カける少女の生きる道   作:星村空理

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#05.白縫久遠とオカルト研究部

姫島先輩に出していただいたお茶とお茶菓子をいただきながら、私たちは裏の世界に関する説明会を行なっていく。

簡単に説明していくならこんな感じだろうか?

グレモリー先輩たちは悪魔である。

悪魔は堕天使と天使、2つの勢力と敵対している。

悪魔は人間と契約し、対価を得て力を蓄える。

堕天使は人間を操り悪魔を滅ぼそうとする。

天使は神の命を受けて悪魔と堕天使を滅しようとする。

オカルト研究部はグレモリー先輩の趣味で仮の姿であり、本来の姿は悪魔たちの集まりである。

街中で配られた不思議なチラシ、あれは人間が悪魔を呼び出す魔法陣が描かれたもので、ちょうどグレモリー先輩の使い魔が配っていたのをイッセーが手に入れたらしい。

そしてイッセーは公園で死ぬ間際にそのチラシの力でグレモリー先輩を呼んだ。

とりあえずはこんなところである。

 

「普段なら眷属の朱乃たちが呼ばれていたはずなのだけれど、よほど願いが強かったんでしょうね。主人である私が召喚されたわ。召喚された私は、イッセーのことを見て、すぐにあなたが神器(セイクリッド・ギア)所有者で、それを危険視した……おそらく堕天使に害されたのだと察したわ。だから私は、死にかけだったイッセーの命を救うことを選んだ……悪魔としてね。イッセー、あなたは私、リアス・グレモリーの眷属として生まれ変わったのよ」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!俺が死にかけだったって、昨日のことは本当にあったってことですか!?それでもおかしいですよ!だって、だって俺より先にクゥが光の槍に突き刺されて死んでるはずなんですから!」

 

イッセーの言葉を聞いて、グレモリー先輩は訝しげな顔をする。

 

「……それは、本当なの?私が公園に来てイッセーの転生を終わらせた時点で、久遠は元気に立って私と会話していたわよ?」

 

「え……?」

 

「あー、まぁそうなりますよね。では私から、襲われた時の状況を説明させて貰ってもいいですか?」

 

まぁ、そこは話題にあがるよなぁと思っていたので、自分から状況の説明を提案する。

グレモリー先輩はその時の状況を知らないので、ええ、お願いするわとすぐに許可を出してくれた。

 

「さて、では説明を。とりあえず、個人の都合とかいろいろあるのでそれ以前の状況は省かせて貰って、公園にいた私とイッセーなんですが、突然イッセーが謎の男に襲撃されました。背中に黒い翼を持って光の槍を展開したので、襲撃犯は堕天使で確定でしょう。目的もイッセーの持つ神器を危険視してのことだと思います。で、イッセーに槍が刺さる直前に私が庇って槍を受け、気絶しました。その後細かいことは知りませんが、目覚めたらイッセーが倒れており、グレモリー先輩が転生を行なっていたのでイッセーは逃げきれずに堕天使に殺害されたものだと思います」

 

とりあえず、こんなものです。と言うと、イッセーが隣で、じゃあ、あれはやっぱり、夢じゃなかったのか……と呟いて、ギリ、と悔しそうな顔をしていた。

 

「……たしかに、その状況なら私が到着してる時点で死んでいてもおかしくはないわね。なぜ、あの時すでに傷が癒えて私と会話できたのかしら?」

 

「まぁ、それこそ単純に、死ぬ前に傷の治療が終わったからですよ」

 

とは言っても気絶して意識を取り戻すのに少し時間がかかりましたけどね。と言うと、グレモリー先輩は考え込むそぶりを見せる。たぶん、気配からして完全に人間である私がどうやって致命傷を回復させたのか、その方法を考えているのだろう。まぁ聞かれれば答えるのもいいけど、何も言われなければ言わないでいいか。

と、思ったのも束の間で、グレモリー先輩ではなく、イッセーがそのことを聞いてきた。

 

「傷が治ったって、どうやって治したんだよ?」

 

「……もしかして、神器の効果、かしら?」

 

私が答える代わりに、グレモリー先輩がそう答えた。

……うん、30点。

 

「……さっきから話に上がってますけど、その神器ってなんですか?」

 

「神器とは、特定の人間の身に宿る、規格外の力のことだよ。歴史上に残る人物の多くはその所有者であり、神器の力で歴史に名を残したとも言われてるよ」

 

「現在でも神器を宿す人はいて、世界的に活躍している方の多くは体に神器を宿している方ですわ」

 

