18時15分の更新公開では章管理ミスがありました。たった今修正しました。まだ「第3章」です。
この話は第3章の第4話です。
さて、前もってお詫びしておきます。
まずヒルデスハイム伯爵ファンの方。
そしてフレーゲル男爵ファンの方。
本当に申し訳ございません。
さらにボーデン侯爵ファンの方にもお詫びしておきます。
さらにさらに、フォルゲン伯爵ファンの方にもお詫びしておきます。
遠く帝国中枢、そしてガイエスブルグ方面の戦況は辺境にも伝わった。
金髪の孺子の軍に倍する大軍を擁していながら正義派諸侯軍はいまだ決定的な勝利を得るに至っておらず、手をこまねいているという。
ファーレンハイトの迂遠なる策が採用され、倍の大軍を持ちながら決戦を求めることを行っていないというのだ!
この情報にフレーゲル男爵とヒルデスハイム伯爵は苛立ち、つい先日まで「金髪の孺子の手下」つまりアムリッツァ方面軍が駐留していたボーデン星系にて会談を行った。
「我らの4個艦隊がここで遊兵化している事実が大きい。我らの4個艦隊は正義派貴族軍でも最精鋭、これが諸侯軍主力と合流し金髪の孺子との対決に当てれば勝利は約束されよう。どうであろうか、ヒルデスハイム伯爵」
「確かに我らの艦隊を決戦の場に移動させれば金髪の孺子の軍を蹴散らせるだろう。しかし、我らがここから動けば叛徒どもが神聖不可侵なる帝国領になだれ込んでくること必定。同志の方々の領地を脅かされる」
「そう、今のまま我らがここから動けばそうなる。同志の方々は自らの領地、皇帝陛下より預かった神聖なる帝国領土を守るためにその軍を動かさねばならぬ」
フレーゲルは同志と呼んだ正義派諸侯軍の主だった貴族の戦意を疑っているわけではない。神聖なる帝国領土を守ることは貴族の義務であり、またその領地に住まう領民に善政を与えることも同じく義務である。彼ヨアヒムの主観ではそうしてきたつもりであるし、同志たちもそうしていることを疑っていない。
「そう、今のままの情勢で我らが動けば正義派諸侯軍は神聖なる義務を守るために四散するか、不本意にもあの金髪の孺子めと和睦を行うかのいずれかを強いられてしまう。今のままであれば」
ではどうすれば良いのか。フレーゲルはその表情で言及してみせた。
「……なるほど。叛徒どもを適当なところに誘い出してこれを撃滅し、以降は不埒な行動が出来ないようにしてしまえば良いのだ」
「みなまで言わずとご理解いただけるとは、流石はヒルデスハイム伯であられる」
フレーゲル男爵の言葉は世辞ではなかった。
高度な策謀を示唆したところ、ヒルデスハイム伯爵が見事に言い当てたというのが彼ヨアヒムの主観である。オーベルシュタインやリヒテンラーデ公クラウスなどが聞けば失笑するであろう会話であったが。
「叛徒どもを誘い出すには先日の例から考えて、一編の通信文を送らせればそれで良いわけだな」
彼らは決して暗愚ではなく、独自に先日のアムリッツァ星域会戦について分析していた。
その結論がローエングラム元帥府の特別分析チームと同じ方向を向いていたことは、偏見に基づいた「願望」が正解になってしまう事例であろう。
彼らの結論はこうである。
「自由惑星同盟を僭称する叛徒どもは共和主義なる迷妄によって自らを縛る愚者の集団であり、一編の通信文でおびき出せる類の敵である」
いまや大半が同志となっている宮廷闘争のライバルたちに比べれば「同盟を僭称する叛徒どもは乳幼児のようなもの」と言うのが、フレーゲルとヒルデスハイムがそれぞれ独自に到達した答えあるいは願望であった。
* *
一部の史書は両名のこの判断に、遠くオーディンからオーベルシュタインが関与しているという説を紹介している。
しかしこの説は今のところ、全く物証や証言がなく人気もない。
その一方でフレーゲル、ヒルデスハイム両名が同盟に対する軽侮に基づき、とくに秘匿もせずに「分析」していたことについては詳細が残されている。
「間違ったターゲット行動予測によって放たれた砲弾が命中することはしばしばある。オーベルシュタインが万能の陰謀家であると考えるよりもその方が説得力がある」で片付けられることが通例である。
ひとつには、オーベルシュタインがラインハルトの元帥府で行った分析とフレーゲル、ヒルデスハイム両名の「分析」がそれぞれ現存しており、結論の一部以外は全く異なるという事実があるだろう。
* *
