いやホントに甘いのか?
今回もナツメちゃん無双。
その日やってきたナツメちゃんが、まさかのお泊まり。
当初、「部屋無いのに何処に泊まるの? まさか俺と一緒に?」と、十歳のマセガキ(自分)が慌てていた所、私の所で寝ましょうね、とマユミさんの発言のおかげで己の熱きリビドーは発散される事は無かった。
こんな歳からそんな事は駄目だ。
……駄目だ!
大事な事なので二回言いました。
さて、昨日訪れた様々な難を逃れ。
なにか温かい湯たんぽのような、それでいて何か心落ち着く匂いの何かを抱いていた。
時々情欲を駆るよな「ん……」と音声の出る湯たんぽだ。
こんな多機能な等身大抱き枕な湯たんぽ。
何なのか確かめる事は俺には無理だった。
目が開けられないのだ。
きっとコレは本能が分かっているのだろう。
コレが、名状しがたき湯たんぽのようなモノが何なのか。
目を開ければどんな未来が待っているのか。
仕方が無いので、そのうちトウカは考える事を止め……再び寝た。
早朝の出来事など綺麗さっぱり忘れた俺は何時ものように朝起きて食堂に出る。
「おはよう、トウカ君」
「おはようございますマユミさん」
先に起きていたマユミさんに挨拶し、冷蔵庫から水を取り出す。
天然由来の湧き水でうまい水だ。
「あぁ、そういえばナツメちゃ「マユミさん!」……なに、トウカ君」
一番今触れられたくない話題だ。
忘れた? すまんな。アレは嘘だ。
バッチリ覚えているとも。
スタイルの良い腰つきと、柔らかい身体。
抱きしめた時に感じた控えめな胸の柔らかさ。
そしてなによりもナツメちゃんの匂い。
あれ?
……うわぁ……これじゃまるでアイツ等みたいじゃないか……。
「ナツメちゃんトウカ君の部屋にいなかった?」
「……」
ヤバイ。トリップしてたら聞かれた。
いや、朝起きたら居なかったけど。
それよりもマユミさん目が怖い。
「しらないですよ?」
「嘘つく時目が一ミリくらい泳ぐの知ってました?」
「……スミマセンした」
朝起きたら真っ赤な顔してナツメちゃん、横で寝てました。
リアルで「あぁ、ナツメなら俺の隣で寝てるぜ」をやろうとは思わなかったんだもん。
いや、何も致してないよ? マジで。
服も乱れて無かったし。そんな形跡も無かったし。
そんな意味合いの事をマユミさんに話す。
「はぁ……やっぱりトウカ君の所行ってましたか。夜偶々起きたら居なくなってましたから」
「……はぁ」
「その歳で博士になってるくらいだから、そういう知識もあるんでしょうけど……実践しなかった事は許しましょう」
「……あい」
それでは朝ご飯にしますから起こしてきてください、とマユミさんに言われ、ナツメちゃんを起こしに行く事に。
……ソレ一番の苦行では? と問う事は出来なかった。
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起きて、と声をかける。
ううん、と言いながらナツメちゃんは身体を起こした。
「おはよう、ナツメちゃん」
「おはよ……う」
顔が朱に染まっていく。
抱き枕にされてた事思い出したのか。
「あ、あ、えっと……」
「何時の間に潜り込んできたのよ、ナツメちゃんや」
「あぅっ……そ、その……夜トウカ君が寝静まってから……というか、気づいたらトウカ君のベットの中に……」
「テレポート?」
「……うん。……多分?」
寝起きのせいかもしくは恥ずかしいのか分からないが、現在のナツメちゃんはしおらしい。
可愛いなぁ……と思う俺は末期寸前だろう。
ナツメちゃん愛したい症候群の。
それのLv.4辺り。
「えっと……トウカ君。私に……その、何かした?」
「何かって?」
「その……うぅ。…………えっちな事」
「」
いやいやいや。
待てよ。
なんだ? 彼女の定義するエッチな事ってなんだ?
アレかフレンチなキスはエッチな事に入るのか? して無いけどさ。
エッチってそもそもなんだ? Hか? Hならなんでもエッチなのか?
