スパロボVで頑張る   作:白い人

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12ページ目 大マゼラン銀河で頑張る

 ■月◆日

 パラレルボソンジャンプにて地球艦隊・天駆は無事に新正暦世界へと無事に帰還を果たした。

 ああ、無事に戻ってこれたな。

 現在地は銀河系と大マゼラン銀河の中間点あたりとの事。

 問題は航海スケジュールは三ヶ月ほど、遅れてるという点か。このスケジュール通りだと、イスカンダルについても一年以内に地球への帰還は不可能。

 ただしボソンジャンプなどの新技術により巻き返し可能らしいが。

 そういえばガミラス人であるメルダ・ディッツが天駆より離脱した。

 元々、敵同士であり新正暦世界への帰還までの間限定の関係とは言えさみしいもんである。

 実際、山本三尉をはじめ色々な人に見送られてたっけ。

 うん、今度会う時も戦場以外の場所がいいな。

 

 

 ■月※日

 なんか航海スケジュールが無事に修正されたらしい。

 ヤマトに搭載されている自動航法システムが解決手段を示してくれたそうだ。

 一体どんなシステムなのかナインがすげー気にしてたっけ。俺も気になるが多分、最高機密になるだろうし見る事は出来ないだろうなー。

 

 

 ■月=日

 通常ワープを得て到着したのは巨大な建造物こと亜空間ゲート。

 なんでもこれを使えば、戦艦単独でのワープよりも更に長距離ワープを可能にしてくれる代物だと言う。

 問題は現在は稼動してないという点だが、古代戦術長や真田副長達がゲートを再起動する為に制御システムを弄ってくるそうだ。

 ……うーん、しかし眠い。

 無事に新正暦世界へ戻ってきて気が緩んでしまったんだろうか。

 当直の事もあるし体を動かして眠気を飛ばす事にしよう。

 

 

 ■月@日

 寝てる場合じゃねぇ!な昨日だった。

 敵からの精神攻撃を喰らって見事にみんな眠ってしまった。

 俺は念を得て耐性を得てしまったのか、クソ眠かったけどギリギリ踏みとどまる事が出来た。途中でソウジさんとナインが来てくれなかったら即死もとい即眠だったけどな!

 同じように耐性でも持っていたのか岬准尉も眠らずにすんでた為、全員で波動エンジンルームに入ったらなんか侵入者がいるし!

 捕まえようとしたら実体がないという。岬准尉によれば精神感応波が使えたり幻覚を見せる事が出来るという。何で知ってるかは知らんが、とりあえずめんどそうな相手だと理解した。

 どうしようかと悩んだらなんか、岬准尉がトドメを刺してたんだけど本当にどうなってんだ状態である。そして正体はイスカンダルのユリーシャっていう人だし訳が分からんぞ!

 そして艦隊での襲撃!まぁ、作戦失敗したら当然だよな!

 しかし今回のガミラスは強敵だった。

 作戦指揮、部隊の錬度。今まで戦ってきたガミラスの連中とは次元の違う連中であった。

 なんとか撃退したが、次も同じように撃退できるとは考えない方がいいだろう。

 後でガーディムの連中が来たけど指揮官なしのAI部隊だったのであっさり撃退。うーん、何を考えてるんだろうか?

 

 

 ■月<日

 亜空間ゲートの調整が終わり、次の目的地が決まりバラン星系に行く事になった。

 なんでもそこはイスカンダルへの旅の中間点と言うべき場所らしい。

 それと同時にワープネットワークのハブステーションも兼ねており、ガミラスのワープの基点だとか。

 無事にワープを成功させれば大マゼラン銀河までワープする事が可能であり、スケジュールの短縮も可能という事らしい。

 まぁ、問題はそんな重要地点なんだから、防衛戦力がいるのは当然だろうなぁ。

 で、この話を持ってきたのは森船務長によく似た美人さんことユリーシャ。イスカンダルの使者である。先日、岬准尉に意識だけ憑依してたとか。お、オカルトだー!今更だがな!

