チートでポケモンのトレーナーらしい   作:楯樰

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おかしい部分があるかもです。


我慢出来るらしい

朝。

窓から覗く水平線の遥か遠くに七島が見えた。

この事から既にカントー圏に入っている事が分かる。

……つまりナツメちゃんとも後少しでお別れなのだ。

 

一ヶ月。

長いようで短かった……なんてお約束な感想はさておき。

ナツメちゃんと別れてから、再会までの期間と一緒に居た時間だ。

本当はナツメちゃんと再会し、次に会う時は半年後と決めていた。

それがまさか一ヶ月で会う事になるとは思わなかったけど、彼女の心の内を聞けばその気持ちは分からなくも無かった。

それに加え一ヶ月で一緒の布団で寝るような関係にまで発展する事になろうとは思わなかったけども。

まったく……純粋なくせに無意識に押しが強いんだから、ナツメちゃんは。

 

純粋故に過剰なまでに一緒に居たがるナツメちゃんは、見た目は子供頭脳は大人の自分には少々辛かった。

同じ布団で寝てたなんて、彼女の親にバレたら何を言われるか……別に疚しい事なんてしてませんけども。

 

それはそうと、この世界に来て初めて打ち明けた秘密。

打ち明けた相手が、記憶が戻って会ったナツメちゃんであるのは運命だったのかは分からない。

超能力が使えると言っても未来予知は習得していないし。

 

まぁ、その超能力も秘密がバレないようにするために身に付けたわけだが、結局今では便利能力としての価値しか残らなくなった。

……それでも“お揃い”ということで、ナツメちゃんが喜んでいるので無駄にはならなかったのが幸いと言った所か。

 

「……くぅ……」

 

秘密を知る(くだん)の眠り姫はベットの上で未だ気持ちよさそうに寝ている。

寝顔も可愛い。何時間でも眺めてたいと思うのは惚気か。

……しかし残念な事にそろそろ起こさないといけない。

 

「ナツメちゃーん。起きてー」

「……ぅん……ん」

「起きないと悪戯するよー」

「……ちゅーしてくれたらおきる」

 

そう言って再び寝返りをうつ。

顔真っ赤だし無理して言わなくても良いのに。

 

「はぁ……おでこに肉って書こっかな?」

「っ! 起きるから止めてっ!」

「それでよろしい。……まだちゃんと付き合っても無いのにちゅーなんてしません」

「……はぁい」

 

交わした約束故に、実はまだ正式に付き合って無かったりする俺とナツメちゃんだった。

 

 

朝食を済まして数時間後。

現在はナツメちゃんの持つ荷物をまとめていた。

カントーのクチバでナツメちゃんは降りて、そのままお別れだ。

 

「トウカ君。……あの話を聞いてから聞きたかった事があるんだけど、いいかな?」

「いいよ。……何が聞きたいの?」

「私の事、前世だったけ? そっちで知った時から……私の事は好きだった?」

「ううん。違う」

「…………そっか」

 

正直に言うと、ゲームのなかではシンオウ地方チャンピオンのシロナさんとかジョウト地方の四天王のカリンさんが好きだった。

ストーリーの上で描かれている性格を含めて。

 

ただ、一つ言えるのは。

 

「でも所詮作り物の世界での話。現実とは違った。……ちょっとイメージと違ったけどナツメちゃんはちゃんと今此処に居て、超能力の使える俺の好きな女の子だ」

「……うん」

「だから……何て言ったらいいんだろ? ……とにかく今俺はナツメちゃんの事が、うん。……大好き」

「……私も。トウカ君のこと好き……」

「……」

「……」

 

無言が辛い。

おまけに顔があつい。

 

「えっと……準備しよっか」

「う、うん……そう、だね」

 

ちょっと気まずい空気の中、止まっていた手を動かした。

 

-------------------------

 

クチバの港でナツメちゃんと共に船を降りる。

ナツメちゃんの現在持つ、ミナモで買ったキャリーバッグを船から降ろすのを手伝うためだ。

係りの女の人に理由は話したら微笑まれて了承された。恥ずかしかった。

空は朝とは違い雲で澱んでいる。子供ながらの感性からか空が泣きそうだと思った。……馬鹿らしい。

 

およそ二ヶ月ぶりのカントーの地。

売り地になっていた土地が買われた様子が分かった。

まぁ些細な変化は良くある。

 

「じゃあ……ありがとう、此処で良いよ」

「うん、了解」

 

船着場の送迎場所では、一度だけ見た顔ぶれが見えた。

 

「……あれ、ナツメちゃんのお父さんとお母さんじゃない?」

 

