その出会いは劇的で。
彼女のビッグネームを知る人間にとっては、心臓に非常に悪く。
また、とてもではないが驚きだけで済ませれるようなものではなかった。
なんせ相手は、かつて苦戦し、見惚れたその人。
ゲームと言う媒体を通して知る彼女の姿は余りにも魅力的過ぎた。
――……それが
ともかくだ。
その人が今、目の前で笑っているッ! そう! 俺に向かってッッ!
『ヤバイ』
頭の中はその一言で多い尽くされていた。
ゲームで知る彼女より美人で。
何よりも直接感じられなかった優しい雰囲気が感じられる。
『波導使い』になったせいなのかは分からないが、この人から出るそれはダイレクトに伝わってくる。
正直言うと浮k……うわぁー!
なつめちゃーんっっ! たーすーけーてーッ!
「――し……う! ……ちょう! ――室長!」
「……あ、ああ!」
「どうしたんですか、急に固まって……らしくないですよ」
「うん。ご、ごめん……ちょっと待ってくれ」
目を瞑って深呼吸。
……よし落ち着いた。
目を開いてちゃんと挨拶を……。
「大丈夫?」
「わぁああああ!」
び、びびった!
目の前に、目の前に!
「わ、私何か悪い事でもしたかしら……」
「い、いや全然! 俺が悪いんで、はい!」
「――室長?」
研究員の訝しげな声が。
もう一人が顔を耳元にまで近づけて耳打ちしてくる。
「……室長まさか」
「言うな、絶対に。言ったらお前を殺さないといけなくなるから。ちょっと使えるようになった波導弾をお前にぶち込まないと行けなくなるから」
「何処で覚えてきたんですか、それ」
「聞くな。俺はまだ、変態とは言えお前達を殺したくは……ない」
「――はい」
聞いてきた研究員に耳内で返す。
さぞ変な事をしていると思われているだろう。
「ゴメンなさい、シロナさん。ちょっとビックリしただけで……」
「そ、そう……良かったぁ。私がなにかアナタに悪い事でもしたのかと」
「――グハァッ!」
「「し、しつちょぉぉおおおお!」」
残念、ここでトウカの旅は終わってしまった!
……目がさめたらそこは見知らぬ天井だった。
……。
…………あれ、なんで寝てたんだ?
それから体を動かそうとして誰かに手を握られている感触があるんだけども。
「あ、起きたのね。よかったぁ……もう目を覚まさないのかと思った」
「え、ちょ……えぇ?」
恐ろしいまでのヒロイン、とゲームで言われたシロナさんがそこに居た。
「えっと……なんで手を握って?」
「? 心配だったからだけど……」
なんだこのヒロインは……。
やめて、俺にはナツメちゃんって言う最愛の人が!
……いや、ちょっと待て。
「あ、あの……手どけて貰えますか?」
「……うん?」
「いや、今握ってる俺の左手じゃなくてですね……その下腹部にある手を!」
「……」
彼女の左手は現在俺の下腹部の上。
あれれぇ? おかしいなぁ? ……ちょっとアイツ等と同じ匂いがし始めたぞ!?
「シロナさん。いくつか質問に答えてください」
「う、うん……何かな?」
「あんた、変態か?」
暫く間が空き。
「――……たとえ変態だとしても、変態と言う名のしゅ「もういいです。警察呼びま」わー! まってぇ!」
手で口を塞がれベッドの上に押し倒されるような形になる。
そのふくよかな胸が身体に当たっているが……しかし彼女は変態だ。
そう、変態だ。
美人強度でならば割りとレベルの高いウチの研究員を凌駕するが、しかし変態だ。
変態は許してはならぬ。森羅万象が覆ろうともそれは決して。
変態は一人見付けると三十人は居ると思え、とは誰の言葉であったか。
ナツメちゃん、良かったよ。
俺は君を裏切らなくて済みそうだ。
……落ち着いたシロナさんから聞いた弁明は、つい魔が差してやった、と。
ショタコンめ、と罵ってやったら頬を染めていた。……チクショウめ。
それから。
「うむう! 良く来てくれた。トウカ君」
「……はい」
「……」
「……」
「……ウチの教え子がスマン」
「いえ、別に。膝の上に乗ってたらそれでいいそうなので。お互い、苦労してますね」
「……そうだな」
存外、ナナカマド博士も変態には苦労しているようだ。
「先生。酷くはありませんか、それ」
変態が頭上で何か言う。
知るかそんなもん。……なんで変態の癖にこんな良いもの持ってるんだろうか。
頭の上がやわっこい。
「「ポっとでのヒロインの癖に!」」
ウチの研究員達が荒れている。
ポっとでのヒロインとか……いや、
「ふふふ……♪」
まぁ、嬉しそうなのでよしとしよう。
ナナカマド博士がこの場に居る俺以外に退出を求めた。
「はぁ……あんなヤツじゃなかったんだが……許してやってくれ。それで、……今回の目的はオーキドから聞いた」
「大丈夫です。シロナさんについては……十分理解がありますので。目的に関しては説明は要らないと思いますが……どうしたんですか?」
「うむう。……せっかくだ。終わった後、シロナと一緒にポケモン神話の研究をしてみてはくれぬか? ……色々と知識には明るいらしい、とオーキドから聞いたものでな」
「……別に構いませんが。…………何かありますね?」
「はて、なんの事か分かりませんな、トウカ博士殿。別に行き遅れになろうとしている我が子のような奴をくっつけようだなんてしてませんが?」
「……俺、誕生日来ましたけど11歳ですよ?」
「……気にしては駄目なことだな」
「気にして下さい」
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――さてはて、実の所である彼女の心の内は。
この度出会った二人目の
俺の嫌う変態を演じる、兄弟子にあたるシロナさんは。
出会った当初、俺が心の内で叫んだ好きな人の名前が聞こえて。
一目惚れをしたらしい彼女は羞恥を隠し、変態の仮面を被りその心の内を隠した。
残念ながら既にシロナさんを超え、師匠に半分程追いついている自分には隠せていなかったが。
少し。
すこしだけ。
その健気さに胸を打たれたのは内緒だ。
……それでも諦めない、と決意してるのがどんな行動を起こすのか不安です。
あの耳飾ってルカリオに似ている→技も波導系が多い→つまりそう言う事か!
色々とシロナファンに怒られそうな内容でしたが、どうしようか。
正ヒロインにするか?
……いや、自分に嘘は…!
つーわけで葛藤中。
次回は閑話です。