ザ・ウォーキング・デッド in Japan   作:永遠の二番煎じ

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青井和成と生田優香が喧嘩した次の朝から物語は始まる。


弓使いの斉藤加奈4

 

太陽が照りつける時間帯であるが森の中は涼しい、弓を手に森で練習する。

大木に向けて左手で弓を地面と平行にして右手で矢をセットし片目で絞る。

「斉藤さん。」

聞き覚えのある声、矢を背中の籠に収め、弓を体にたすき掛けする。

 

「驚かせてすいません。」

坊主の紺色上下ジャージの最言が猿のように木から降りる。

斉藤「今日はお休み?」

最言「休みっていうかどう言えばいいでしょう。まあ休みってことで。」

 

二人は静かな森中を散歩する。

最言「弓は誰の影響で始めたんですか?」

斉藤「・・・」

 

数十年前・・・

かつて貴族だった先祖の名残で祖父は流鏑馬を生業にしていた。

この頃はまだお河童頭の少女だった。

加奈「じいじ、何やってるの?」

祖父「これは馬に乗って弓矢を使って的に当てるっていう簡単なお仕事だよ。」

 

髪が肩まで伸びた時祖父に弓を習う。

最初の数年は当たらなかった。

立ったままですら的にかすりもしない、

そんな自分と違って祖父は馬に乗りながら横の的を的確に当てることの凄さは中学になって分かった。

中学生に入って空手部に入部するが弓は家でも続けた。

 

高校に入る前には矢の勢いが続く限りはほぼ正確に射抜けるように慣れた。

だがそんな特技こんな平和な日本、ましてやIT革命時代に必要性を感じなかった。

 

でも弓は私を助ける・・・

高校1年の時、三年の空手部の先輩から告白されたけど、丁寧にお断りした。

 

次の日の放課後・・・

下校しようと正門に行くと、門の前でぎらついた目を二年の先輩たちが6人こちらに向ける。

危険を感じて裏門に行くが、それは罠であった。

三年の先輩たちが三人組で獣のように走って来た、その中には断った先輩がいた。

 

無人の弓道場に逃げ込み、入口の引き戸に鍵を掛けた。

壁まで下がり、両手のひらを壁にくっつけるが汗ばんでいたのが分かる。

欲望の力はすごい、鍵が数秒でぶっ壊れ、雄犬のように入って来た。

近くに立てかけてあった弓と矢を自然に構えた。

 

その姿に先輩たちはやや怯み気味だったが、

「あんなのはったりだ。」

近寄られ泣きそうになる。

すると重い金属的な衝撃音が鳴る。

 

一人の男子が入ってくる。

男前田「男三人がかりで後輩の女子を襲うなんて卑怯っすよ。」

散弾銃を持ったクレーン射撃部の男前田くんだった。

クラスが一緒の男前田くんは素朴で陰気だがこの時は英雄に見えた。

 

「男前田!!!」

プライドが許さなかったのだろう、先輩は頭に血がのぼっていた。

そのあと男前田は先輩たちのサンドバックになった。

 

先輩たちはすっきりしたのか弓道場を去って行く。

「大丈夫?」

倒れている男前田の状態をおこす。

「斉藤さんこそ、大丈夫だった?」

 

後日職員室で

先生「お前三年に向けて散弾銃を構えたらしいな?」

顧問の鬼の角が生えかける。

男前田「はい、許せなかったんです・・・」

しょんぼりする男前田の陰気さに拍車がかかる。

先生「だからさっきから何が許せなかったんだ?」

男前田がしっぽり怒られた後先生に事情を話す。

 

後日教室で

男前田「おはよう。退学ならなかったよ・・・」

男子生徒A「え!!!まじかよ、じゃあ退部処分か?」

男前田「退部でもなかった・・・」

斉藤を見る。

 

思わず目を背ける。

男子生徒A「退部でもないの・・・それは何か大きな力がお前を守ったのか?」

男前田「さあ・・・」

男子生徒A「そんなことより、三国戦士英雄牧場見たか?」

男前田「ああ、見た見た!劉備と曹操が乳牛の乳搾り対決するアニメだよな。」

 

どんなアニメだよ。

でも弓道場の時の男前田はかっこよかったな・・・

と思い出して浸る。

 

