私もかつてはホモだった。   作:Hoge大尉

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元ホモとしたのは、体が女なら男を好きになってもホモではないと、主人公は考えているからです。


始まりのTS

 

『ホモ』

 

 それは男性同性愛者を指す蔑称であり、一部を除いて理解の得られない禁断の愛である。なんせ、男どうしでは子供が生まれない。つまりは子孫を残せないのだ。本来ならば、生物的に許されることではないのだ。これは女性同士にも言えることだが。

 

 かく言う私も、男でありながら男が好きな、所謂ホモである。

 

 もっとも、私の場合は「元」と付くのだが。序でに言えば、よく男の娘なんて言われもしていた。

 

 何故元ホモとなったのか、別に男を好きになるのがおかしいと考える様になったわけでも、異性に恋をしたわけでもない。私は変わらず男が好きだ。妄想の中では何時も私がねこだ。掘られながら、言葉による辱めと共に手で乱暴にされるのが好みのシチュエーションである。

 私の性癖は置いておくとして、元ホモとなった理由を言おう、それは私が、女の身体になってしまったからだ。

 

 何を言っているのかわからないと思うが、別に構わない。私自身よくわかっていない。

 信号無視で飛び出して来た車に轢かれそうになったと思ったら、次の瞬間私は海に浮いていたのだ。本当のことを言ったところで、誰も理解出来ないし納得もしない。だから、この身に起きたことを黙って受け入れるしかないのだ。

 

 もっとも、私としてはこれはこれで良かったのではないかとも思わないでもない。何故なら、今ならば男を好きになってもおかしくは無いし、愛されても問題ないからだ。

 確かに、男の身だからこそって想いが無くもないが、最終的には愛されるならばそれでよかろうなのだよ。高校に入るまでは、私も普通だったのだから……。

 

 さて、兎にも角にも今の状況をなんとかするのが先だろう。このまま海で漂っていては、体温を奪われて生命が危ぶまれる。かと言って泳いで行こうにも、近くに陸地は見えないし、衰弱している今それだけの体力があるとも思えない。ならばこのまま誰かが救援に来てくれるのを待つしかないのかと言うと、それでは元の問題に戻ってしまう。早速詰みではないか。

 しかし、男に抱かれる悦びを知らずに死ぬなど、私は絶対に嫌だ。

 そう考えていたのが、今から約一時間前の事だ。

 私の淫らな想いが天に届いたのか、将又運が良かったのか、どう言うわけか海の上でありながら女達の声が聞こえて来たのだ。

 声の感じからして少女と言うべき女達がこちらへ向かってくる。

 

『おーい!今助けるからますからねー!』

 

 まだ少し距離はあるが、1人の少女が大声を上げて声をかけてくる。その声を聞いて、私は漸く安堵することが出来た。これで助かると。

 

 間も無くして少女はやってくる。海の上を滑って。

 ちょっと待ってくれ、理解が出来ない。どうやって君達は海の上に立ち、滑って移動することが出来るのか。そして背中につけた武器と思しき機械は一体何なのか。

 兎に角何でも良い。もう声を出す気力もないほど疲れていたのだ。一先ず、助けに来てくれた少女の背中に身を預けて、このまま眠ってしまおう。

 意識が暗転する直前、何処かに連絡を取る少女から聞こえた「磯風」と言う言葉が、何故だか欠けていたものが見つかった気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 執務室にて、出撃中の娘達から連絡を受けた俺は、秘書艦に命じて保護した艦娘の受け入れ準備に入る。

 保護をした艦娘は通常、その鎮守府所属となるため、その為の書類の作成、そしてどう言うわけか漂流していたと言う事なので、ストーブやお粥と言った、身体を温める為のものを明石の所へと用意させる。勿論、タオルと毛布、着替えもだ。

 旗艦の報告によれば、救出した艦娘は呼吸は安定しており、命に別状はなさそうだと言う。急に体調は悪化する可能性もあるが、艦娘は基本的に体が丈夫だ。故に、あまり心配はしなくとも大丈夫だろう。

 

「磯風、か……」

 

 旗艦の吹雪によれば、救出した艦娘は陽炎型駆逐艦の12番艦『磯風』だと言う。腰まである黒髪ロングのストレートヘアと深紅の瞳が特徴で、後ろ髪の一部は赤紐で毛先を括った状態で手前に流している。少女だ。彼女もまた陽炎型の例に漏れず、駆逐艦にしては大人びた雰囲気を持っている。何処がとは言わないが、駆逐艦とは思えないモノを持っている。浜風程ではないが。

 またこの磯風は武人気質でもあり、非常にまっすぐで一本気のある娘さんでもあり、特に人気のある艦娘の1人なのだが、欠点がないわけでもない。

 

 とても料理が下手なのだ。

 

 これは先輩の所へとお邪魔した時、まだ先輩も磯風は料理が下手だと知らない時、先輩も俺も磯風の料理を食べて、不味さに苦しみ腹を下して悶え、2度と磯風の料理は食べないことを誓った思い出があるのだ。因みにこの時の秘書艦は、3日もの間役に立たない置物であったと語っているとか。

 

 変なことを思い出してしまったが、基本的にこの磯風と言う娘は人気の高い艦娘の1人だ。一部の提督は、磯風に傅きたいとまで言っているらしいが。

 考え事と、書類の作成をしている間に出撃していた娘達が帰って来たらしい。コンコンコンと、扉をノックする音が聞こえてきた。

 

「どうぞ」

「失礼します。司令官、指示通り陽炎型駆逐艦『磯風』を保護し、明石さんの所へと連れて行きました」

「うん、ご苦労さん。一先ず吹雪達は入渠してゆっくり休んで。私は一度磯風の元へ向かうから、何かあったらそっちへお願いね」

 

 元気の良い返事と敬礼をした後、吹雪は部屋から出て行く。それと入れ替わるように、秘書艦である浜風が戻ってきた。

 

「提督、こちらはもう終わりましたが、磯風の所へと行かれるのですか?」

「そのつもりだよ、浜風はどうする?」

「はい、私もご一緒させていただきます」

「じゃあ行こっか」

 

 急ぎの用事も仕事もない。有り体に言えば暇な状況なので、浜風を連れて行っても問題ないと判断し、また自分の姉妹が衰弱した状態で見つかったのだ、側にいさせてやりたいと考えて、浜風を連れ立って磯風の所へと向かうことにした。

 

 それが、俺と磯風と対面する3時間前の事であった。

 

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