ザ・ウォーキング・デッド in Japan 作:永遠の二番煎じ
門を出る時、最言から荷物が渡される。
森下「ありがとう。」
最言「この先に商店街があります。」
相変わらず少年にしては腰が低い最言。
生田「最言くん、親切に教えてくれてありがとうね。」
異性で目が合えば秒殺スマイルの生田。
最言の肩を掴み、
森下「文香を頼んだ。」
その一言の重みに最言は任せてくださいと答えるようにお辞儀する。
門は閉まり、森下と生田は廃車が渋滞していた道路に足を向ける。
生田は森下の左肘にナイフの装着を手伝ってあげる。
上腕二頭筋に生田の豊かな胸の谷が当たるのが分かり、変な鼓動がする。
森下「悪いな・・・」
色々申し訳ない気持ちになる。
生田「全然いいよ。家族みたいなもんだし。」
森下「ちょっと、寄って行くよ。」
森下は生田を連れてゴルフバックの隠し場所に誘導する。
右手でシャベルで地面を掘りはじめる。
生田「私やるから代わりに見張って。」
森下「ああ、了解した。」
辺りを見回す森下。
生田「寺のこんな近くに隠してて大丈夫?」
森下「その時は夕暮れだったから仕方なかった、それに寺から近いと非常時にもいい。」
生田「なるほど。」
まあまあ外れてはいない森下の考え。
リボルバーと9mm拳銃を二丁ずつ所持する。
ゴルフバックを埋め戻した後、廃車の場所に向かう。
森下「あの時のままだ。」
軽自動車のドアには鍵が刺さっていて、ガソリンの入ったポリタンクも荷台にあった。
生田「運転頼みまーす。」
助手席に乗る。
森下「了解。」
ガソリンを満タンにした後運転席に乗りエンジンをかける。
バックミラーを見ながら後進して遠回りをして商店街を目指す。
運転中の会話。
生田「ねえ、私と同じ意見でしょ?」
退屈そうに話しかける。
森下「意見?」
生田「農園襲撃に対して反撃をするってこと。」
森下「ああ、そのことか。だが寺は襲撃者に知られてないし、閉鎖された環境だ。」
語気を荒らげて、
生田「あなた警察でしょ?どこのだれか知らない人たちが突然襲ってくるかもよ。」
森下「その時は青井に任せればいい、彼がリーダーだ。」
生田「あなたは仕切る気ないの?」
森下「俺にその資格はない・・・」
生田「あっそ。」
どこか残念そうな生田。
道路の両側に張り付く多種多様な店舗、オレンジ色の道路。
商店街の前に車を止める。
二人は車から降りる。
森下「俺は右側、生田は左側からだ。暗い部分は行くなよ。」
生田「そっちも気をつけてね。」
そこそこ埃っぽくて混乱した形跡はなく、そのまま廃墟になった感じだ。
光は差しているが奥のレジカウンターの方は天井により日光が遮られて陰で暗い。
大型冷凍庫に下敷きになってうつむいている上半身だけが出たゾンビを見つける。
ゾンビは森下を目視してうめきながら両腕を前に動かす、死ぬ直前のセミのように。
左義手ナイフでゾンビにトドメを刺す。
その一部始終を後ろで生田は見ていた。
森下「どうした?」
我に返ったかのように、
生田「いえ、生活用品を探しましょ。」
そのとき、店の物陰から暴漢が素早く3人出てくる。
生田は盾にされ刃を喉元に突き付けられる、それぞれ刃物を持っている。
森下がホルスターに手を伸ばそうとすると、
「おっと、それ以上手を動かせばこの女の命はない。」
両腕を天に掲げる、他の2人が森下の体を調べる。
「兄さん、我慢できませんぜ。」
一人の男は鼻息を荒くして森下の鍛えられた右腕を見て興奮する。
森下「な、俺が標的なのか?」
完全に女性を狙った犯行と推測したのが外れて、戸惑う森下。
「ああ、俺たちは同性が好きなんだ。どんなにケツの穴が汚くても生きてればいいんだ。」
不敵な笑み浮かべながら、挑発的に
森下「お前ら三人で仲良くやってろ、俺はあいにくノーマルなんでね。」
「そうかなら俺たちがこっちに引き込んでやるよ。」
暴漢たちは武器を取り上げ、一人の男がベルトをゆるめはじめた。
森下はその男の股間の前に跪かされる。