「そう、その文章に署名する『領民代表』なるものを適当に選出すれば準備完了と言うもの」
「叛徒どもがそれを無視すればどうする?」
ヒルデスハイムは己とフレーゲルを優秀な策謀家と確信している表情で確認を求めた。
「そのときには『領民代表』なるものを公開処刑し、その様子を叛徒どもの領域へ放送すればよいでありましょう。ボーデン候やフォルゲン伯の怒りを招かぬように、適当な囚人なり奴隷なりを『領民代表』とすれば良いのです」
「名案だが、この件を卿の伯父上でもある盟主閣下、そして当事者たるボーデン侯やフォルゲン伯にどう伝える?」
彼らの粗雑な計画には、門閥貴族の当主としては珍しい認識が見られた。
「同盟人には同盟人の思考法がある」と言う認識である。
自分たちと生まれ育ちが違う人間の思考法を推察できるというのは「正義派諸侯軍」参加貴族としてはかなり貴重で優秀な人材だと言えよう。
あくまで門閥貴族と言う、生まれ育つ過程であらゆる才能をスポイルされる社会階層の人間としてはの話である。
後に同盟のある政治家がこのあたりの事情を知り、こう評したとされる。
「貴族たちは銀河帝国の統治体制において搾取者であることは間違いないが、彼らもまた専制政治の被害者である」と。
「盟主たる伯父上も、副盟主たるリッテンハイム侯爵閣下も我らの勝利を疑うなどなさるまい。奴隷や囚人はボーデン侯やフォルゲン伯の財産ではあるが、数名程度のことであれば大義のためには許容くださると考える。しかし問題はファーレンハイトめだ。あれの耳に入れば、何かと煩い」
「であれば『通信文』も極秘裏に、同志の方々にも気づかれぬように送る必要があるが……」
「なに、適当な『領民代表の使者』をイゼルローンまで『亡命』させれば良いのです。幸い、先日の敗北によって金髪の孺子の手下どもはこの宙域にはおらぬ。そして同志の方々はガイエスブルグ宙域に集中しており、どちらも数千光年の彼方、我々が報告するか『通信文』をFTL通信で送るなどせぬ限り、誰も当日まで気づかぬ」
* *
約2週間後。
惑星フォルゲン、着陸地点周辺。
第13艦隊から降ろされた統合陸戦隊員と法務士官のグループを、住民たちが遠巻きに取り囲んでいた。敵意と怯えが半々に混じった、判別のつかない視線だった。
大人たちの目が一瞬逸れた隙に、人垣の後ろから小さな影が飛び出した。
石が飛んだ。
「ここはお館様の星だ!僕らの星だ!出ていけ!」
子供の声だった。石は先頭にいた陸戦隊員の防護服に当たり、乾いた音を立てて弾かれた。
当たった隊員より先に、周囲の隊員たちの空気が変わった。銃口が、わずかに持ち上がる。
「銃を納めろ」
鋭い声が飛んだ。第13艦隊陸戦部隊を率いるシェーンコップ少将だった。
「彼はこの星でも一、二を争う勇者だ。我々の手に負える相手じゃあない」
隊員たちは一瞬、意味を測りかねたように動きを止め——それから、構えていた銃を下げた。
子供は逃げもせず、その場に立ったまま、まだ何かを叫ぼうとしているようだった。母親らしき女性が慌てて駆け寄り、抱きかかえるようにしてその場を離れていく。
法務士官が、傍らのシェーンコップに小声で言った。
「……ああいう子供が、何人もいるわけですね」
「いて当然だな。故郷を守ろうとしない子供の方が、私は信用できんな」
シェーンコップは短くそう言うと、視線を人垣の方へ戻した。敵意も、怯えも、まだそこにある。だが、それは彼らが自分たちの意思で選び取っているものだった。
* *
3隻の艦隊旗艦の間に会議回線が開かれた。第1艦隊旗艦「アイアース」の艦橋指揮座に寄りかかっているーー座っているのだがまだ身体がアスターテでの負傷から完治したとは言い難く、座るだけでも辛い身であるーーパエッタの指揮卓前にルグランジュ中将、ヤン中将の顔が浮かんだ。
挨拶もそこそこに、パエッタが口を開いた。
「本題に入る前に、ヤン中将」
「はい」
「あやうく、政治的、イデオロギー的な惨敗となるところだった。恐らく政府もそう評するだろう」
パエッタは一拍置いてから、続けた。
「任務部隊指揮官として、今この場で礼を言っておく。シェーンコップ少将は、同盟軍と同盟軍の名誉を守った。そして何より、自由惑星同盟を帝国辺境における決定的な敗北から救った。そう伝えてくれ」
ヤンは軽く頷いた。
「伝えておきます。もっとも、あの男は『礼を言われるようなことをした覚えはない』とでも返すでしょうが」
