チートでポケモンのトレーナーらしい   作:楯樰

15 / 62
飲んだらしい

カチコチカチ、と時計の秒針が音を立てている。

時計を見やると午前零時。

子供は寝ないと時間だ。

 

「……後もう少し」

 

自分に言い聞かせて、俺は手元の研究資料を読み漁る。

現段階で解っているポケモンの進化方法。

捕まえた親に対するなつき度合いによって進化する、なつき進化。

ある一定のエネルギーの含まれた石を与える事によって進化する、石進化。

トレーナー。……親が変わる事によりポケモン自信が感じる心的影響で進化する、交換進化と呼ばれるもの。ただ、対象となるポケモンは世間一般には広まっていない。

 

そして最後に、ポケモンの個体事に決まった進化をするレベル進化。

 

ただレベル進化となつき進化の違いは現在あやふやで要研究、と。

 

流石に時間帯で進化出来るポケモンも居るというのは進化条件が分かってないみたいだ。

後は特殊な進化をするバルキー三進化とか。

 

 

ポケモンの卵についてはまだ研究すらされていない。

確か、将来的にお爺ちゃんの今助手やってるウツギ研究員がやるんだっけ?

……というか、あれはこの世界において絶対に調べてはいけないような気がする。

神さま印のあの本でも調べれなかったし。……あ、だからアカシックレコード(笑)なんだ。

 

あと分かっている事は……

 

「ふわぁー……やばい、眠い」

 

うぅ……子供の体はやはり不便。

少し夜更かしするとこれだ。

眠い。とにかく眠い。

調べている内容が興味深いために、今はまだ睡魔に負けてはいない。

 

が、そろそろ寝ないとヤバイかもしんない。

 

寝る子は育つ。

寝ない子止まる。

 

成長期なんだ。

背が伸びなかったらショタっ子研究員というあだ名が付きかねん。

……いや、今もう付いてるけど。

――……研究所のお姉さんには会うたびに頭撫でられるけど!

 

……ぐすん。

 

うん、流石にもう寝よう。

背が伸びなかったら……

 

「……ぐぅ」

 

 

気が付いたら朝だった。何を言ってるのか(ry と言うような事が数日。

かつての失敗……俺がこの世界での研究進度を確認して居なかったがために起きた不幸な事故を反省し、俺はオーキド研究所に置いてある研究資料を読んだ。

いや、ミュウ云々については仕方が無い。……あれは一部を除いて極秘にされてたみたいだし。

 

で、数日間掛けて要所要所をまとめたノートが三冊出来た。

我ながらよくやったと思う。

とりあえずはコレを目安にやっていけば良い。

安心は出来ないけど…。

 

で、此処最近で起こったこと。

 

まず俺のギアナ行きは当分先の話になった。

具体的には一人でもやっていけるという証……つまり、ポケモン協会からトレーナーカードが発行され、旅をし、ジムリーダー八人に勝つ事が最低条件となった。

 

……ピカチュウ一匹で四天王どころか、チャンピオンですら無双出来そうな気がするのはきっと気のせい。

 

それから、ピカチュウ達の所へ黒い服着た怪しい奴らが出たらしい。

攫われそうになったので、例の方法でコールドスリープ状態にして、頭だけ出して埋めてきたとか。

その時のピカチュウは『殺人はするつもりは無い』……と、シタリ顔。

彼女の倫理観では、結果的に死ぬのは殺人じゃないらしい。

 

名も知らぬロケット団の方々、解凍されるまでに死んでない事を祈ります。

 

あ、それから……

 

『さ、ご主人。その手に持っているでんきだまを私に寄越すんだ』

「嫌だっ!」

 

俺の持つでんきだまがバレた。

 

-------------------------

 

かくも現実は非情である。

 

俺は今、それを痛感していた。

 

いつの間にやら俺は地に伏せられ、その上ででんきだまを掲げ、Vサインを何処かへと送るピカチュウの姿。

 

……既視感があるけど、気にしない。

きっとそれは夢なのだから。

 

はぁ、まったくチクショウめ。

またピカチュウが強くなる……ってトレーナからしてみればいいのか?

 

……いや、駄目だ。

俺へのダメージが増えるだけだった…。

 

唯でさえ強いと言うのに、これ以上強くなったら……って、そうだった。

でんきだま持ったら……

 

――ゴクリ。

 

……ん?

 

『ふふふ……あっははははは』

 

ちょっと待って欲しい。

俺の上で高笑いしているピカチュウも今は置いておこう。

 

 

……今、何か飲んだ音がしなかったか?

 

 

『ご主人! 凄いぞ! 力溢れる!』

 

え、ちょっと待って。

今静電気も凄い事になってるんですが。

 

ピカチュウ、もしかしなくとも……

 

『うん? あぁ、飲んだッ!』

 

え、えらく張り切ってらっしゃいますけど……アンタそれはやっちゃアカンでしょうがッ!

アンタ、馬鹿なの? 死ぬの?

それ、本来持ち物だったって事分かってる?

それ飲んだせいでお前群れ追い出されたんだよ?

 

なに素の能力値で本来の四倍とかふざけた事抜かしちゃってんの!?

 

 

 

 

『……ご主人は嫌だったのか? 私が強くなるのが……』

 

……なんでそんな落ち込むのさ。

 

『私は元より群れから追い出された身。それを拾ってくれたのがご主人だ』

 

……うん。

 

『――そのお前のために強くなろうとしたのは…………いけない事なのか?』

 

いや、うん。

それは――ありがとう…。

 

 

……でもそれ、俺が一番被害にあうだろう!?

 

『ちっ……バレたか』

 

やっぱりかお前!

ちょっぴり感動した俺が恨めしいよ!

 

……というかそろそろどいてもらっても構いませんか?

あそこでレッド君が無表情で俺の事見てますんで。

あぁ、純粋無垢な彼の視線が心に刺さる。

 

『ご主人が早く渡さないのが悪いんじゃないか』

 

それでもですー。

まったく……だからお前に渡すの嫌だったんだよ、もう。

俺も研究所戻るから、どいてくれ。

 

『ん、了解。私はあいつ等を最終調整しておく』

 

……最終調整って何? って思ったけどあえて聞かない。

きっと碌でもないから。

 

 

やっぱりポケモンってコワイ!

 

 




レッド君のピカチュウ所持フラグが立ちました。

シロガネ山のレッド君がピカチュウ出してくるのは大体ウチのピカチュウのせい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。