 しかしチラっと俺を見て何か呟いてたような気がしたが……気のせいか?

 因みにチトセにほっぺを抓られました。見とれてない!見とれてないから!

 

 

 ■月$日

 敵の数はなんと一万隻以上の艦艇がいるとか。凄い数だ。戦艦の数で言えば百倍以上の差がある。

 機動兵器の数も考えると頭が痛い。まぁ、一人頭百隻ぐらい潰せばなんとかなるんではなかろうか。無理?ですよねー。

 運が悪いとか思っていたら、沖田艦長は好機と捉えてる様子。さすが歴戦の艦長。考える事が一味違うぜ。

 

 

 ■月!日

 ヒャッハー!殴りこみだぁ!

 バラン星にワープした俺達はそのまま敵本陣に突撃を敢行した。密集陣形を取っていたのが命取り。中に飛び込んでしまえばこっちのもんよ。

 敵砲撃の嵐を突破して、陣形内部に飛び込んだ俺達は暴れるに暴れまくった。相手がオープン回線にしてた為か、あっちこっちから敵の悲鳴が聞こえてきたっけ。

 この戦力差で突っ込んできて暴れてくる敵とかこえーよな、確かに。

 でもその悲鳴、俺達の攻撃だけじゃなくて敵指揮官の艦艇からの攻撃によるものも混じってた気がする。つーか、あの指揮官、正気か?って思いたい。

 マジ味方に当たるのを無視して攻撃してきやがる。

 面倒な奴だったが俺が砲台を破壊した後、ヤマトの砲撃を喰らって沈黙。その間にゲートへと飛び込む事に成功した。

 ヤマトが一瞬脱落したように見えて焦ったけど、後からしっかりと続いてくれた。

 バラン星に波動砲をしっかり撃ちこんで来たようだ。

 これで亜空間ゲートの制御システムを破壊した事により、バラン星にいた敵部隊はこちらへの追撃が不可能ないし、困難になっただろう。

 敵の戦力がどれだけ削れたかは分からないが、これで少しは楽になった筈だ。

 

 

 ■月~日

 まさかの問題発生である。

 なんと地球から持ってきた資材が底をつきそうだという。

 予想以上の激戦により、消費量も予想以上だと言う。

 パーツ自体はヤマトにある万能工作機で製作可能だが、その材料がないんじゃどうしようもない。

 資材の採掘場でもあればいいんだけど、さすがにそんな都合よくいくもんじゃにしなぁ。

 さすがに命に関わるから、機体のパーツをケチる訳にはいかないしね。

 暫くは撃墜した敵機の残骸から調達するしかないだろう。

 そう来ると、ここ最近ちょこちょこやってくるガーディムの連中が非常に鬱陶しい。

 指揮官がいないから雑魚なんだが、あいつらのせいで余計に資材を消耗してる気がする。

 あー、ガーディムじゃなくて高級なパーツとか積んでる連中とか補給物資満載の敵とかいねーかな。

 

 

 ■月|日

 カモネギ襲来!

 メルダ少尉が言っていたガミラス総統の親衛隊である。

 親衛隊という事は潤沢な予算に立派な装備を持っているに違いない!つまり俺達の獲物!獲物である!

 ハサウェイとバナージが海賊みたいだ、と呟いていたが海賊だよ!何せクロスボーンガンダムがいるしな!

 ハリソン大尉も「まさか俺が海賊側に回るとはな」とか呟いてたけど、気にするな!

 さあ、こっからは海賊の時間!

 海賊らしく頂いていく!

 ……美味しく頂いたぁ!