「そんな力が、俺と……クゥにも?」

 

神器の大半は人間社会くらいまでしか影響を及ぼさないし、裏の世界に通用するものは多くないって追加情報もあるけど、まぁそこまで言わなくていいか。

とりあえず、私はイッセーの言葉を肯定する。

 

「ま、そうだね。この中で神器を持っているのは、イッセー、私……そして、木場君くらいかな?」

 

「……よく、わかったね」

 

私の言葉に、木場君は驚いたようである。

まぁ調べればわかるだろうし、神器の扱いに習熟している人ならわかるんじゃないかなぁ、同族の気配。

少なくとも私は少し分かるし。

 

「まぁ、私はそう言う気配を感じれたしね」

 

「……やっぱり、貴女も神器持ちなのね」

 

「そうですね。まぁ、その説明も後回しにしましょう。まずはイッセーの説明が先です」

 

「とは言っても、これで大半の話は終わったわあとは……」

 

「イッセーの神器の確認と、先輩たちが悪魔である簡単な証明、あと、イッセーの正式なスカウトは必要ではないですか?……命を救うためとは言え、勝手に悪魔に転生させていますし、現在イッセーはフリーの悪魔に近い状態ですよ?」

 

はぐれ悪魔とは言わないでおく。

 

「……そうね。とは言っても、神器は一度目にしたのだけれど」

 

「えっ?そうなんですか?」

 

グレモリー先輩の言葉に、イッセーが驚く。

……そう言えば、詳しく確認してないけど、昨日倒れてた時に左手についてたっけ?

うーん、完全にイレギュラーだ。何が原因だろ?

 

「私はちらっとしか見てないんでそれがなんだかは知らないですね。……イッセー、自分の神器、出せる?」

 

「って言われてもなぁ……」

 

「その時は気絶してたし、ほとんど無意識に出してたんじゃないかしら?」

 

「でも、一回出したら出し入れ自由になりますよね?イッセー、ちょっと神器が出てくるよう念じてみて?」

 

「あ、ああ。わかった」

 

そう言うと、イッセーは目をつぶって神器が出てくるよう念じる。

すると、イッセーの左腕から光が溢れ、その神器の形を形成していく。

光が治り、現れたのは赤い籠手。手の甲の部分には宝玉が埋め込まれ、その意匠はどこか龍の腕を思わせる。

イッセーは神器が出て来たのがわかったのか、目を開いで自分の左腕に出現したそれをマジマジと見る。

 

「これが……俺の神器?」

 

「そうね。それがあなたの神器。正体は掴めなかったけど、神器所有者であることを知られてあなたは命を狙われたのよ」

 

「そう、ですか……その、この神器の力って、なんなのかわかりますか?」

 

「……そうね、おそらくそれは『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』。一定時間所有者の能力を倍にする神器ね。レア、と言うわけではないけれど使用者のスペックによってはとても強力な能力だわ」

 

「とは言っても、その能力だと今のイッセーじゃ倍加したところでたかが知れてるし、要努力って感じかな?」

 

「……そうか」

 

グレモリー先輩の説明で喜びかけたけど私が釘を刺したせいでまたイッセーは落ち込んだ。

ごめんね。でも今のうちに言っておかないと後で辛いからね。

努力すれば強くなれるし、これから頑張るんだよ?

まぁ、そんなわけで落ち込んでるイッセーに対してまだ説明と勧誘が残っている。が、そこは簡単に流してしまおう。

グレモリー先輩たちが悪魔である証明は簡単。背中の翼を出して見せるだけだった。

ついでにつられるようにイッセーの翼も出て来たので、昨日のことが現実で、自分が一度死んでいることをイッセーは再認識した。その後、各人の自己紹介も行なっておいた。

そしてそのあとはイッセーのグレモリー眷属への勧誘。

昔の大戦によって少なくない数の悪魔が亡くなった。

悪魔の出生率は低く、自然発生ではその数を元に戻すのに永い時間が必要なため、素質のありそうな人間を下僕として悪魔に引き込んでいる。

ただしそれでは下僕を増やすだけで力のある悪魔を増やすことにならないので転生悪魔にもチャンスを与え、力ある転生悪魔には爵位を授けることになっている。

この制度の影響もあって世間に割と悪魔は多く、人間世界に紛れて行動している悪魔も少なくない。

そして、それ相応の努力と年月が必要だけど、やり方次第ではイッセーも爵位を得て、望みのハーレムを作ることも夢ではない。

とまぁ、そんな感じの説明を受けて、無事イッセーはハーレム王に俺はなる!とか言い出しながらオカルト研究部の末席に名を連ね、グレモリー眷属と相成るのでした。

そんなイッセーを見て、二大お姉さまは面白そうに微笑み、木場君は苦笑している。塔城さんは無表情でよくわからない。

私?私は普通に呆れてます。相変わらずの性欲全力投球だからね。まぁ、止める気もないんだけど。

 