数日後・・・

中間テストが終わり、部活再開。

部活終わり、教室でたまたま2人っきりになった。

男前田「ああ、お疲れっす。」

何も覚えてないようだ。

斉藤「お疲れ様。」

私を見て男前田くん・・・

 

教室のロッカーから学生鞄を脇に抱えて出て行こうとしたとき、

斉藤「あ・・・」

と話しかけようとした時。

 

幼馴染「ねえ、なんで来ないわけ?」

高圧的な態度。

男前田「悪りぃ悪りぃ。」

平謝りする男前田。

幼馴染「まあ・・・別に来てもらってもうれしくなかったけど。」

男前田「そうだったの?」

困惑しながら男前田は教室を出て行く。

小声で

幼馴染「馬鹿・・・からかっただけよ。あんたが居なかったらつまんないんだから・・・」

 

斉藤「・・・お疲れ様です。」

幼馴染「わ!!忍者みたいに気配なかったですね、お疲れ様です。」

驚いた後、男前田には決して見せない笑顔で斉藤に挨拶する幼馴染。

幼馴染「ちょっと待ちなさいよ、一緒に映画見に・・・」

と幼馴染の独特の響く声がどんどん聞こえなくなる。

 

大学進学前・・・

男前田は世界大会のクレーン射撃ショットガン部門で初優勝したことを学校新聞で知る。

写真には散弾銃の形のトロフィーを持った男前田とちゃっかり幼馴染が泣いて喜んでいる姿が写っていた。

 

私は多感な時期だった。

 

現在・・・

 

最言「男前田くん気が合うかもしれません。僕も三牧好きです。」

斉藤「ああ、あのしょうもないギャグアニメね・・・」

最言「斉藤さんは僕と同じですね。」

斉藤「なんで?」

最言「僕も祖父の弟子として修行してますから。」

 

気が付くと森の果てまで歩き、薮の向こうにアスファルトが見える。

 

荷台に島津志穂が乗ったトラックがアスファルトを走る。

ガタンと何か障害物に乗り上げた後島津は宙に浮いた後、荷台から落ちて気を失う。

次に気がついた時ゾンビが数体すり足でよってくる。

左足と両手の力で立ち上がり、義足を引きずりながらドアの開いた廃車に向かう。

地面のゾンビに気づかず、義足を掴まれ転倒する。

上半身を起こした状態のまま、ホルスターから拳銃を取り出し、安全装置を外し、引き金に指を絡ませる。

銃口から火花が散ると同時にゾンビの脳天が吹き飛ぶ。

近くの車までは間に合わず、ゾンビをシューティングゲームのように絞って片っ端から撃つ。

弾が無くなり、最後のゾンビが向かってくる。

義足を変形させてから短剣を取り出し、ゾンビの頭に突き刺す。

 

だが、今度は二体ゾンビが森から出てくる。

短剣を構えるが座った状態では一体しか相手できない。

慣れた手つきで短剣を義足に収めて、近くの車にたどり着き、運転席に這い上がるように乗る。

ドアを閉めて、命からがらホッとする。

サイドガラスからゾンビが手のひらでガラスを叩き、顔をくっつけ、顎をカツカツと動かす。

するとゾンビの側頭部にナイフが刺さる。

 

ドアを開けて出ると、矢籠を背負い弓を持つ女性と坊主の少年が藪に帰って行く。

島津「すいません!」

と声を掛けると振り向く。

斉藤と最言は島津に駆け寄る。

斉藤「大丈夫ですか?」

島津「はい、ありがとうございます。」

西に傾いた陽の光。

最言「よければ寺院に来ますか?」

島津「ええと・・・」

斉藤「夜は危ないから、戻ろう。」

最言は迷いのある島津をおんぶして、寺院に向かい早歩きで帰る。

 

寺院の門に着く。

最言は和錠を解除して島津を招く。

その際もちろん島津の拳銃は没収した。

 

月のない夜が黒く染まる。

大広間に青井・森下・生田・斉藤・久保・空親・最言が集まる。

そこで公開裁判のように自己紹介させられる。

島津「島津志穂です・・・右足は噛まれて切断しました。」

森下「上野は元気か?」

森下の発言に青井・生田・斉藤・久保が心の中で驚き、空親と最言はクエスチョンマーク。

島津「はい、なぜ森下さん学校から突然いなくなったんですか?」

森下「上野の部下に殺されそうになったからだ。」

空親「その上野という人物はみなさんお知り合いですか?」

森下「ああ、上野の部下を何人も俺たちは殺害した・・・」

重たい空気が大広間を包む。

 