いやしかしHだけじゃなくAでもBでもエッチなものはエッチだと思うんだ。
いや、Iでもエッチだと思う。
あれ、なに考えてたっけ?
……それよりも可愛い!
毛布で口まで隠すのがいじらしい!
……あぁ、萌え殺す気なのか、この寝起きのお姫様は。
「可愛いなぁ……」
「えぇ!? 可愛いって……!」
「……あ、いやなんでもないよ! えっと……ナツメちゃんの言う「えっち」ってなに!?」
「あ、いや。えっと……えっちな事が何か?」
「う、うん!」
思わず口が滑った。
話題転換として言っておきながら、それを聞くのはどうかと自分でも思う。
「(可愛いって言われた……)うーん……ちゅー……とか?」
よかった。彼女が純粋で。
穢れた大人の思考だから余計な事まで詮索しちまたぜ。
「よかったぁ……うん、して無いよ。それ以上も」
「そっか……うん? それ以上って何?」
「……ナンデモナイヨ」
い、要らん事言うてもうたぁ!
「――何かしたの?」
「してないよ!」
全力で否定したら、少し残念そうにした彼女は見なかった事にした。
……最近の女の子は理解し難いな!
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起きてきた研究員達に、またも一緒に部屋から出てくる所を見られる、というデジャヴ感溢れる結果になったのは忘れて、朝食も終わらして昼食前。
今日は一日俺は手持ち達の世話に励む事に決めた。
……連日で研究をサボるのはどうかと思うが。
ナツメちゃんは現在、マユミさんに借りた服に着替えるため、俺の隣を離れている。
それはいいのだが、朝の一件からナツメちゃん、どうにもくっ付いて来すぎだ。
そりゃ嬉しいけどさ。
色々と抑えきれなくなりそうになるから辛い。
そして手持ちズ。
拠点内部から外に向かって作ったバトルステージ兼ベランダで、ボールの外に出ていた。
元メタモンのミュウは姿を消して研究資料を読みに行って、ウインディとキュウコンは二匹寄り添って眠ってる。
ただ、ナツメちゃんが来て毛づくろいが出来なかったために、拗ねているのが若干三名。
『ご主人のばか! ばーか、ばーか! アンポンタンめ!』
〈う~……〉
〈……〉
順にピカチュウと古代のミュウ、ラルトスである。
あぁもう、ごめんってば。
ちなみに拗ねたラルトスが一番怖い。
ブラックホールで塵芥にされないかが正直不安だ。
〈……〉
……俺も人外に近づかなきゃいけないのだろうか。
いやいや、早まったら駄目だな。
そんな事で人間止めるのはどうかしてた。
とりあえず黄色ポロックあげよう。
「おいでラルトス。ごめん、すっぱいの上げるから許して」
〈……♪ ありがと!〉
容易いな、なんて考えてないから。
伝わったりしたら「圧縮圧縮ゥ空気を圧縮ゥ」だ。
そんな事はご免被りたいのだ。
それからピカチュウは膝の上に置いて、毛づくろい。
ふにゃぁ、と頬を緩ませて気持ちよさそうだった。
加えてミュウは俺の頭の上で日向ぼっこをしていた。
『……』
……いや、うん。
「ダンバルごめん。俺は一人しかいないから待ってて」
『……(うるうる)』
一つ目が揺れている。
罪悪感ヤバイ……と思いつつ、ピカチュウを撫でる手は止められなかった。
ダンバルの世話をしてやっていると、ナツメちゃんがダボダボのシャツとスカート姿で現れた。
何故そんなマニア心くすぐる姿で居るかは理解できなかったが、とりあえず。
……グッジョブ、マユミさん!
ポケモン小説らしくないなぁ……と、ふと思った。
ナツメちゃんが可愛いければ問題ないか。
なんだか感想にて、「ヤンデレルートについて詳しく」と意見が二名ほど来ていた。
ヤンデレってある意味最大の愛情表現だと思う。
愛し過ぎるが故に殺しちゃったり傷つけちゃったり。
……そんなナツメちゃんも可愛いと思う俺は末期だろう。
それでは。
以上、ヤンデレるくらいナツメに愛されてみたい作者でした。