「さて、これでイッセーの話は全部終わったわね」

 

「そしたら、私の話、でしょうね。まぁ、イッセーのことを頼んだ報酬に情報の一部を渡す契約なんで、逃げるつもりはないですから安心してくださいな」

 

「ん?俺のこと?」

 

「昨日イッセー自力で帰ったわけじゃないのにイッセーのお母さんたち不思議に思ってなかったでしょ?あれ私がグレモリー先輩に頼んだの。で、その報酬として私のことを教える約束をしたんだ」

 

「なるほど……たしかに、クゥに関することはよくわからんことが多かったな……と言うか、ありがとな。俺のこと部長にお願いしてくれて」

 

「大丈夫だよ。気にしないで」

 

イッセーのためでもあったけど、同時に私のためだったので気にしないでほしい。

ちなみにイッセーは会話の流れでグレモリー先輩のことを部長と呼ぶようになった。

 

「……とりあえず、そちらに質問してもらってそれに答える形にするのが面倒がなくていいですかね?」

 

「……そうね、ならその形でお願い」

 

「ちなみに、質問の回数は私が許す限り、と言うことでいいです。ただし、あなたたち悪魔陣営に渡すことが出来ないと判断した情報は出しません。契約上それは問題ないはずなのでご了承ください」

 

「……わかったわ」

 

「質問はグレモリー先輩以外の方が行ってもいいです。だから、イッセーも質問していいからね」

 

「わかった」

 

「時間は……とりあえず下校時刻までとしましょう。渡す情報の量はすでにある程度決めているので、じっくり考えて質問してくださいね」

 

では、どうぞ。と先輩たちに質問の許可を出す。

グレモリー先輩も、眷属の方達も、皆考える仕草をしてどんな質問をするか選んでいる。一人で考えてもいいものは出てこないだろうし、他の方と相談してくださっても結構ですよ。と私は言っておいた。

そして少しして、最初の質問が来た。

最初に質問して来たのは、意外にも、姫島先輩だった。

 

「では、私からでいいでしょうか?」

 

「どうぞ」

 

「まず、貴女の所属と立ち位置を教えていただいても?」

 

……まぁ、まずはそこだよね。

んー、でもグレモリー先輩も少しは知ってるかもだし……

 

「……グレモリー先輩、まず、貴女が独自に集めた情報を教えてもらってもいいでしょうか?持っている情報に関しては報酬に入らないようにしておきます」

 

「……わかったわ。とは言っても、手に入った情報は少ないのだけどね……」

 

そう言って、グレモリー先輩は私の情報を開示する。

 

白縫 久遠

16歳の女性

駒王学園2年生

裏の世界を知っている

神器所有者(神器詳細不明)

ある悪魔の家と交流を持つ(家の名前は不明)

全く名を知られておらず、この情報を持っているのも魔王のみである

 

先輩が持っていたのは、このくらいであった。

 

「……ふむ、結構持ってますね」

 

「……魔王様しか情報を持ってない上に、この程度で結構持ってる、なんて、どれだけ情報を秘匿してるのよ……」

 

「先輩、情報は命に等しいものです。隠さなければ今後生きていくのが難しくなっていきますよ?……まぁともかく、それ以外の情報を出しますね」

 

そう言って私は自分の立ち位置に関する情報を出し始める。

……さて、どこまで話したものか。

 

「まず、私の所属はその情報通りで、駒王学園に所属しているだけです。聖書関連の三陣営や他の神話勢力には一切所属していません。よって、立ち位置はすべての陣営に対して中立です。ただし、陣営に対しては中立ですが個人的に交流のある人物に対しては協力することがあります」

 

とは言っても、双方に利益がある場合のみであり、各陣営に大きな利益・不利益が生じる場合や、私の利益が一切ないものに関しては中立を保つために協力はしていません。

そう注釈を入れてから一旦説明を止めるが、すぐにグレモリー先輩から質問が飛んで来た。

 

「なら、その交流のある人物に関する情報は貰えるかしら?」

 

「拒否します」

 

しかし私はバッサリと一刀両断。これに関しては中立を維持するために渡せない情報ですからね。しかたない。

 