その時無数のうめき声が庭から聞こえてくる。

青井「なんだ。」

燈籠で庭を照らすとゾンビがそこら中にいる。

森下「まじか、丸腰だぞ。」

生田「みんな隠れましょう。」

久保・空親・最言・島津はできるだけ家の中心の部屋に避難する。

最言が早歩きするため、島津の右肩を貸す。

 

青井「優香、俺と来い。」

森下「じゃあ斉藤アシスト頼む。」

青井「出来るだけ建物から遠ざけるぞ。」

三人は頷く。

おとりの四人は燈籠を持ってゾンビをおびき寄せるために外を歩く。

 

斉藤は森下を土蔵に案内する。

斉藤「扉が開いてる・・・」

森下「そうだが、それがどうかしたのか?」

斉藤「この中にゾンビを閉じ込めたと空親僧侶が言いました。」

森下「なんで他人から武器は取り上げといて、そんな大事なこと隠してるんだ。」

 

青井は門の前に到着する。

青井「門から侵入したんじゃないのか?」

門は固く閉ざされていた。

生田「どうするの?」

焦りが顔に出る。

 

青井「蔵があったはずだ、そこに一旦閉じ込める。」

生田「でもどうやって?」

と問うと青井は閃いたように、

青井「いや・・・火葬だ。」

 

障子を横にスライドさせて四人は部屋に入る。

ゾンビが部屋に居ないのを確認した後、空親は燈籠の光を消す。

真っ暗闇の中静寂を保ちつつ、廊下の床を踏む足音がギ―、ギ―、と耳に入る。

 

青井・生田と森下・斉藤が門と土蔵の中間地点で合流する。

青井「門は開いてなかった。」

森下「蔵は開いてたぞ。」

青井「それがどうした?」

斉藤「蔵にゾンビが閉じ込められてたんです。」

生田「どうゆうこと?」

青井「・・・とりあえず蔵に来てくれ。」

 

四人は土蔵に向かう。

蔵中を照らすと、藁がたくさん地面に置いてある。

四人それぞれが燈籠から藁に放火し、炎は徐々に蔵中を延焼していく。

 

炎で紅葉色になる障子には鬱向いて歩くゾンビの影が反映されている。

ゾンビが炎に向かって歩いて行くのが障子越しでも分かる。

 

闇が後退し始め、青黒い空の中残ったゾンビを台所にあった中華包丁で四人は片づける。

土蔵は全焼して白い煙がもくもくと昇ってゆく。

 

門前で青井と森下は話す。

青井「なあ、昨日森下の知り合いと再会したのと蔵からゾンビが出てきたのは偶然だよな?」

森下「ああ、蔵を焼く前南京錠が落ちてた。真っ暗だったがかすかに見た。」

青井「つまり、意図的にゾンビを放った人間がいるってことか?」

 

錠を開けられるのはキーピックが得意な青井と生田、

鍵を持っている空親と最言。

青井は島津を受け入れてから森下と監視していたし、空親は苦労して閉じ込めたゾンビを出すのは考えられない。

 

森下「最言だな、少年で思春期だし、ゾンビの修正に興味があるかもしれない。」

青井「最言じゃない・・・」

森下「まあ最後まで聞け。」

青井「違うんだ・・・昨日優香にスイス製ナイフを貸してと言われ貸した。用途を聞いても答えなかった。」

森下「・・・そうか、まだ生田とは仲直りしてないんだよな?」

青井「何が言いたい。」

森下「とりあえず、この件は置いて・・・島津に・・・」

 

次の瞬間青井が森下に殴りかかる。

青井「置いておけるか、全員死んでいたかもしれないんだ。」

口の中が切れて血を唾と共に吐く。

森下「いいパンチじゃねーか。俺はもう警察じゃないぞ。」

左肩でタックルして倒し、青井を片手しかない右手でひたすら顔面を殴る。

 

空親は縁側から頭が損壊した無数の死体を見渡す。

空親「やはり俗世の者は信用できない・・・」

神聖な像が祀られている部屋に閉じこもり写経し始める。

 




最初の方の回想は楽しくなって脱線してしまいました。
まえがきに回想を移そうかな、なんて考えましたが・・・
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