「それでいい。分かっていてやったのか、癖でやったのか……どちらでも構わん」
ルグランジュが、話に加わった。
「石を投げた子供の一件は、こちらにも報告が届いている。あの子供が『お館様と僕らの星から出ていけ』と叫んだそうだな」
「はい」ヤンが答えた。
「あの惑星の住民にとって、我々は解放者ではなく侵略者です。少なくとも、あの子供にとっては」
「それは想定の範囲内だろう」パエッタが言った。
「数十代にわたって貴族の統治しか知らない領民が、自分の領主が名君でないことにさえ気づかないのは、当然のことだ」
しかも法務士官報告によれば、この惑星の領主は領民に対して普段は黒パン--ライムギパン--を食べさせているが、帝国の祝日には白パン--小麦のパン--を配布すると言う。
「ええ。ですが」
ヤンは少し間を置いた。
「想定の範囲内であることと、それを実際に目にしたとき部下たちがどう感じるかは、別の話です。もしシェーンコップがあの場にいなければ--あるいは、彼があと数秒判断を誤っていれば--我々は今頃、まったく別の会話をしていたはずです」
沈黙が回線に降りた。誰も、それを否定しなかった。
「では」パエッタが話を切り替えた。
「本題に入ろう。今回の会戦についてだが」
アイアース艦橋に艦隊運動記録が投影された。同じ記録が第11艦隊旗艦「レオニダスII」そして第13艦隊旗艦「ヒューベリオン」の艦橋でも同時再生されていることは、両中将の視線の動きでパエッタにも判った。
「包囲が完成するまで、優に十数分はあった」
ルグランジュが、記録を淡々と読み上げた。
「戦闘で示した練度の低さ、統制の不一致から逆算すればこの段階で四散逃走してもおかしくない。だが、事実として逃げなかった」
首をかしげる。
「判断力、あるいは権限がなかったのではないでしょうか」
ヤンが答えた。
「私兵は、当主個人への忠誠のみで組織されています。撤退の可否を判断できるのは、恐らく当主本人のみ。現場の艦長、あるいは各隊の指揮官が仮に状況を正しく把握していたとしても、それを実行に移す権限がなかった、ということかと」
「各級指揮官の資質の問題ではなく、組織構造の問題というわけか」
パエッタが低く呟いた。
「はい。加えて」ヤンは続けた。
「艦隊指揮官本人が『これは負け戦だ』と認めるまでにも、恐らく時間がかかっております。虚勢か、現実逃避か——理由はどうあれ、その空費した時間を、我々は単純に、虐殺という結果で処理しました」
回線に、短い沈黙が落ちた。
「そして」ルグランジュが引き取るように言った。
「艦隊指揮官2名。ヒルデスハイム伯爵、フレーゲル男爵は、部下に投降を命じた後に自決。……後頭部や背中に十数発のハンドブラスターを自ら撃ちこむという、いささか変則的な自決ですな」
「変則的、ですか」
ヤンが、その言葉を静かに拾った。誰も、それ以上は言及しなかった。
しばらく、記録上の数値だけが淡々とやり取りされた。損耗、捕虜数、輸送規模……事務的な確認が一巡し、会議は終わりつつあった。
「いかに、専制から民衆を救うという国是があると言え」
ルグランジュが、ふと口にした。
「条件反射での出兵をこう繰り返していては、軍も、国家そのものも存続できません」
そして失言に気付いたのか口を閉じ、無表情に戻った。
「同盟軍は、崩壊に直面しています」
ヤンが、いつもと変わらない丁寧な口調のまま、それに続けた。
パエッタは、唇をわずかに歪めた。
「政府批判は、軍人が職務中に行うことではない。我々も、勤務時間を除けば有権者の一人ではあるがね」
一拍置いて、パエッタは続けた。
「ところで、ヤン提督。私のところで参謀を務めていた頃とは、いくらか印象が違うな。温和な口調と表情のまま、辛辣な指摘を行うのが君の流儀だと思っていたが」
「小官も、多少は成長しているつもりです」
「そうか。では私からも、成長した部分を見せておこう」
パエッタは、わずかに目を細めた。
「本来ならば、私は今ごろハイネセン軍病院でリハビリの最中のはずだ。それが今、国内警備を本来任務とする第1艦隊を率い、任務部隊指揮官としてここにいる。再編訓練中であるはずの第11艦隊、再訓練中であるはずの第13艦隊も、同じくここにいる」
沈黙が、回線を満たした。
「これはすでに軍隊として、崩壊の真っ最中ではないのかね?」
* *
