チートでポケモンのトレーナーらしい   作:楯樰

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9/7に遅れた……。


・遠征調査(イッシュ) 
まだないらしい


船から降りて、ヒウンシティの港で体を伸ばす。

目の前に見えるのは、飛ぶ雲が先に掛かっていそうな摩天楼。

いや、雲にかかりそうっていうのは比喩が過ぎたか。

……イッシュにつくまでの間は本当にしんどかった。

 

シロナさんのことで色々と、あれでよかったのか不安で仕方が無かった。

大丈夫かなぁ……。

次会うときが少し怖い。

『ご主人が悪いんだ。……まったく』

……すみません。

 

唐突に、後ろから嫌な気配を感じてハリウッドダイブで緊急回避。

そして空中で前転、着地。

 

満点だろ。

 

「いたたた……」

「無防備だと思ったのに……」

「ちっ……」

 

ちょっと気になって振り返ってみれば、お尻を突き上げて地面とキスをしている研究員が三名。

こいつらという奴は……!

 

「だから止めろって何回言えばわかるの?」

「ムリです!」「止めれません!」

 

「「「だって室長の事、愛してるから――!」」」

「……お前らナツメちゃんのこと忘れたとか言わないよね? 一応、友達以上恋人未満の関係なのだけど? 俺の意思は無視するの? お前らそれ愛してるって言えるの?」

「「「でも」」」

 

でもじゃないよ。

馬鹿なの? 死ぬの?

なんで全員が全員毒されてんのさ。

カントー出るまで全員が変態ってわけじゃなかったけど。

 

……いまや全員だよ。

なに、内なる何かを刺激でもされたってのか。ふざけんな。

 

「はぁ……ま、もういい。お前たちに常識は期待してないから。さて、イッシュでの研究はあまり持ち帰っても役には立たないからな。各々自由研究後、レポートを書いて提出。ふざけた内容だと採点は厳しめにするから」

『了解でーす』

 

自由研究と言ってもちょっとした散策みたいなものだし。

レポートという名の生活日誌みたいなものになるのは目に見えているが。

 

……はぁ。

お家帰りたい。

 

『帰ればいいじゃないか。ご主人の能力で帰れるんだろう?』

まあね。

でも一応、こんななりでも責任ある立場に居るしさ。

無事こいつらを送り届けないといけないの。わかるでしょ?

 

『やはりそういうものか?』

そういうもんです。

 

「さて、俺はちょっくら届け物してくるから。……あーそうだ。シッポウシティに博物館あるんだがそこまで一緒に行く?」

 

俺のそんな発言に、ツンデレただ、愛してるだ、大好きですだ。

そんなこと言ってきてもドキドキなんてしないし、素っ気なくあしらえるのに、何故俺はシロナさん相手に出来なかったのか。

 

『あの女の心の内を覗いたからだろう? 心底嫌いになればよかったものを……』

そうなんだよなー。

……相手の考えを読めて不利益がある良い例なんだろうけど。

変態が変態してるけど、こいつらの半分以上は悪ノリしてるってわかるから良い。

ま、どうしようもない奴とかは……もう、どうしようもないけど。

精神年齢おっさんの俺は彼らの将来が心配です。というか中身おっさんにこうなるって問題あり過ぎじゃないかな。

 

……泣きたい。

 

ともかく、余り考えを読まないようにしよう。

そう自戒して、ゲートの先にあるスカイアローブリッジを目指した。

 

 

 

トキワの森並みに暗くて深いヤグルマの森。

アスファルトで塗装された道から少しでも外れれば、何かしら道具がないと下手をすれば本当に遭難しそうだ。

遭難しそうだからって、手を繋がせてくださいとかなんとか言って、手をつなぎに来た若干名にリトルグレイされてるから遭難はまずないけど。

 

あ、連れ込まれたら分からん。……全力で逃げよう。

 

『懐かしいな。……忌々しくもあるが』

そういえばトキワの森でピカチュウと会ったんだよな。

色々と規格外なことをやらかすから、忘れかけてた。

ちょっと電気玉飲み込んで強くなってただけの普通のピカチュウだったのに。

 

……なんだってこんなピカチュウになったの?