「まぁ、そうよね……なら、悪魔陣営で交流を持つ人物を教えて貰っても?」

 

「申し訳ありませんが、そちらも言いません」

 

「言えない、ではないのね」

 

「そうですね。これに関しては私個人の問題とその交流を持つ家に迷惑をかけないためです。代わりに、その家とはかなり友好な関係を築いており、私の存在が知られた場合には眷属候補として扱う約束がなされているという情報を差し上げます」

 

「……そう。貴女も私の眷属に、と思ったけれど、それなら無理そうね。ちなみに、回答からして悪魔以外の陣営と交流を持っている、と言うことでいいのよね?」

 

「外交問題上、否定も肯定もしないでおきます」

 

「それだけ言ってもらえれば十分答えになるわ。ありがとう」

 

とりあえず、立ち位置に関してはこんなものかな?

次に質問してきたのは、イッセー。

 

「なぁ、昨日の公園で、結局クゥはどうやって傷の治療を行ったんだ?」

 

「おそらく神器で、だろうけど、神器の能力についても気になるね」

 

イッセーの疑問に木場君も続く。

まぁ、そこが妥当なところだね。

 

「そうだね……私の傷の治療に関しては、実は神器の能力ではないんだ」

 

「えっ?」

 

「あーいえ、完全に神器が関わってないわけじゃないんですけどね。グレモリー先輩、あの時、私の方に乗っていた赤い鳥のこと、覚えてますか?」

 

予想を外してグレモリー先輩は少し驚いたようだ。まぁそうなるよね。

ともかく、グレモリー先輩に確認すると、覚えていたようで、ええ、見た覚えはあるわ。と返してくれた。

 

「もしかして、あの鳥が貴女の治療をしたっていうの?」

 

「その通りです。あの子……御守と言うのですが、あの子はグレモリー先輩たちで言う使い魔のような存在で、私と契約しています。その能力は2つあって、1つは炎を発生させ、自由に操る能力。もう1つは、自身と他者を癒す回復能力です。その回復能力で私の傷を治して貰った、と言うのが私が昨日グレモリー先輩と話をできた理由ですね」

 

「炎と、癒し……それってまるで……」

 

「フェニックス家の力のようだ、ですか?」

 

フェニックス家

元72柱という名門貴族の1つであり、炎と再生を司る純潔悪魔の一族。

いかなる傷も癒せる『フェニックスの涙』を生み出せるため、悪魔の世界ではかなり有名な一族だろう。

そして、御守の能力は、そのフェニックスの力によく似ている。

 

「そう思うのも仕方がありませんが、御守は能力は似ていますが、フェニックス家に直接関わる存在ではありません。とは言え、聖獣とされるフェニックスでもないのですが」

 

「ならば、あの鳥は一体なんだと言うのかしら?」

 

「あの子は、私の神器によって作られた、あるいは召喚された、この世界には存在しない種族です」

 

「……そこで、神器の話が来るのね。ならまず、その神器の能力を説明して貰っても?」

 

知り合いの専門家曰く、私の神器は今まで発見されたことのない新種の神器であり、能力もイマイチ把握できないとのことなので、詳しく説明はできないのですが、と先に言ってから、私は神器の説明に入る。

 

神器『異世界研究報告書(アルカナ・ロール)

本型の神器で、白紙のページが多く、文字が書かれているページも所有者以外には解読できない。

能力はこの世界に存在しない種族を召喚、あるいは創造することだと推測されているが、神器の影響らしきものが見られるため、一概にはそうとは言えない。

 

「……と、言った感じです」

 

「その能力で、あの鳥……御守が出現し、契約した、と言うわけね?」

 

「そうです。御守とは幼少期から契約していて、契約以降は外出時などに私の護衛をして貰ってます」

 

「ああ、やっぱ御守ってクゥの飼ってる鷹みたいなやつか」

 

「そうだね。イッセーは見たことあったよね」

 

よく家に遊びに来てたし。

 

「……ところで、その神器の影響らしきものって言うのは、なんだい?」

 

と、木場君が聞いてきた。

 

「そうですね。見て貰ったほうがいいかと」

 

そう言ってから、私は神器に念じる……フリをして、他の人には聞こえないよう、小声でキーワードを唱える。

 

「code:20」

 

唱えた瞬間、私の体に、目に見えない変化が現れた。

 

「これは……」

 

「まさか、魔力……?」

 

そう、私の体に、本来悪魔しか持たないはずの魔力が発生しているのだ。

 

「その通りです。どうにも、神器の影響なのか、念じると私自身が魔力を精製できるようでして……だから、この神器がどんな能力を持っているのか不明なんですよね……」

 

