チートでポケモンのトレーナーらしい   作:楯樰

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信じられなかったらしい

ホウエン地方。

ゲームではハジツゲの下にあった、流星の洞窟付近。

そこから余りはなれた土地には行かなかったが、それなりに良き遠征であった。

いや、ゲームのマップ上では反対の位置にあるトクサネには、ダイゴさんのエアームドに乗せてもらい飛んだが。

 

まぁ、それなりに充実した生活のなかでも一つ心残りが。

 

伝説のポケモンに一体でもいいから会いたかったな、という高望み。

いや、会う可能性を考えれば一匹しか考えられないのだが。

オゾンという空を飛んでいるだろう超古代ポケモン。

黒という色違いや圧倒的な火力をもって、かなりの小学生たちにカッコいいと思わせたであろう、翠色の龍レックウザ。

――その姿を見ることが出来なかったのが心残りであった。

 

 

……というのを船の上、空の柱が見える手すりの位置にて現在思っていた。

そして俺の隣には当然の様にナツメちゃんが居る。

一緒にいるだけで照れていた彼女もいまや、俺の隣が定位置。

……嬉しいのだが、昨日の夜の一件もあってほんの少し欲求不満です。

あぁ、赤面の可愛いナツメちゃんが恋しい。

 

「はぁ……それにしても高いなぁ……空の柱」

「……知ってるの、アレ」

「まぁ……うん。知ってるっちゃ知ってる。あそこに龍が住んでるとか」

「ドラゴンタイプのポケモンかな?」

「多分ね。会いたいなぁ……」

 

ホントに。神さま補正で会えないだろうか。

なんせ古代からの生き証人だし。

いや、人間の俗世の事なんぞ知らん、なんて言われそうだけど。

 

「ははは。やっぱりトウカ君も男の子だね」

「……まぁ、それなりにね。ドラゴンポケモンはロマンだと思うよ」

「そっかぁ……」

 

ホントに。

タツベイとか捕まえたかった。……タツベイとか!

 

「わっ……!」

「うぉ!?」

 

そんな事を思っていると、強い風が吹いた。

突風によりナツメちゃんのスカートがひらひらと。

 

「……見た?」

「……ミテナイヨ」

 

自分でも思う。急すぎてバレバレの反応だと。

 

「……うぅ…………トウカ君のえっち」

 

……グハッ!

俺の自制心にダイレクトアタック!

もうやめて、自制心のライフはゼロよ!

 

『ハァ……いやらしいご主人だ。それよりもさっきの見たか?』

 

パンツ? あぁ、しr『アホ! 誰もパンツの色は聞いてない!』

 

「……ごめんなさい、俺が馬鹿でした」

「別にそんな……いい、よ……トウカ君になら、見せても……」

『はぁ……まったく、空の柱の方を見てみろ黒い龍だ』

「はぁ?! マジで!?」

「う、うん…………ってあれ?」

 

ピカチュウのボールに集中していたのを移し、空の柱の方を見る。

ホントだ。……飛んでってる。

 

「生のレックウザ色違い……」

「れっくうざ? ……えっとトウカ君。さっきの私の話、聞いてた?」

「あ、ごめん……ピカチュウと話してた。龍が居たって言われたから。ナツメちゃん、なんて言ったの?」

 

黒か……胸が躍るな。

ホントに捕まえたくなってきたけど……ただそんな事よりも今ナツメちゃんがそれよりも真っ赤な顔していた。

 

「な、ナツメちゃん?」

「……うぅ……トウカ君のばか! もう知らないッ!」

言うなりナツメちゃんは走ってこの場から去る。

「……嫌われた……?」

『……なんかゴメン、ご主人』

 

黒いレックウザよりも今は目の前が真っ暗になりそうだった。

 

-------------------------

 

落ち込みながら部屋に帰ると、ナツメちゃんは自室に帰っていて、ゴメンと謝ってきた。

何を言ったのかは結局、ナツメちゃんの「忘れて」という言葉で分からなくなったが、顔が真っ赤になっていたため、聞かれたら恥ずかしいのだろうと思い追及はしなかった。

何はともあれ、怒ってないし嫌ってもないよ、と言って貰えたので俺の中では既に完結していた。

 

そして夕食の時間が終わり、既に夜。

電気を消してベットに潜りいざ寝ようと、ベットの隅の方へ逃げようとしたらナツメちゃんが手を握ってきた。

無理やり離して寝る訳にもいかず、握ってきたナツメちゃんに顔を向ける。

 

「……トウカ君。ちょっといいかな」

「うん。なに?」

「えっとね……トウカ君は私が心を読めるの知ってるよね」

「……うん」

 

なんせ読まれないようにするために超能力を身に付けたんだし。

……でも急にどうしたんだろうか。

 