森下「後悔するなよ?」
と言った後、生田に向かって頷く。
生田は左手首に隠していたスイス製ナイフで男の太ももに突き刺す。
「うわあ!!!」
と悲鳴をあげる。
「あ、兄貴!!!」
間髪入れず森下はベルトをゆるめた男の腹に左義手を突き刺す。
無傷の男は命乞いする。
「兄貴!」
無傷の男は生田が太ももを刺した主犯格の男の左肩を持ってゆっくり逃げる。
森下は慈悲なく無傷の男にも後ろから左太ももを刺す。
森下「よかったじゃねーか、兄貴と同じ傷が増えて。」
「助けてくれ、助けてくれ。」
生田「私達を甘く見たようね。」
二人の男は許しを乞うが森下と生田は無視する。
店舗内から騒ぎを聞いてゾンビたちが商店街歩道に出てくる。
死んでまだ温かい男の死体に群がっている間に、
森下と生田は二人の男を置いて必要なものだけを収集して車に戻る。
帰り道車内で、
森下「はは、ブラックだったな。」
生田「そんなことないよ、和成のお守りのおかげだよ。」
スイス製ナイフに付着した血を紙で拭きながら言う。
森下「和成が見たら驚くだろうな、いろんな意味で。」
生田「うん、だから黙っておいてね。」
森下に釘を刺す。
太陽が西の水平線の位置にあるころ、廃車が並んだ車道に戻ってくる。
森下「先に寺に戻っててくれ。俺はまた銃を隠してくる。」
生田は一足先に寺院に戻る。
その夜珍しく青井は井戸に呼び出される。
青井「どうした?」
スイス製ナイフを返す。
生田「実はその私もう好きじゃないんだ・・・」
と言いずらそうにもごもご言う。
青井「なんでそんなこと言うんだ?」
若干声帯に力が入る。
生田「あなたは加奈ちゃんを必要としてるから・・・神社で叫んだり、加奈ちゃんは真っ先にあなたの右手の平を止血した。」
青井はスイス製ナイフを握りしめて、
「俺達、安全地帯から上手くやって来たじゃないか・・・中田勇気が死んだ時も支えてくれたし・・・それから別グループから離脱するときも君は常についてきてくれた・・・農園が襲撃された時は真っ先に君を心配した。」
生田「でも!!!加奈ちゃんもきっとあなたが好きだわ!!!」
青井「それは薄々・・・」
生田は声を張り上げて室内に戻って行く。
青井はショックであった・・・初恋の人と初めて真剣に喧嘩して言葉にはできない物苦しさが襲う。
その会話を井戸端に隠れて、盗み聞きした久保は開いた口が塞がらない。
そこに灯篭で照らした斉藤が食器を持ってやってくる。
斉藤「喧嘩ですか?」
相変わらず人の心に土足で入ってくる。
青井「なあ・・・」
斉藤は井戸近くの洗面台で食器洗いを始める。
青井「なあ・・・」
斉藤「なんですか?そんな何回も言わなくても聞いてますよ。」
青井「俺の事好きなんだろ?」
青井は包み込むように斉藤の背中から抱きつく。
耳元でささやく、
青井「なあ・・・好きって言えよ。」
斉藤「・・・離してください。」
青井は斉藤から離れると斉藤は青井の方に振り向く。
面と向かって、
斉藤「好き・・・でも今のあなたはクズですね。」
と言い放ち頬を平手で叩く。
斉藤「お皿8枚洗っといてください。」
最後の言葉が鼻声の斉藤は何も持たず暗闇に消えていく。
青井は心に空いた穴を埋めたかったがそう上手くはいかない。
久保は終始その場面に居合わせた。
翌日まだ蒼黒い空を縁側で見る。
経典を音読する若い男の声が聞こえる。
神聖な像が祀られた部屋に足を運ぶ。
経典を読み終えてすぐの茶色の袈裟を着た最言に昨晩の出来事を話す。
二人は正座して向かい合う。
最言「煩悩ですね。」
久保「煩悩?クズじゃなくて?」
最言「それは口が悪いお言葉です、やめましょう。煩悩とは抑えられない気持ち・・・みたいなもんですよ。」
優しく煩悩の持論を教える。
久保「もし、青井さんみたいな立場だったら最言くんはどうするの?」
最言「我慢に限りますね。私は修行僧の身ですから。」
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