チートでポケモンのトレーナーらしい   作:楯樰

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風邪が若干治りました。


決着らしい

『そう怒るな。……なんだ。強いな』

 

アルセウス(笑)との死闘は苛烈を極めた。

飛んでくる裁きの礫をかわし、合間を縫って放たれるハイパーボイス。

床、柱とひび割れが生じて、一様にして荘厳な姿であった『やりのはしら』は見るも無残な状態になった。

 

まぁ幸いな事に、飛んでくる礫はピカチュウの電光石火より遅いので避けれたし。

ハイパーボイスも相殺できたので、命からがらという結果にはならなかった。

……化け物染みているとは思ったけど。

 

『やりのはしら』がボロボロになってたのは俺達のせいなんじゃ……。

……いや、よそう。

考えたら胃が痛くなりそうだ。

 

『「ピカチュウが(わたし)に善戦する日が来るとは思わなかったぞ……」』

『創造主さまにそんな事を言って貰えるなんてな』

 

……そう、今回のMVPはピカさんである。

断じて俺では無い。等身大の波導弾をぶっ放したけど俺では無い。

波導弾じゃなくて波動砲になってたけど俺じゃ無いんだ。

 

超電磁砲が火花をあげ、凍土と焦土で建造物が劣化する。

極めつけに技の相殺合戦。

ウチのピカチュウは色々とおかしかった。

 

ただこのピカチュウでも、もしこの、なんちゃって創造神様にプレートが揃っていれば為す術も無く蹂躙劇が繰り広げられていただろう。

 

プレートはアルセウスと同時期に生まれたレジギガスの為れの果て。

ノーマル以外の各タイプのレジギガスだったプレートは、この世界の各地に散らばってこの世界を支えている。

そのプレートが全色ありさえすれば『全属性(タイプ)で不思議な守り状態(かたやぶり等の特性無効)』らしいのだ。

 

チートだなんてめじゃない。

汚い、流石創造神汚い。

 

「お、終わったの……」

「あ、シロナさん。怪我とかして無いですか?」

「……う、うん。というかトウカ君は無事なのね」

「側転が出来ればどうと言う事は無かったです」

 

ガブリアスに守られながらシロナさんが柱の後ろから出てくる。

いやぁ、側転からの後方倒立回転跳びが出来なかったら死んでたね。出来るようになってて良かった。

……シロナさん、そんなお化けを見たような顔をして見ないで欲しい。

 

「と、とにかくピカチュウ戻って。さて、アルセウス」

『さんを付けろよデコ助ヤロウ』

「……さん。俺達帰りますので」

「えぇっ!? もうちょっとお話し聞きたかったのに!」

『……』

 

おおう、シロナさんや。

さん付けを強要するアルセウスですら吃驚したって風に見てる事に気づかないんですか。

アルセウスと一緒に苦笑いをして、アルセウスはある物を創造した。

 

『「シロナ。少々(わたし)は疲れた。話が聞きたいというならばこれを渡す。お前と(わたし)を繋げてくれるだろう」』

 

そして虚空から生み出されたように出てきたのは――……携帯電話。

前世で俗に言うガラケー……ガラパゴスケータイだった。

 

それは駄目だ。

 

『なんでや』

 

駄目だっつーの。

 

『「仕方がない。……これで良いだろう。ほら、トウカの方も」』

「これは……?」

『「天界の笛という。望めば消え失せ、望めば現れる。丁度此処の入り口で吹けば(わたし)の居る『始まりの間』にも来れるだろう」』

「……有り難く受け取らせて貰います」

 

受け取って頭を深くシロナさんは下げた。

……そんな事する必要ないのに。

まぁでも此処は素直に受け取っとこう……シロナさんに怒られそうだ。

 

「ありがとぉーござぁいまぁす」

『嫌みったらしく聞こえるのは(わたし)の気のせいか、あん?』

「ソンナコトハナイヨ?」

「……急にどうしたの?」

「……。独り言です」

「そうなの」

 