「トウカ君は……トウカ君はどうして私に心を読めなくしたの?」

「えっと……答えたほうが良い?」

「…………うん。教えて欲しい」

「……そっか」

 

なんか重い話になってきた。

当たり障りの無い事は言えない。……なんだか本能的な何かが訴えてきてる。

この機会にホントのこと、話した方がいいのかもしれない。

 

「……じゃあちょっと話そうか。信じてくれなくてもいいけど……つまんないし、途中で寝ても良いよ?」

「うん」

 

うーむ……何から話そうか。

……よし、単刀直入にバラすか。

 

「生まれる前の記憶がある」

「……つまり?」

「前世、とでも言うのかなぁ……きっとそんな感じ。死んで生まれて……今こうしてナツメちゃんの前にいる俺は、昔大人だった」

「じゃあトウカ君の中身は私より大人なんだ」

「……まぁそういうことになる」

 

今じゃ体に引きずられてどうにも落ち着きがなくなってきてるけど。

……いや、前からだったかな?

 

「……そうなんだ。トウカ君が大人びてる理由がわかった」

「うん。でもそれがナツメちゃんに心読まれて困ることじゃないんだ。前の世界で……今の世界の詳しい事を知る事が出来たんだ」

「……どういう事?」

「まぁこの先の未来だとか。……でもきっと知っても面白く無いだろうから言わない。未来予知できるならナツメちゃんには意味無いけどね」

「あはは……ちょっと出来るくらいだよ?」

「……出来るんだ」

「あ」

 

暗闇に目がなれて、気まずそうな顔してるのが分かる。

 

「……ゴメン忘れてほしいな」

「うん……何も聞かなかった。……で、詳しい事って言うのがポケモンの進化だとかのエトセトラや伝説のポケモンについてなんだけど」

「伝説のポケモン……?」

「昼に話した緑色の龍だとか、この世界を作ったと言われるようなポケモン達の事。伝説上の存在になってるポケモンだとかの居場所だったりを知っているんだ……何処かは言わないからね?」

 

この世界の創造神たるアルセウスが見たいなんて言われたらどう反応したらいいかわかんない。

 

「トウカ君のケチ。……でも誰にも言いたくないのは分かったよ」

「お心遣いありがとう。……ただ、詳しい事って言うのは、生きたポケモンの一匹たりともいない前の世界。その世界にあったゲームを通じて知ったんだ」

「……ポケモンが居ない世界」

「うん。それで……ナツメちゃんはそのゲームの中に出てきた」

「……私が?」

「どんな姿で、どんな格好で出てきたかは言わないけど……ちゃんと服は着てたから安心して」

 

裸では出てきてないし。

……ただ、個人的には初めて出てきたあの格好も良いと思う。

金銀のリメイクで大幅に変わったけど。

 

「…………ホントに?」

「ホントに。……でもまぁ、俺の知ってる色んな事を知られるわけにはいかなかったから……だから心を読めなくしたんだ」

「そっか……じゃあ実は私じゃない他に好きな女の子が居るとかじゃないだね?」

「…………うん? なんでそんな事」

「だって……男の人がする隠し事ってそんな事だって、テレビで言ってたから」

「……テレビェ……」

 

最近始まった昼ドラの影響だろうか。

あんまり良い影響とは言えないな。

 

「じゃぁ……ホントのホントに私じゃない誰か別に……」

「……うん。絶対違う」

「そっかぁ……よかったぁ……」

 

安心したのかぎゅっと握ってた手の力が抜ける。

 

「だからゴメン。心が読めなくて信じられないかもしれないけど……信じて欲しい。俺がナツメちゃんの事が好きなのはホントの事だから……」

「ううん。……私の方こそゴメンね。秘密にしてきた事無理にでも聞いちゃって……」

「うん……」

 

握っていた手を離し、布団の中でナツメちゃんが寄ってきた。

 

「……ぎゅってしてもいい?」

「え、あ……う、うん……」

 

恥ずかしい。自分でもなんで“うん”って言ってんだかわかんない。

……おい、ナツメちゃん積極的過ぎやしないか?

心臓がバクバクいってる。

 

「――ありがとう、トウカ君……」

「……」

 

良く分からない事に感謝された。

……お腹に回された腕に心落ち着けて、安心したようなナツメちゃんの寝息を子守唄に自分も寝た。

凡俗に塗れた自分では珍しい事に(よこしま)な気持ちは湧かず。……不思議と安堵感だけがこの身を包んでいた。

 




今回も懲りずにナツメ主体になってる。
アニメ同様レックウザの脇役ぶりが凄まじい。
ナツメのターンはもちっとだけ続くんじゃよ。

次回でヤンデレルートを挿みます。
過度な期待はしないで下さい。超拙作です。
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