チートでポケモンのトレーナーらしい   作:楯樰

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捕まるらしい

「なんじゃコレは…」

 

そんな爺ちゃんの声は至極当たり前だった。

 

 

まず、中庭に着いてすぐ。

俺はピカチュウのモンスターボールを投擲。

遥か遠くでモンスターボールが開かれるのが確認されると共に、文字通りの光の速さで電気を帯びながら突っ込んでくるピカチュウ一匹。

勿論、避けられるはずも無く、まともに喰らう。

でも唯じゃ終わらない。

俺は念力であらかじめ抵抗をつくり、威力を分散させ、ポケモンで言う60程度までに下げた。

本来の威力はあれ多分80ちょい。

まぁ分散させたとは言え、それでも威力はそれなりに高い。

 

そして現在、野に倒れた俺の上にピカチュウがVサインしながら立っているという、光景が生まれた。

当然の結果ではあるが。

 

「……そろそろ、どいてくれ」

『ふふっ……これで晩御飯と朝飯は死守した…!』

 

もう、それで良いです。

私が悪うございました。

 

言うと満足したようで背中からピカチュウは下りる。

 

『判ればいい。……その、なんだ。後で毛づくろい頼めるか?』

 

気まずそうに頼むピカチュウ。

はいはい……敗者は勝者に従いますよ。

ただ、その前にボールとってきて貰えますか、ピカチュウさん。

 

『うん、了解』

 

ピカチュウは素直に野を走り取りに行った。

 

さて、自分もすることをしようか。

 

「……アレは本当にピカチュウか」

 

この驚き固まっているお爺ちゃんに説明をば。

 

 

「なるほど……つまりトウカは、怪我をしたピカチュウを偶々捕まえた、と?」

「はい」

「ふむ……」

警察で調書をとられるかのように、爺ちゃんの研究室で俺は話していた。

ちなみにピカチュウは毛づくろいも終わり、今は膝の上で俺に撫でられている。

ふにゃりと頬を緩ませているのでやはり、気持ち良いらしい。

 

「偶に、怪我をしたピカチュウがポケモンセンターで保護される事があるんじゃ。そして通常の個体よりも電気量が高い。……関係があるようにも思うんじゃがな…」

「……そうですね」

「うむ。……まぁ、今は資料も足りんし研究するまでには至らんか」

 

真実を知っているけど、それは言えない。

まさかでんきだま食べたら強くなるなんて。

まさかそれが原因で群れ全体から苛められるなんて…!

 

『……不可抗力だけどな』

 

そーですね。

 

「……それで、今日はまだマサラのほうには行かないからの。まだ儂の予定が残っておるから……そうじゃな。お小遣いあげるから外に遊びに行っておいで。お金の使い方は……わかっておるじゃろう?」

「うん」

 

うなずいて貰ったのは3000円。

なんとも太っ腹なおじいちゃんである。

 

「……じゃあ遊びに行って来るよ!」

三千円をポケットに押し込め、部屋を飛び出す。

 

「うん、気を付けてな。あ、それから変な人に着いて行かんように……って聞いてないの、あれ」

 

やれやれ、とピカチュウの耳にはオーキド博士の呟きが聞こえた。

 

 

部屋を飛び出して向かうのは……そう、悪の組織の経営するお店。

 

「スロット回しに行くぞー!」

『……捕まるぞ、おい』

 

膝を着いて嘆く年齢六歳の大学生が居たとか居なかったとか。

 

-------------------------

 

己の身長、年齢、その他諸々への絶望から復活した俺は、小遣いの有効な活用法が見当たらず街を出てすぐの草むらに来ていてた。というかほとんど森だけど。

 

現在の手持ちの道具。

それはモンスターボール二つ、それから傷薬一つ。

あと、先程鞄から取り出した例の本。

 

調べた所、ピカチュウのステータスが二倍らしく、種族値自体は変わらないそうだ。

ピカチュウの種族値は攻撃55、特攻50。

ステータスがLv.18でんきだまの倍化かかって攻撃60に特攻56。

更に二倍で120と、112と言う化け物が出来上がる。

 

……いや、そんなポケモン聞いた事無いんですけど。

 

『……さっきから何言ってんだ、ご主人。いや、意味はなんとなく判るが』

「悪い、考え事。……さて、ここにいると良いんだが、と!」

 

第六感が反応してその場から避ける。

立っていた場所には自分の腕サイズの針。

そして聞こえる羽根の音。

 

「……あっぶな。コレ、スピアーか?」

『そうみたいだな。どれ、私が蹴散らそう』

「頼みますよー」

 