 

 

 ☆月○日

 今日の艦長会議により、天駆の部隊を二つに分け、お互いがお互いの陽動として動く事になった。

 バラン星での足止めには成功したと言っても、銀河での移動能力という点ではやはりガミラスの方が上だと考えていいだろう。

 その為、既に俺達の存在はガミラス本星に知られていると判断するべきという事らしい。

 そういう訳で部隊を二つに別けて、陽動活動を行う事になった訳である。

 とは言え、イスカンダルへの移動経路を知っているユリーシャ嬢がヤマトに乗っている関係上、ヤマトがいない部隊はイスカンダルに向かう事が出来ない。

 その問題をウリバタケさん達が解決。なんとボソントランスリミッターとレシーバーという代物を開発。何処に居ようがナデシコならヤマトのいる所にボソンジャンプできるようになったのだ。

 イネスさんが設計図を書き上げ、ヤマト内で作っていたそうだ。まさにこんな事もあろうかと、である。

 そんな訳で部隊はヤマトとナデシコをそれぞれの軸にした編成になった。

 ヤマト側はMSを中心とした部隊、ラー・カイラム、ネェル・アーガマ、ガランシェール、プトレマイオス2改、エターナル。

 ナデシコ側は残りの真・ドラゴン、トゥアハー・デ・ダナンとなった。

 こう見るとやっぱりヤマト側の方が多いが、ガミラスは間違いなくヤマトを狙ってくる以上、仕方ないか。

 俺達はと言うとヤマト側にソウジさん、ヴェルト、ロッティが配置。

 ナデシコ側に俺とチトセという事になった。

 まだ旅は半分も終わっていない。

 ちゃんと再会できる事を祈ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ユリーシャ・イスカンダルにとってそれはまさしく正体不明の存在であった。

 地球艦隊・天駆。

 イスカンダルに力を求める彼等の存在を観察するのが彼女の役割である。

 だからこそ、こうして再び肉体を得た今、彼等の艦艇内を歩き回っているのだ。

 そんな中でナインという不完全な相手など個人的に興味がある相手を見て回っていたのだが、それだけは唯一毛色が違った。

 不確定で不安定。

 彼を称するならばこの二つがもっとも相応しい言葉であろう。

 他の人々からは感じられない不安定さ、不確定な形。

 そう、地に足をつけていないとも言っていい。

 だが彼は確かに不確定で不安定だが、彼という存在は天駆の中でも受け入れられている。

 どういう事だろうか、と思う。

 一体何がどうしてあんな風になったのか疑問が次々と浮かび上がってくる。

 少しの間、彼を観察するが仲間達と話す姿、訓練をする姿、食事をする姿。

 どれもが自分達と何ら変わりのない普通の人間としか見えない。

 ならば原因は彼にある訳ではない。外的要因か何かではないかと思い、その奥底を覗きこもうとして。

 

「ああ、それは困るなユリーシャ・イスカンダル。まだ君に彼の事を知られる訳にはいかない」

「!?」

 

 いつの間にか近くに誰かがいた。

 その声色に聞き覚えはなく、身に宿るのは純粋な悪寒と恐怖。

 正体を探るまでもない、間違いなくこの相手は敵である。

 

「――……!?」

「ああ、無駄だよ。その口煩い嘴は封じさせてもらった」

 

 誰かを呼ぼうと声を上げようとするも、何の音も出さない。

 一体いつのまにと驚く暇もない。

 しかも回りを見れば、誰一人いない。遠くにも感じる事が出来ず焦りばかりが焦っていく。

 ならば、と逃げ出そうと足を動かそうとして。

 

「――」

 

 今度こそ完全にユリーシャの体は機能を停止したかのようすに倒れこんでしまった。

 目は見えない、口は動かない、手は触れず、足は踏み込めない。

 敵が近くにいるというのにユリーシャは完全に打つ手を失ってしまった。

 

「安心するといい命は奪わない。まぁ、記憶は奪うけどね」

「――」

「何、今分からなくても答え合わせはいつか行われる。その時、君が生きているかは知らないけどね」

「――」

「ではお休みなさいお姫様。良い悪夢を」


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