいって、一人の女の人を小脇に抱えて帰ってきた。
ーーその人と僕ら兄妹の出会いが、世界を股にかける物語の引き金になることを、
僕らはまだ、知る由もなかった。
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「さてはて、まさかこんなことになるなんてねぇ...ありがとね、黒君。
君が見つけてなかったら、この子、変質者にひどい目にあいそうな恰好で
某ねぷ神家の一族のごとく頭から刺さってたから。」
「そ、そうなんですか...」
毎回思うけどこの人、仙道 茜さんの感性はホントによくわからない。
いや、僕も僕で7歳児の感性じゃないことはわかってるけど...
ピロピロピロピロ......ピロピロピロピロ......ヴェヴェーヴェー
目覚ましが鳴り響く。6:30を示すこの目覚ましも茜さんの感性に
よるものだ。これで起きないのは一人しかいない。
「みんな起きてきたかな?白ちゃん以外。じゃ、黒君、
白ちゃんをお願いするね、お兄ちゃん。」
そう、僕の妹、白だけだ。
そうだ、まだここがどこだかも、僕が誰なのかも言ってなかった。
僕は黒。7歳。茶髪で短髪、目は青い。苗字はない。親もいない。
茜さんは僕らの両親を知っているようだけれども、教えてくれたのは
僕たちを守って死んだということだけだ。だから僕は両親のことを知りたい。
ここはそんな僕らのような身寄りのない子供たちを守り育ててくれる、
イストワール記念学園の第三分校。本校のすぐ近くにあるんだけどね。
様々な年齢の子がいるけど、ここ、6~9歳までのクラスを担当して
くれているのが茜さん。あかねぇとも呼ばれている。
「白ー、朝だよー。」
「はみゅ...お兄ちゃん...せめてあと5時間...」
「長いわ!昼になるだろ!」
「だからだよ~...むー...」
この、朝に弱い銀髪長髪で僕と同じ青目の少女が僕の妹、白。
年頃の女の子の性なのかはわかんないけど...毒がとっても多い。
...僕と茜さん以外には。だから初対面の人がいるとこうなる...
「だれ、このピンク髪で見るからにおちゃらけてる感じの人は...」
「誰、この見るからにわたしを小馬鹿にしているこの子は...」
「おや、起きたようだね白ちゃん。そして久々だね、ねぷちゃん。」
え...?今、茜さんは久々って...?
「久々...?えーっと、どちら様?どこかで会ったっけ?
あーでも、夢の中で、会った、ような...」
「え?あ、そう...なるほどね。じゃ、名前は?私は茜。で、この子たちは黒と白。」
僕たちも茜さんが紹介してくれた。白の警戒はいまだ解けないけど。
「えっと、わたしはネプテューヌ!よろしく、茜!」
地面に突き刺さっていたというのになんとまぁ大雑把なんだろう...
「ネプチューンさん...」
「あだっ、おおむねその通りではあるんだけど、しかし白ちゃん、だっけ?
人の名前を3人組の芸能人みたいに言わないでよ!わたしの名前は
ネプテューヌだよ!」
「失礼、噛んであげました。」
「それって100%わざとだよね!」
「勘で当てました。」
「エスパーなの!?てか当たってないし!」
「燗で割りました。」
「子供なのに燗!?何を割ったの!?」
「お兄ちゃんの腹筋をですよ。」
「あ、ほんとだ...てか、普通に一本取られた...」
そう、白とネプテューヌさんのこのやりとりで僕の腹筋は崩壊していた。
「はい、そこまで。黒君が酸欠になるから。相変わらずのノリだねぇ...
だけど、そうか、君がここにいるということは、かなり面倒な方向に
世界は動いているのかな...」
茜さんがぶつぶつと考え始めた。その時。
とある声が聞こえた。
『聞こえますか、ネプテューヌさん、黒さん、白さん...』と。
ーーそれが、僕らの旅の始まりの合図だった。
始まりましたね、ようやく本編が。
次回、「第2話 見知らぬ、ダンジョン」
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