通信文の写しに、私は目を通していた。
定型句が並んでいる。
まずは先日にイゼルローン要塞経由で伝わった要請文。
帝国辺境の圧政、処刑の予告、救援の訴え。そして、それに対する統合作戦本部の分析……本物である可能性を排除できない、という、前回と同じ結論。
前世の記憶の中で、私はこの手の展開を「都合の良い話」だと思っていた。
アムリッツァキャンペーンにせよ、その後に繰り返される辺境からの救援要請にせよ、そして軍隊の悲鳴を無視して出兵を続ける無謀で無責任な閣僚たちの決断にせよ「物語を前に進めるための装置」だと。
作者が同盟軍を動かしたいから、こういう通信文が都合よく届き、都合よく愚かで無責任な決断が繰り返されるのだ、と。
だが、そうではなかった。
同盟の国是に従う限り、この国には「合理的な行動」という選択肢がそもそも存在しない。
理性で考えれば、今すぐ動くべきではないことは誰にでも分かる。損耗の補充も終わっていない。
艦隊の再編も終わっていない。
それでも、同盟という国家は動く。動かざるを得ない。専制に喘ぐ民衆を見捨てないという建国の理念が、他のあらゆる計算に優先するように設計されているからだ。
これは物語の都合ではない。制度の必然だ。いや、同盟の国是上の必然だ。
私はもう一度、報告書の末尾に目を落とした。動員艦隊数、燃料弾薬の消耗損耗、輸送規模。
数字の羅列の向こうに「また同じことが起きている」という事実だけがある。
先日のアムリッツア星域会戦と異なるのは我が方には人的、物的な損害が極めて少ないことくらいである。
戦死者なし。
戦没艦艇なし。
だが、戦闘損失ほぼゼロであっても。物資消耗と人件費と。出動させた艦隊の再整備だけでも同盟にとっては実に手痛い大損害だ。
「またも条件反射で動いてしまった」
この一言に尽きた。
誰かが間違った判断を下したわけではない。誰もが、正しいと分かっている手順を、正しく踏んだだけだ。それでもなお、この国は同じ穴に、同じ深さで、繰り返し落ちていく。
私に止める権限はない。止めるべきだという確信もない。ただ、この構造そのものに、いつか終止符を打たなければならないという予感だけが、日に日に重くなっていく。
炉辺談話で毎週示唆している方針を、明確化すべきなのかもしれない。
だが、明確化するにしても、まず材料が要る。武力戦を一時中断し、情報戦と文化戦に軸足を移す……そういう方針を固めるには、今の私が持っている材料はあまりに乏しい。乏しいが、集め始めなければ、いつまで経っても乏しいままだ。
私は回線を開かせた。地域社会建設委員長のオフィスへ。
「ボーデン、フォルゲン両星系について、手元にある限りの資料が欲しい。テラフォーミングの記録、農業生産力、そして——領民の実際の食生活について」
少し間があって、回線の向こうから返答があった。
「畏まりました。ちょうど、情報部から届いたばかりの分析がございます」
情報部の分析官が、資料を読み上げていた。
「ボーデンもフォルゲンも、銀河連邦の黄金期にテラフォーミング対象に選ばれた、適合度の高い惑星です。入植から700年ほどが経った今、その海には海生哺乳類さえ育っています。領主は常時、カジキのソテーを口にできる環境です。陸地でも、領民全員に白いパンを食べさせるに足るだけの小麦と米を産出しうる土地でした」
一拍置いて、分析官は続けた。
「しかし、事実として領民たちの常食は、ライムギを挽いた黒パンと、フォルモサ・ベジフィッシュです」
地域社会建設委員長が、首を振った。
「我がシロンやアルーシャでさえ及ぶかどうか——それほどに恵まれた『地球度』の高い惑星にありながら、領民はライムギのパンを食べ、祝日に領主が配布する白いパンをありがたがっている。何という悪政だ」
黒パンも慣れれば旨いものだし、フォルモサ・ベジフィッシュ……ふと前世の記憶が混線する。
アオウオはベジフィッシュつまり草食魚どころか、ほぼ完全な肉食魚ではないかと。
「中国四大家魚」と、台湾で大量に養殖されていたサバヒーがなぜ宇宙歴8世紀の今においてはフォルモサ・ベジフィッシュと総称されるに至ったのかは、知らない。
ただ、宇宙歴8世紀末の今もなお、これより安上がりな肉を生産する手段を人類は持たない。
領民がそれを常食とする惑星でありながら、カジキと言う古代地球の海そのもの以外では極端に高い魚を領主が食べる。