つい口に出しちゃったよ。

絶対あの顔はニヤニヤ笑ってる。ちくしょう。

 

「じゃ、俺達は帰りますので。そーぞーしん様お元気で」

『「さらばだ。トウカ、シロナ」』

「失礼します」

 

嫌味を込めて別れの言葉を吐くとドヤ顔で返してきた。

創造神ウゼェ、と思いながら手持ちからメタングとピカチュウを出す。

ガブリアスにシロナさんは乗り、メタングに俺は乗る。

 

慣習になったレールガンで、やりのはしらからシロナさん家に帰った。

 

……音速の世界にハマったのは段々俺が人外になっているからだろうか。

考える事を止めて、シロナさん家の前に降りた。

 

「トウカ君。腰が抜けちゃって立てなくなっちゃった……起こしてくれない?」

「ハァ……貴女って人は。……はい」

「ごめんね……」

 

家に着いたらお尻をついて倒れる現シンオウチャンピオン。

気合いで腰が抜けるのを堪えていたらしい。

……満足そうな顔をしてるので、シロナさんにとっては今日の出来事は良かったのだろう。

 

 

後になって気づいたが、シロナさんのガブリアスがボールに入ってなかった。

玄関の前で三角座りで黄昏ていたのが記憶に新しい。

 

-------------------------

 

色々とシロナさんの手伝いをして。

そんなこんなでアルセウスとの邂逅から早くも二日。

濃密な二日間だった。

 

シンオウに住む人間なら誰しもがその存在を知る、ディアルガとパルキア。

そして、その影の薄さ故に歴史の中に埋没してしまったギラティナ。

 

その三匹に対を成す形で存在する『湖の三匹』。

 

 

――神話を研究するシロナさんにとって、二日前に知り得たそれら伝説についてはとても重大な事で。

彼女にとって15歳から三年間に及ぶ研究の到達点だった。

 

あとはその研究の結果を証明するだけ。

 

残念ながら、名も語られぬ創造主に直接『世界創造のあらましを聞いた』なんて事をその筋の方々が認める訳が無いのだ。

 

そう。あの時、残念な事に記憶媒体を持ってきていなかった。

……いや、カメラはあったけども、シロナさんにとってアルセウスは敬意を払う相手。

初対面で「写真撮っても良いですか」なんて聞けるわけも無く。

そして恐らく、あの時の精神状態では聞けなかっただろう。

結構ガクブルだったらしい。

 

……気にしなければ良かったのに、なんて言えるわけ無い……言いたいけど。

 

まぁそのために、何かしら残っているはずの文摘が無い限り、二日前の事を公に発表出来ないわけだ。

……まぁ、神話研究なんて分野の学問は殆どが想像の域を出ない学問だが。

 

ともかくまだまだシロナさんの研究は続く。

シロナの研究はコレからだ!

 

――(完)

 

 

……と個人的には続けたかったけど、どうにもそういう訳にも行かず。

 

一応、シロナさんの手伝いも一段落して、俺は彼女と別れるつもりだった。

その為、久方ぶりに研究員どもを引き取りにナナカマド研究所に行けば、

 

「どうぞどうぞ。ご一緒に…………正直ウザいですが」

「本当に遺憾ながらですが……同士であれば我々は我慢出来ます」

「「「……ただこの六日間、室長に何したか表で話そうか?」」」

 

何かしら博士に納得させられた研究員の姿が。

割と力の強い彼等にドナドナされるシロナさんを見ながら、溜め息を。

 

「はかせぇ……」

「……ナニモシトランゾ」

「博士ェ…!」

 

……これからチャンピオンが俺の下で働くってどういう事ですか。

 

チャンピオン仕事しろ。

 

なんだか貞操に危機を感じるシンオウの今日この頃だった。

 

 





―― 祝 ・ 五 十 話 ! ――

……と、51話目で言ってみる。
記念に何か書こうかなと考えてます。
何か良いネタあるかな、と自問自答中。

ではではコレにて。
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