もっとも、魔力精製できると言っても一般悪魔くらいなんですけどね。と言ってはおくが、実は宿す魔力を制限しているだけで、普通に上級魔族レベルまで魔力を精製することが可能だったりする。

いや、正確には魔力を精製しているわけじゃないけど。

とりあえず、ここらへんは悪魔陣営に渡すべき情報じゃないから言わないでおこう。

 

「……なんとなく、あなたが言っていたことが理解できたわ。確かに、情報は命に等しいわね……こんな情報を知られたら、特に魔法使いなんかに狙われるでしょうし……」

 

魔法使い

悪魔の力である魔力を解析し、人間が扱えるように超常現象を引き起こす技術、『魔法』を使う者たち。

基本的に彼らは研究者であり、私の神器の存在を知れば、神器を奪うか、私を実験動物にでもしそうだと思う。実際先生もそんなこと言っていたし。

……まぁ、私のことを狙うのは魔法使いだけじゃないだろうけどね。

それに、グレモリー先輩の理解は、まだ20点くらいしかあげられませんよ。

教えてあげないけど。

私は悪魔陣営じゃないからね。

 

「……とりあえず、渡せる情報はこんなところですかね?対価分は十分払ったと思いますし」

 

「……ええ、そうね。対価としては十分いただいたわ。今後、貴女はどうするつもり?よければ、オカルト研究部に入らないかしら?」

 

「お誘いは嬉しいのですが、他の方に疑われないよう、席を入れるのは遠慮しておきます。なので、保護もしないで結構です」

 

「……そう、残念ね」

 

「ただ、友人を訪ねて部室に来ることはあるかも知れないので、その時は宜しくお願いします」

 

「わかったわ」

 

グレモリー先輩は私がオカルト研究部に所属しないことに残念そうな顔をしたが、続いた言葉に嬉しそうに頷くのだった。

 

「これからよろしくね、久遠」

 

「よろしくお願いします。グレモリー先輩」

 

「リアスでいいわ」

 

「私も、朱乃とお呼びください」

 

「……小猫、でいいです」

 

「僕も、祐斗でいいよ」

 

「わかりました。……でも、木場君の場合はちょっと名前呼びは問題になりそうだから、今のまま木場君って呼ばせてもらうね」

 

「……ああ、そうだったね。うん、よろしく頼むよ」

 

「で、改めてイッセーも、よろしくね」

 

「おう!よろしくな!」

 

そんなわけで、私はグレモリー……リアス先輩たちオカルト研究部と、友人になるのでした。

 

「では、活動の方を邪魔しちゃいけないんで、私はそろそろお暇しますね」

 

「……わかったわ。また来てちょうだい。いつでも歓迎するわよ」

 

「わかりました。失礼します」

 

そう言って、私はオカルト研究部を後にしようとした。

……の、だけれど。

 

「……あの、すみません白縫先輩。最後に1つ、質問してもいいですか?」

 

と、小猫ちゃんが呼び止めた。

 

「久遠でいいよ。どうしたの、小猫ちゃん?」

 

「いえ、久遠先輩に直接関わってるわけではないと思うんですけど……」

 

少し迷ってから、小猫ちゃんはその質問をした。

 

「さっき、久遠先輩の近くにいた時、なんとなく()()()()()()()()()んですけど、なにか心当たりはありますか?」

 

ふむ、懐かしい感覚ね……?

 

「うーん、小猫ちゃんのことを詳しく知ってるわけじゃないから、なんともなぁ……うん、ごめんね。心当たり、全然ないや」

 

「……そうですか。ありがとうございます。気をつけてお帰りください」

 

「うん。ありがとね」

 

小猫ちゃんにお礼を言ってから、私は今度こそ部室を後にする。

しかし、懐かしい感覚、ね……

ふぅむ、やっぱり心当たりはないなぁ……

 

 

 

 

家に黒猫を飼っていること以外は、ね。

 

 

 




いかがでしたか?
楽しんでいただけたら幸いです。
今回は一誠に対する説明と久遠の情報に関してでした。
いろいろと答えのようなものや謎も出て来ましたが、まぁこれで全部じゃないのでまたいろいろと予想して楽しんでいただけたらと思います。
次回は一誠の契約……は簡単に書くだけにしてあの子との邂逅をかけたらと思っています。
気が向きましたら感想などを書いていただけると嬉しいです。
誤字脱字報告やアドバイスなどがございましたらお気軽にどうぞ。
次回もお会いできたら幸いです。
それでは
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