 

『おい、ご主人? ことの返答次第では電撃を浴びせかねんぞ?』

だって事実じゃん。

『ほっほーう……? ――あとで話しような、ご主人♪』

ポケモン式のお話ですね。わかります。

……ちょっとどっちが上かはっきりさせといた方が良いかもしれんね。

 

『その話、僕も交ぜさせてもらおうか! ピカチュウと僕、どっちが上かの決着を……!』

 

いや、この前決まってたでしょ?

『私の圧勝だったのだけど。……ま、リベンジというなら受けたつが?』

 

『ううううっ……』

〈泣くなって。別に問題はないんだしさ。勝てないのわかってるんだし〉

ロトムを慰めるメタグロスに涙。大きくなったね、君。

〈おねーちゃんも嬉しい!〉

すっかり女の子みたくなってしまった古代ミュウ。

こんな相方で良いんですか?

〈……いいんじゃない?〉

あららー。

 

まー性別がミュウだし良いのか。

 

 

「あ、そういや」

 

思い出した。シッポウシティの博物館はアカン。

 

かつて自分にとってゲームだった頃。

ゲーム開始から、恐らく二時間、いや一時間もかからないかもしれない。驚異的なスピードで物語のメインのポケモンに拝める場所だった。

 

しかし、もう既に入館してしまっているわけで。

 

「どうされたんですか、室長?」

「あ、いや……なんでもない」

 

なかったわけで。

入って左手側一番奥の陳列コーナーには何もなかったわけで。

 

……あると思ってただけに、なんだか拍子抜け。

ダークストーンとか、ライトストーンとか伝説的なポケモンが眠ってるような石は展示されてなかった。

目立つ展示物と言えば、カイリューと思わしきポケモンの巨大な全身骨格ぐらいなもので、そのほかは特にない。

 

「……じゃ俺は先に所用を済ませてくるから。この奥、図書館あるらしいし待つんなら適当に」

「はい。了解です」

 

埃を徹底的に除去したような鼻につく博物館独特の匂いから、草木のにおいのする屋外に出て、大きく息を吸って吐いた。

 

それじゃ、よろしくウインディ。

『えー……メタグロスと姐さんとミュウでビューンって行けばいいじゃん』

だってそこまで距離ないし。

『あーまた好奇の視線がー……』

仕方ないじゃん。

お前カントー以外じゃ珍しい上にデカいんだから。

 

『というか、メタグロスに乗ってる方が目立つぞ?』

〈ボクも目立つから嫌なんだけど……〉

『あーもーしかたないなー』

 

文句の多い奴には制裁を。

滅茶苦茶背中でもふもふした。

 

 

やはりウインディというポケモンは目立つようで、道すがらあった幼稚園の子供たちにキラキラと光る眼で見られた。

わぁ、と群がってくる子たちに悪い気がしなかったのかウインディも為すがままになっていた。

 

ちょっと子供たちと戯れた後、そのポケモン預けてみんか、というお爺さんのお誘いというお願いを丁重にお断りし、記憶にあるタウンマップの斜め下に下降。

 

目的地であるサンヨウシティの入り口付近には、綺麗に剪定され整えられた植木が。

ちょっとした芸術の域だなぁと観賞する。

 

そして例のポケモンオタク……阿呆のマサキに教えられた住所に来てみたもの、ノックしてもチャイムを押しても誰一人として出てこず。返事もなく。

時間帯もお昼時というには遅いし、アポイント無しとはいえ、誰も居ないということは無い筈と思っていたんだけど……。

 

……はぁ。

出直そうか。

先にアララギ博士の研究所のあるカノコタウンに行こう。

 

意に応じてウインディは約417km/hの速さで、燃え盛るような(たてがみ)(なび)かせ駆けだす。

 

……この上で寝れる俺って、やっぱりマサラ人なのかもしれん。

 

 




明日、もう一話更新します。
それまでにもう一話書く(宣誓)

感想、評価共に有難う御座います。
………おまたせしました。
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