ボールをバックスピンで投げてピカチュウを出す。

ボールは手元に戻り、彼女はストレッチをして頬袋に電気を溜めた。

 

「やっぱりいつ見ても規格外。サンダーと同じだけの特攻とか」

『……むぅ、関心しないな。これから私の活躍だと言うのに』

「……はいはい」

 

電気を充電している様子からして、このままだと危険な事を感じたのか、茂みからスピアーが現れる。

 

じゃ、よろしくお願いします。

 

『フフフ……それじゃ、新技のォ…』

 

溜めていた電気を纏い、

 

『…電光石火ッ!』

 

ピカチュウはその場から一瞬にして消える。

消えたと同時に、スピアーは何が起こったかもわからぬまま、地に叩き落とされた。

そしてそのまま目を回して戦闘不能。

 

……いや、それ既にしんそくかと。

 

『む、そうか……だが感覚的にはあと三十発ほど出来そうなんだが』

 

いや、 レックウザですら五回しかしてこないよ!?

 

『ま、これが私の電光石火だ。憶えておくと良い』

 

もーやだ、この子。

 

……あ、スピアー逃げた。

 

『……おい。拙いぞ、ご主人』

「なにが?」

 

『しってるか、ご主人。スピアーからは』

 

ブゥゥゥウウウン……

 

『逃げられない』

 

あ、まずい。

めっちゃ来てる。

 

はっははは……

 

 

……困った事になった。

 

-------------------------

 

逃げていた。

それは赤と黄、そして黒線の入った化け物から。

両手には槍。

その先から滴り落ちるは猛毒。

 

走る。

時には根を越え、崖を越え。

 

走る。

風を裂き、音を割り。

 

その身は一つの砲弾と化していた。

 

 

…………ってこんな中二な語りしてる場合じゃないよぉ!

ピカチュウ、まだか!?

 

『うん……アレを圧縮して……いやいや、電気量を更に込めて…?』

 

まだみたいですねーッ!

何とかするのはいいけど、お願い早くして!

だって後ろから…

 

『おどれ! またんかクソガキィ!』

 

『ワシ等の身内ボコボコにしてくれおって! そのケツにブッ刺して落とし前付けさせてくれるわ!』

 

…こんな感じの思念がバンバンとんで来てるゥ!

お前等、何処のやーさんだよ! こえーよ!

 

『よし、これでいける! ……電磁砲ッ!』

 

肩に乗るピカチュウから放たれるのは一本の閃光。

後ろの槍兵はその身を焦がし、追跡を止めた。

 

それと同時に念力でブーストかけていた足を止める。

 

一難は去った。

 

……でもちょっとまて。ピカチュウ、それ電磁砲?

 

『……そうだが?』

 

「それ超電磁砲(レールガン)だよ! お前は何処のビリビリ娘かっ!」

 

『……(あなが)ち間違いじゃないと思うが。後四発はいける』

 

フンス。と自慢げに鼻を鳴らすピカチュウ。

ただ、この周りの焦げ臭いの何とかしてくれ。

火事になったらどうする。

 

『案ずるな。既に消化した……ほら、見ろ』

 

え……消火ってあんた。

……凍ってんじゃん。

 

『簡単な事。電子の振動を止めて熱が発生しないようにしたまでだ。-273℃……絶対零度と言った所だなアブソリュート・ゼロでも可』

 

エターナル・フォース・ブリザード(相手は死ぬ)

……じゃなくて。

お前のタイプってなんだっけ?

 

『電気タイプ』

 

お前今何したよ。

 

『電子の運動を止めることによってその周囲の原子も僅かな振動を止める。これによって熱伝導率は無くなり……』

 

OK把握。

つまり、お前は熱の発生を無理やり電子を止める事で止めた。そういうことか?

 

『概ねその通り。かなり疲れたがあと四回なら出来そうな気がする……テヘ☆』

 

……はぁ。

ねぇ、お前こおりタイプの領分奪ってどうすんのさ。

溶かせ。見つかったら大問題だぞ。

 

『……わかった』

 

ピカチュウは電子を動かし、森は平温の状態に戻された。

ちょっと残念そうなのがよく判らん。

 

それにきっとこいつ、実はやらないだけでほのお技も出来るんだろう。

あれだ、熱風とか電子レンジの要領で。

 

今日はやけについてない。

早く帰ろう……そう思っていたら。

 

二匹。

ガーディとロコンが気絶して、すぐ近くの茂みに倒れていた。

 

『……やったな、ご主人』

 

よし、ラッキー。

 




安定のヒロイン出番無し。

▶ナツメ が アップ を 始めました。
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