カジキは牛肉よりもなお高い。
これより高い肉は海生哺乳類の肉しかない。それらは帝国の有力貴族でさえも常食できまい。
ありとあらゆる物品の市場流通の決定者は帝国と同盟では異なるが、フェザーン商人が示す値段で流通していることには違いはあるまい。
恐らくクジラ肉やマナティー肉を常食できるのはフェザーンのルビンスキーくらいのものだろう。
アルーシャの海から輸出される価格を考えると、そうなる。
考えが帝国における食品格差からさらに発散している間にいくつか聞き逃したようだ。意識を戻す。
「……ですが」
地域社会建設委員長のオフィスにつないだ回線に、別の声が割って入った。
「軍の偵察艦の記録や、フェザーン商人からの情報、そしてクラインゲルト元子爵らの証言によれば……。これでも、善政のうちに入るそうです。クラインゲルト卿のように、領主が領民と同じ食べ物を分かち合う方が、むしろ例外だと」
地域社会建設委員長は、しばらく何も言わなかった。
私も黙ってその沈黙を聞いていた。
……武力で解決できることは、もう限られている。だが、これを武器にする方法は、まだ私の手の中にない。
材料は集まり始めている。方針は、まだない。
礼を言って、回線を切った。
もう一つ、確かめておきたいことがあった。私は次の回線を開かせた。今度は情報交通委員長、コーネリア・ウィンザーのオフィスへ。
「ウィンザー委員長。ひとつ、思いついたことがある」
「何なりと」
「国内輸送力の一部でも割いて、帝国辺境に……。中古で構わない、リモート医療ユニットを。あるいは、診断システムを内蔵した住宅ユニットを、輸出できないだろうか」
回線の向こうで、ウィンザーが小さく息を吸う気配があった。
「専制に喘ぐ帝国民衆に医療を提供する。名案だとは思います。ですが」
彼女は淡々と続けた。
「そんな輸送力の余裕は、今のところどこにもありません。現状では、ようやく……来月には、同盟の2000惑星のうち9割で、流通麻痺が解消する見込みが立ったところです。その水準でしかないのです」
私は、それ以上は何も言えなかった。
材料は、また一つ増えた。同時に、限界も一つ増えた。
違う。
私が限界をまたひとつ理解したのだ。
はっきりしていることは「武力戦の当面の中止」と「武力以外による戦いの継続」を有権者に。
少なくとも上下両院の全議員に示さねばならないことだ。
つい先日にトリューニヒトが指摘したのは別件だが。これもまた「閣議決定だけで決め得る」ようなことではない。
いや、もう一つ分かっていることがある。
今回の出兵においては、危うく子供の投石によって同盟は政治的、イデオロギー的な戦いにおいて大敗しかけた。
陸戦隊指揮官の落ち着きと、それに従う良く訓練され統制の行き届いた陸戦隊員がそれを救った。
これには政府から公式ステートメントを出すべきかもしれない。
この戦争は、そもそも単なる武力戦ではないのだ。……先日のアムリッツア星域会戦戦没者慰霊祭において、エドワーズ国防委員長が拙い演説で述べたとおりだ。
トリューニヒト国務委員長兼、副チェアマンが要約した演説内容の方が読みやすかった。
となると。
「武力戦の一時中断と、武力以外での戦争継続」このテーマについて材料を求めるにはエドワーズ、そしてトリューニヒトを頼るべきか。
所詮、私は素人に過ぎないのだ。
個人的には中国四大家魚は淡水魚のお約束である臭み抜きと、小骨の処理さえ行えば美味しい魚だと思います。
強いて欠点を挙げるなら。日本料理でさえも「日本への導入から80年が過ぎても取り入れていない」くらいに中華料理専用の味だと言うことくらいでしょうか。
サバヒー(ミルクフィッシュ)は21世紀の地球においてもっとも多数が養殖されている魚と言われます。
日本帝国が導入しなかったのは、当時の日本の気候では寒すぎただけでしょう。
小骨は多いですが、海水飼育した個体は臭みもなく美味しいです。
台湾に行かれたらおススメします。
最近は鹿児島でも養殖が開始されましたから、いずれは日本でも食卓に上がるのかもしれません。
……えーと。フレーゲルもヒルデスハイムも、戦闘の敗勢を悟りこれ以上無駄に部下を死なせるまいと投降を命じてから自決しました!
ええ。根性あることに、背中を10カ所以上もハンドブラスターで撃ってからさらに後頭部にハンドブラスターを撃ちこむと言う、実に名誉ある死に方です!(断言)。