ナツメちゃんはホウエンに一ヶ月滞在する事が決まってから電話で、船で帰ると伝えた、と言っていたので迎えに来たのだろう。

 

「……え……あ、ホントだ。……来なくても良いって言ったのに」

 

親の気持ちであれば、娘が元気であるかいち早く確認したいに決まっている。

だから俺に「ごめんね」と謝るのはちょっと違う気がしますぜ、ナツメさんや。

 

ナツメちゃんが少々気まずい顔をしているが、俺はお辞儀をして挨拶をする。

気まずい顔をしている本人は隣で手を小さく振っていた。

 

「……それじゃナツメちゃん。元気でね」

「うん……」

 

正直に言ってしまえば、ナツメちゃんの親御さんに顔を合わせるのが辛い。

ナツメちゃんの隣に、男の子の域を出ないとはいえ、娘の隣に異性が居るのは良い気持ちじゃないだろうし。

……娘に寝る時に三つ指立たせるよう、躾けた母親は居なかった事にしよう。

 

「待って!」

「うん? どうしたの」

「……待ってるから、トウカ君の事……」

 

……神妙な顔して何を言うかと思えば。

 

「そう言って一ヶ月後に会いに来た人は誰でしょーか?」

「……むぅ……だって会いたかったんだもん」

「可愛く言っても駄目。……今度は来ちゃ駄目だからね? カントーに寄らずにそのまま海外に行くんだから」

「うん……でも…!」

「でもはなし。ナツメちゃんが約束果たすのにも一ヶ月間の猶予が無くなったんだから来ちゃ駄目。約束ホントに守れないよ?」

 

そもそも半年ですら無理難題ではある約束の内容だ。

シンオウに来て、帰れないなんて事になったらそのままイッシュ行き。

カントーにはしばらく戻らない。

それこそ本当にナツメちゃんは約束は果たせなくなる。……約束が守れ無かった時の事を考えると俺は嫌だ。

 

それが分かったのか、分かって無いのか自分には分からない。

ナツメちゃんは渋々といった様子で俯きながら頷いた。

 

「……分かった。トウカ君がハグしてくれたら。絶対会いに行かないって約束する」

「…………はい?」

 

……ただし条件付きのようで。

 

俺の耳がおかしいのか? この子いま何て言ったの。

ハグしろと? この状況で? 見ず知らずの人やナツメちゃんの親御さん見てるのに?

 

「いや……」

「……絶対行かないから」

 

……そっか。

それで……ちゃんと守ってくれるのなら……。

 

「……うぅ、恥ずかしい。……本当に守ってよ?」

「――うん!」

 

自分で言ってても恥ずかしいのか、手を広げるナツメちゃんも顔は少し赤い。

そんな彼女に近づいて俺は抱きしめた。

11歳となったこの身。

ナツメちゃんは女の子で成長の早く、既に150cmくらい身長がある。

……そして身長差は、頭一個分自分の方が小さく。

 

「……うぅ……」

「もうっ! 声出さないでっ……くすぐったいよ……」

 

ちょうど顔が発達途中の胸に埋まる位置だったりする。

――あぁ、悟りの境地に達せそう。

 

……抱きしめられたままで、しばらく羞恥プレイに堪えることになった。

あらあらまあまあ、と周りから声が聞こえる三十秒間程を堪えて、ハグしていた体をナツメちゃんから離す。

そして笑顔で手を振るナツメちゃんに、手を振り返して船内に戻った。

 

 

「……後でそのビデオとカメラは打っ壊すからな」

『『許してくださいぃいい!』』

 

変態(研究員)達は揃って(こうべ)を垂れた。

 

 




「ナツメ。あれは……」
「……トウカ君。私の好きな人」
「……(ギリッ)」
「ちょっとお父さん。認めたんじゃなかったの?」
「しかしだなぁ……」
「駄目って言ったら……お父さんの事嫌いになるから」
「ナツメぇ……お父さんは、お父さんは……」
「はいはい。分かったから……そうは言ってもまだ先の事でしょうが」
「? お母さん、先の事って?」
「……ナツメは気にしなくてもいいの。……それよりも何処まで行ったか帰ってお話して頂戴ね」
「……話さないと駄目?」
「駄目よ」
「ナツメぇ……」
「「お父さんうるさい!」」

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後書き使った二回目のオマケ。
家の中でのヒエラルキーは、やはり母が頂点。
何処の家も変わらないかと思います。

予想以上にヤンデレルートが怖いと言われた。
ホラーって程では無いと思ったんだけど。
……あんなナツメも可愛いと思う作者はおかしいでしょうか?
純粋な子ほどヤンデレになった時が怖い。でもそんな愛情を受けてみたい。

さて、狂ってる作者は置いといて。
それではまた次回。
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